3月に予定されていたLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)ワンマンは残念ながら中止になってしまったが、ラックライフは止まることなく前を向いて前進中だ。5月には大型タイアップ付きのニューシングル「アオイハル」をリリースし、7月19日には「streaming+」で初の有料配信ライブ「おうちでラックライフ ONEMAN LIVE in 茨木JACK LION」の開催が決定。9月11日の東京・EX THEATER ROPPONGIから始まるツアーも、新たな日程がアナウンスされ、再会の時は刻一刻と近づきつつある。長い自粛の日々の葛藤、新曲への思い、そして新たな未来について、PON(Vo&Gt)の本音を聞いてみよう。
──生粋のライブバンドのラックライフが、こんなにライブをやらないことはなかったと思うけれど。いつからやってないですか。
いつやろ? 3月4日にテレビの収録があって、お客さん入れてやるはずが無観客になった、それが最後かな。3月15日には配信で、アコースティックで2,3曲だけやりましたけど、お客さんを入れてやったのは2月の名古屋ワンマンですね。もう半年ぐらい前やん!
──3月15日のLINE CUBE SHIBUYA、残念でした。
そうですね。張り切ってたのに…。
──5月に延期して、それも結局できなくなって。苦しい決断だったと思うけれど、どんな経緯があったんだろう。
でも延期はスッと決まった気がします。ぎりぎりまで考えたけど、そればっかりは仕方ないという感じはありました。バリえぐいですけどね。5月は緊急事態宣言中だったからほぼあきらめてたけど、3月15日はぎりぎり行けるんちゃうか?という感じやったんで。すぐに5月の日程を出してもらって、ナイスプレーや!と思ったのに、それも無理やって…マジやる気なくなったっす、すべてにおいて(笑)。
──それが本音ですよね…。
全部なくなっちゃって、最初の頃とか、もう音楽聴くのが嫌でした。3月末とかテレビの歌番組が多かったんですけど、全然見たくなくて、バラエティばっかり見てましたね。音楽番組を見ると音楽脳が刺激されて、でも自分はできひんし、しかも「不要不急のなんちゃら」とか言ってたじゃないですか。「誰が不要やねん!」と思いながら。傷ついてましたね。
──自粛期間中は、しっかり家にいた感じ?
そうですね。会っても家族まで。どこまで会ってOKなのか?と思うじゃないですか。だから「甥っ子までにしよう」と思って、近所に住んでる甥っ子とはよく会ってました。ほかには何もしてないですね。何してたんやろう?って、振り返って思いますもん。
──楽器もさわりたくないし。
全然さわってなかったですし、2、3週間してやっと、嫌々やりだしましたけど。それまではほんまにテレビしか見てなかったです。
──その、自粛期間真っただ中に出たニューシングルが「アオイハル」。これは、もっと前に録っていたということ?
そうですね。「アオイハル」は去年の暮れに録って、カップリングは1月末ぐらいに録ってます。リリースはもともと5月6日予定だったんですけど、キャンペーンも一切できず。
──「アオイハル」はカンロ「ボイスケアのど飴」イメージソングで、とてもラックライフらしい力強い応援歌のミドルロックバラード。別の意味で、今の状況にぴったりな曲という気もしたりして。
そうですね。でももうちょっと華々しく、聴いてほしかったですよね…。5月6日は緊急事態宣言中やったから、CD屋さんも閉まってるし、みたいな。「ついてないねー」って感じでした。
──それはともかく、すごくいい曲。
ありがとうございます。
──これは、テーマをいただいてからの書き下ろし?
「応援歌」というお題だけいただいて、ほんまは「元気の出るような明るい、背中をばーんと押せるようなアップテンポで軽やかな曲のイメージで」って言われてたんですけど、メンバー一致でこれや!ってなったのがこのミドルテンポの’’アオイハル’’やって。ダメ元で「僕らなりの応援歌はこんな形です、どうですかね?」って’’アオイハル’’を提出したら「いいですね」と言っていただいて。
──いいなあと思ったのは、一番の歌詞だけではわからない感情が、二番を聴くとわかるでしょう。一番だけ聴くとすごく前向きで、でも二番では「頑張れば報われる/なんてのは大嘘なんだぜ」と言っちゃってる。この部分まで聴かないと、この歌の価値はわからない感じがする。
そうですね、そこにミソが詰まってると思います。やっぱり、何歳かで気づくんですよね。「自分はなんとかなるだろう」という精神でバンドをやってきて、「いつかスーパースターになっていくだろう」と漠然と思いながら、小学校の時からずっとその思いを持ちながら音楽を好きでいて、「いつか俺は」「絶対大丈夫」と思いながらバンドをやってきて、25歳ぐらいでふと気づくんですよね。「あれ、これ、ちゃうな」「うまいことやらな、無理やな」って。俺は歌ってるだけでスーパースターになっていくもんやと思ってたけど、もうちょっといろんなことを巻き込みながら、嫌やけど、頭を使いながら、いろんな人に頼りながら歌っていかないと。自分は天才じゃなかったし、スーパースターじゃなかったからこそ、じゃあどうしよう?ということに気づいたのが、たぶん25歳ぐらいですかね。でも「俺は違うかったんや。じゃあやめよう」でやめれるわけもなく、それ以上に音楽が好きな気持ちやったりとか、誰かが応援してくれる重たさとか、「やめられない」という気持ちがすごく大きくて、やめれないまま今に至る。
──だからこそ、そのあとの「まだここでは終われない」というフレーズがぐっとくるんですよ。みなさんもぜひ、噛みしめて聴いてください。それとは対照的に、カップリングは同じ応援歌でも元気が出るアップテンポの2曲。
「アオイハル」という歌ができた時に、珍しくメンバーに聞いたんですよ。「どんな歌がカップリングに入ったらいいと思う?」って。たぶんそう言うことを聞いたんは初めてだったんですけど、「ひたすら応援する3曲がボンボンボン!って入ってるのがいいんちゃう?」って。今まではバランスを取って、テーマの違うものをまとめるということをずっとやってきたんですけど、同じテーマで「頑張れ、頑張れ、頑張れ」っていうのがいいんちゃう?と言われて、「へえー、そうか」と思って、作ってたらできたのが「image」と「あんたが大将」です。特に「あんたが大将」は遊び心たっぷりで、歌詞もあんまり真面目なことを言わんとこうみたいな、楽しんで書きましたね。
──そして7月19日には、初の配信ライブが決定。これはどういう経緯で?
みんな、配信ライブが主となっていく未来が見えたじゃないですか。僕らも見てて、有料配信ライブというものが始まるのなら、一発目はバーン!と大きいことをやりたいよねと思ったのと、地元に茨木JACK LIONというライブハウスがあるんですけど、高校生の時から通っていて、そこが今ピンチだと。僕ら、高槻RASPBERRYというライブハウスを一つなくしているので、できたらそういうことにならないように、自分たちのできることをやりたくて、JACK LIONでやらせてもらうことになりました。
──ほかの誰かの無観客ライブとかを見てると、どんなことを思うんだろう。違和感なのか、可能性なのか。
いや、でも「届くもんは届くんやな」と思ってますね。この間IRabBitsとアルカラが横浜BAYSISから配信ライブしてて、俺は家で一人でIRabBitsのライブを見ながら半泣きになってました。「ライブハウスにいなくても届くもんは届くんやな」と感じたし、この間も弾き語りで配信ライブに呼んでいただいて、OSM(大阪スクールオブミュージック専門学校)の学園祭のオンラインバージョンみたいなやつで歌わせてもらったんですけど、最初は「どうしようかな?」という気持ちの中で始まって、でも歌えば歌うほど自分の中でこみ上げて来るものがあったし、画面の向こう側の人はもちろん、それを撮ってる人もそうやし、その場にいるスタッフさんとか、みんなに向けてやればいつものライブと変わらないというか。全然無しじゃない思ったし、すごく便利ですよね。子育てしてる人とか、仕事で遠くへ行っちゃった人とか、ライブハウスになかなか来れなくなってしまった人にも届けるチャンスやと思います。友達と一緒に見れるのも良くて、あんまり好きじゃない人にも見せられるわけじゃないですか。そうやって巻き込んでいけることも考えれば、悪いことばかりじゃないとすごく思ってますね。要はそれをやった時に、自分たちの思いを画面の外までちゃんと飛ばせるかどうか。やっぱり全然響かへんライブは見てても響かへんかったし。
──それは配信うんぬんじゃなくて。
たぶんそうでしょうね。ライブハウスで見るよりも、ハードルは多少上がってるとは思いますし、届きにくくはなってると思いますけど、それを飛び越えたらいいんじゃないかなって思いますね。
──やれる自信は。
全然大丈夫です。
──頼もしい。地元でやれるというのも安心感あるだろうし。
まあ、それが一番緊張するんですけどね(笑)。15年前から知ってる人たちが揃ってるわけだから、そんなの、ただの参観日じゃないですか(笑)。お客さんがいないから、そこを見ないと仕方ないという状況で、なかなかメンタルはハードですけど(笑)。超怖いです。
──セトリとか、何か特別なことは考えている?
普通にライブやります。配信やからこういうセットにしようとか、そういうことはまったくなく。ライブを見てもらおうという感じです。
──「アオイハル」はもちろん歌う?
歌います。一人では歌ったことがあるんですけど、全員で歌ってこその「アオイハル」やというのはすごく感じてるので、楽しみですね。
──そしていよいよ観客を入れての初ライブが、9月11日の東京・EX THEATER ROPPONGI。もともと「アオイハル」リリースツアーのファイナルだったものを、ツアー初日に日程を組み替えてリスタート。
初日になりましたね。ほんまは名古屋、大阪、東京でワンマンをやる予定やったんですけど、名古屋と大阪がなくなっちゃって。張り切ってたのになあ…。
──そんな思いも込めて、次のツアーはどんなモチベーションで?
いやもう、これに関しては何も考えてないです。わからん!(笑) やれるんやったら「よし、やるで!」ってなるし、やれへんのやったらやれへん。それはそれ、これはこれ。
──せっかく、いい対バンもいっぱいいるから、なんとかやってほしい。やれてほしい。
ね。めちゃ楽しいライブになると思うんで、やりたいですね。でもどんな状況になっても、僕らがやることは変わんないですよ。それでいいんだって、めちゃ思いました。「こんな時やからこそ」とかじゃなくて、「こんな時でも」なんですよね。それは、こないだ配信ライブをしてすごく思ったので、「こんな時でも歌うことに変わりはないよ」という感じですね。それはライブハウスだろうと配信だろうと一緒なんで、「頑張ります!」って感じですね。
PRESENT
メンバー全員のサイン色紙を1名様に!
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