Base Ball Bear「Guitar!Drum!Bass!Tour ~日比谷ノンフィクションⅧ~」
2019年9月15日(日) 日比谷野外大音楽堂
「毎回言ってますけど、降らないですね、雨。降らないなー。すいません、晴れ男で。そういう星の下に生まれてますからね」
「今回9公演目で降らない、もう気象庁、上方修正した方がいい。気象庁の方、次からベボベのスケジュール見てください。降りませんから!」
頭2曲やったところではさんだ、小出祐介のMCより。2019年9月15日・日比谷野音、『日比谷ノンフィクション』と銘打って行っている、Base Ball Bearのシリーズ・ライブの『Ⅷ』8回目。ただし2デイズの年もあったので、小出が言ったようにトータルで9公演目になるが、一度たりとも雨に祟られていない、というのは、確かにすごい。なお、今回は、2019年1月リリースの4曲入りEP『ポラリス』と、9月リリースの4曲入りEP『Grape』のリリース・ツアー『Guitar!Drum!Bass!Tour』の初日も兼ねており、なので、『Guitar! Bass! Drum! Tour 〜日比谷ノンフィクションⅧ〜』という長いタイトルになった。
10曲目が終わったところでの、この日3回目のMC。「2018年、2019年と、(Base Ball Bearにとって)いろんな変化があって」と、レーベルを立ち上げてビクターと組んだり、マネージメントの組織変更でベボベ担当チームが変わってスタッフが一新されたことを話し始めた小出だったが、話の途中で「……降ってきた? ちょっと! やめて! 2時間待って!」と、肌で感じるか感じないかくらいの、ほんのかすかに降ってきた雨に、超敏感に反応する。ただし、この時とこのあとの2回あった、そのほんのかすかな雨もすぐに止み、「ベボベ野音雨降らず伝説」は、無事更新されたのだった。
というわけで、ツアー初日でもあるので、曲目・曲順のネタバレはできないのだが、当然ながら『ポラリス』と『Grape』の曲を軸に、過去の代表曲なども織り交ぜていくステージ。あたりまえだが、過去の代表曲は、4人用にアレンジして長年演奏してきたものを、3人用にアレンジを変えたもの。『ポラリス』『Grape』の曲は、3人であることからスタートして書かれ、アレンジされたもの。その両者のコントラストが、そのままライブの流れのコントラストになっているようでおもしろい、聴いていると。
僕が最初に観た3人だけのライブは、2018年の5月だったと思うが、その頃は「最小限の音でなんとかするしかないところへ自分たちを追い込んでみる」みたいな、楽しみながらもちょっと必死な空気もあるステージだったが、今は「最小限があたりまえ」「最小限が楽しい」みたいな、とても自然な感じになっている。大胆なくらい音数が少ないが、その大胆さがそのまま耳の快感になっている、というか。
3人になってから最初のアルバム『光源』は、バンド・サウンドに囚われない、バラエティに富んだ音作りだったし、そのタイミングの2回前(一昨年)の『日比谷ノンフィクション』は、ギターと鍵盤とホーンふたりが加わった大編成で行い、ゲストで呂布や福岡晃子が登場した。一回前(昨年)の『日比谷ノンフィクション』の段階では、ライブは既に3人編成になっていたが、RHYMESTERとペトロールズを迎えた対バン企画として開催された。しかし、今回はそれもなし、最初から最後までステージに上がるのは小出祐介と関根史織と堀之内大介の3人だけ、というふうにしたかった理由が、観ているとよくわかる。
という、今のBase Ball Bearの好コンディションっぷりがよくわかる、大充実のライブだったのだが、最後にもうひとつあった。アンコールで堀之内大介、2ヵ月前に息子が生まれたことを報告。パパになった以前に、結婚したことが公式には発表されていなかったので、超満員の客席、驚きに包まれる。堀之内大介、発表とかどうすればいいかタイミングがわからなかったから、今日こうして言えてよかった、というようなニュアンスのことを言っていた。わかります。わざわざ隠すことでもないけど、公式サイトとかで「結婚しました」って発表するのもなあ、芸能人か俺は、という気分になるだろうし。
ともあれ、おかげで、何かとてもめでたい空気で終わった、8回目・9公演目の『日比谷ノンフィクション』だった。
なお、終演後2時間ぐらいで、東京一帯、大雨になりました。