メジャーデビュー5周年記念ライブ「馳せ合い」
2019年9月15日(日) 新木場Studio Coast
出演:indigo la End/ゲスの極み乙女。/開場中ACT:うえの
ゲスの極み乙女。とindigo la Endがメジャーデビュー5周年を記念して、9月15日(日)新木場Studio Coastにて2マンライヴ『馳せ合い』を開催。場内に入ると、ステージ下手の巨大スクリーンにメンバー同士で2バンドの個性や違いを語り合う映像が流れ、観客も待ち時間を有意義に過ごせる工夫を凝らし、多くの人たちが興味深く話に耳を傾けていた。それから17時14分に開場中ACTとして、男性シンガーソングライター「うえの」がアコギ弾き語りで登場。澄んだ甘い歌声を存分に聴かせ、ラスト曲「メッセージ」では自然とフロアーからハンドクラップが起きる好リアクションを得ていた。
開演時刻17時半、スクリーンに川谷絵音(Vo&Gt)が姿を見せ、ゲスの極み乙女。、indigo la Endの2バンドを従えるフロントマンとしての心情を素直に吐露する。“ゲスが売れた時に気まずさはあった”“どちらもバンドの図体に差はない”“今日は倍率が高くて、この2マンをみんなが期待してくれるんだなと思った”と語った後、ようやく2マンライヴの幕開けである。
先攻はindigo la Endで、川谷、長田カーティス(Gt)、後鳥亮介(Ba)、佐藤栄太郎(Dr)のメンバー4人が現れると、「夜明けの街でサヨナラを」でスタート。早くもハンドクラップや手を挙げる人たちが増え、次の「名もなきハッピーエンド」ではサビの高揚感も相まり、場内も徐々に活気付いていく。テクニカルな演奏で惹き付ける「billion billion」は各楽器のフレーズが際立ち、この4人だからこそ生まれるバンドアンサンブルに酔いしれるばかり。“結構、久しぶりの曲をやります”と言うと、「染まるまで」へ。郷愁を刺激するメロディーに、僕の前方では肩を揺らしながら曲に身を委ねている女性の姿が目に飛び込んできた。
“昔の曲で突然消えた人がいて…”と川谷を切り出すと、その時の心情を綴った「アリスは突然に」を披露。切ないメロディーが胸に沁み入り、裏声を活かした広がりのある歌声に惹き付けられた。
“indigo la Endは(ゲスの極み乙女。とは)対照的なバンドだけど、相互作用がある”と、改めて2バンドが密接に関わり合っていることを説明する川谷。そこには両バンドが共にメジャー5周年を迎えられた喜びも含まれていたに違いない。そして、10月に出るニューアルバム『濡れゆく私小説』から新曲「小粋なバイバイ」を初披露。さらに同作から「結び様」をプレイした後、4年前のリリース曲にもかかわらず、tiktokで使用されたことで再び注目を浴びている「夏夜のマジック」を披露。青、黄、ピンク、緑などカラフルな照明を背景にムードある曲調でフロアーを心地良く揺らす。
最後は“2マンだから、この曲をやる”と言うと、「渚にて幻」へ。メロディーを際立たせた穏やかな曲調に多くの人が聴き入っていた。
さあ、後攻のゲスの極み乙女。が出てるかと思いきや、ここでステージ上手の2階席スペースにスピードワゴンの井戸田 潤扮するハンバーグ師匠がなんとスペシャルゲストで登場! 2人のダンサーを従え、川谷が楽曲提供した“ハンバーグ師匠のテーマソング”を披露。これが観客にも大ウケで、記念すべき2マンを華やかに彩ってくれた。
そして、川谷はガラッと衣装チェンジし、休日課長(Ba)、ちゃんMARI(Key)、ほな・いこか(Dr)がステージに立つと、遂にゲスの極み乙女。が演奏開始。「パラレルスペック」で始まるや、軽快なリズムに会場の温度は一気に高まっていく。華麗な鍵盤を配した「サカナの心」へ繫いだ後、「市民野郎」では“ウォー! ウォー!”の大合唱を巻き起こっていた。
「ノーマルアタマ」「song3」「ユレルカレル」と3連打でフロアーを焚き付けると、ここから川谷が長めのMCを挟む。すると暇を持て余したちゃんMARI、ほな・いこかの2人が漫才コンビ、チョコレートプラネットのネタ“TT兄弟”のマネして遊ぶ場面もあり、観客を笑わせていた。
そして、7月31日に配信リリースされた「透明な嵐」を初めてプレイ。疾走感あふれるドラマティックな曲調はライヴでも映え、訴求力の高いナンバーに気持ちはアガるばかり。「オトナチック」「無垢な季節」と畳み掛けると、“踊ろうぜ!”と川谷が呼びかけ、「星降る夜に花束を」を披露。歌詞に合わせて、観客は右手、左手と頭上に掲げ、場内には熱い一体感が生まれていた。
“「song3」とか何も考えずに作った。けど、この曲だけ課長に歌詞を替えた方がいいと言われた”と川谷は当時のエピソードをこぼし、本編ラストは「キラーボール」で締め括る。新木場Studio Coastの巨大なミラーボールが煌びやかに回る中、観客もシンガロングして曲の世界観に没入する熱狂的な盛り上がりを記録。
アンコールに応えると、川谷、ほな・いこかのツインヴォーカルで聴かせる「秘めない私」へ。キャッチーな歌詞や透明感のあるメロディーがクセになる楽曲で、グイグイと引き込まれていった。「ハツミ」を経て、いよいよこの2マンもフィナーレを迎えようとしている。するとindigo la Endのメンバー3人を呼び込み、全員がギターで参加するスペシャル編成で「ドレスを脱げ」を最後にプレイ! ハンバーグ師匠もステージに駆け付け、賑々しいパーティー空間を作り上げてくれた。メジャー5周年という、記念すべきタイミングだからこそ聴けたレア曲やサプライズな演出も飛び出したこの日のライヴ。1階、2階と立錐の余地もなく観客で埋まっていたけれど、誰ひとり置き去りにしない素晴らしい2マンライヴであった。
SET LIST
■indigo la End
01. 夜明けの街でサヨナラを
02. 名もなきハッピーエンド
03. billion billion
04. 染まるまで
05. ダビングシーン
06. アリスは突然に
07. 小粋なバイバイ
08. 結び様
09. 夏夜のマジック
10. 渚にて幻
■ゲスの極み乙女。
01. パラレルスペック
02. サカナの心
03. 市民野郎
04. ノーマルアタマ
05. song3
06. ユレルカレル
07. 透明な嵐
08. オトナチック
09. 無垢な季節
10. 星降る夜に花束を
11. キラーボール
ENCORE1
01. 秘めない私
02. ハツミ
ENCORE2
ドレスを脱げ