デビュー20周年を迎え、8年ぶりの活動再開を果たしたSURFACEと、彼らのデビューシングル「それじゃあバイバイ」を手がけた音楽プロデューサー・武部聡志によるコラボライブ「SAIKAI II」が5月25日(土)昭和女子大学人見記念講堂で開催される。2008年に行われた「SAIKAI」以来、約10年ぶりとなる今回のライブについて、SURFACEの椎名慶治と永谷喬夫、武部の3人に語ってもらった。
──SURFACEと武部聡志さんによるコラボライブ「SAIKAI II」が5月25日(土)昭和女子大学人見記念講堂で開催されます。武部さんはSURFACEのデビュー前、ユニットの名前が決まる前から関わっていたそうですね。
武部そうなんですよ。初めて会ったのはオーディションだったんですが、そのときは違うユニット名だったので。
椎名そうでした(笑)。「AXIAアーティストオーディション '96」(1996年)で最終選考に残って、渋谷の会場で審査会があって。そのときの審査員の一人が武部さんだったんです。演奏するわけではなくて、送ったデモテープを聴くだけだったんですけどね(笑)。
武部そのときも「いいな」と思ったんだけど、なぜか優勝しなかったんだよね。
椎名もっと素晴らしいアーティストがいたんでしょうね(笑)。
武部その後、2人はある事務所に所属するんだけど、そこは僕が懇意にしていたところで、「このユニットをこれから育てていこうと思う」と紹介されて。そこから1年半、デビューに向けて一緒に作品を作っていったんです。音楽業界のお作法を教えたというのかな(笑)。
──当時のSURFACEの印象はどうでした?
武部まず、2人とも若かったよね。
椎名20才くらいですからね。
武部怖いもの知らずの勢いがあったし、いろんな音楽の要素を持ち合わせているのもいいなと。椎名くんはソリッドなロックボーカリストという印象で、永谷くんはまろやかなサウンドも作れる人だったから。
椎名確かに怖いもの知らずだったかも。本当に申し訳ないと思うんですけど、武部さんのこともよく知らなかったし(笑)。いまだったら「え、武部さんですか?」って震えあがってるでしょうね。
武部音楽プロデューサーの仕事がそれほど認知されていなかったし、2人も「何をしてくれる人なんだろう?」という感じだったんじゃないかな。「本当は2人で曲を作りたいのに、余計なことを言う大人がいるな」っていう(笑)。
永谷いやいやいや(笑)。
武部ただ、僕もミュージシャンだからね。スタジオで一緒に演奏して、音楽で会話することで共鳴できたから、上手くやれたんじゃないかな。口だけ出しても、若者は言うことを聞かないでしょ。
永谷本当にいろいろなことを教えてもらいましたね。そのときに言われたことは、いまも役に立ってます。
椎名何年か経ってから「あのとき武部さんが言ってたのは、このことか」とわかることも多かったです。たとえば「時間があるときに曲を書いておけよ」とか。
武部「デビューして忙しくなったら、曲を書く時間がなくなるぞ」っていうね(笑)。そうやってデビューまでの時期を一緒に過ごして、ドラマのタイアップ曲(ドラマ『ショムニ』主題歌の『それじゃあバイバイ』)でデビューすることになって。「ここから勝負だね」というタイミングで、俺は“それじゃあバイバイ”ということで(笑)。
永谷ハハハハハ!
武部どんなアーティストでもデビューは1回じゃない? そのときに一緒にいられたのはすごく嬉しいし、絆も生まれると思うんですよ。
椎名ホントですよね。デビュー後は「自分たちの力で勝負したい」と思って、武部さんと離れたんです。その間もときどきお会いしてたんですけどね。永谷が(武部が音楽監督をつとめていた)KinKi Kidsの「LOVE LOVE あいしている」にギタリストとして参加したり。
永谷「おまえら、ちょっと売れてんじゃないかよ」って言われました(笑)。
椎名スタジオでばったり会ったときも「元気にしてる?」って声をかけていただいたり。それからSURFACEにもいろいろあって、デビューから10年後に「これが最後のシングルになるかも」というタイミングがあったんです。そのとき永谷が「もう1回、武部さんにプロデュースしてもらいたい」と言い出して。俺は「いまそれを言う?」という感じだったし、断られるかもしれないと思ったんだけど、お願いしてみたら快く引き受けてくれて。
武部嬉しかったですね。デビューまで関わっていた2人がブレイクして、10年後に「また一緒にやりたい」って言ってくれたんだから。何を置いても引き受けようと思いました。
椎名そのときのシングル(『素直な虹/情熱マイソウル』2008年)が解散前の最後のシングルになって。「せっかくだから、武部さんと一緒にライブをやりたい」という話になり、「SAIKAI」というライブを開催したんです。
永谷会場は東京キネマ倶楽部ですね。アコースティックな編成で。
武部ふだんの彼らのライブとは違う形でやりたかったんですよね。素の部分、飾ってない2人も見てもらいたかったので。「大丈夫かな?」と心配してたんだけど、おかげさまで大好評で。
永谷チケットが取れなかった方もかなりいらっしゃったみたいですからね。