──SURFACEが活動してない時期も武部さんとの交流はあったんですか?
武部ええ。椎名のソロ作品のレコーディングでピアノを弾いたこともあって。
椎名ムチャですよね。プロデュースでもアレンジでもなく、武部さんにピアノだけ弾いてもらうっていう。レコーディングのこともよく覚えていて、3回くらいバッと弾いて、「どれでも好きなテイクを使って」って帰っちゃったんです。一緒に制作していたヤマ(山口寛雄)と「すごいね」ってビックリしちゃって。
武部(笑)プレイヤーとして呼ばれるのは嬉しいんだよね。ピアニストして参加している作品は意外と少ないので。
椎名「ピアノを頼んでくるヤツは、おまえと森山直太朗だけだよ」って言われました(笑)。
武部言ったかも(笑)。SURFACEが活動していない時期も、椎名くん、永谷くんはそれぞれがんばってたじゃない? それも嬉しいんだよね、自分にとっては。
──2018年にSURFACEは活動再開。今回のコラボライブ「SAIKAI II」はどんな経緯で実現したんですか?
椎名永谷に「再始動しよう」と誘ってもらって、ちょうど20周年のタイミングで、また2人で活動を始めて。そのなかで「やっぱり武部さんとも一緒にやりたいよね」という話が自然と出て来たんですよね。連絡したら、すぐに「やろう!」と言ってくれて、すごく嬉しかったです。
永谷20周年の最後を締めくくるライブですね。ライブの2日後から21年目に入って、アルバム、ツアーの通常営業に戻るので。そうなると苦しいことも増えると思うので、その前に武部さんと一緒にライブをやって、いい夢を見たいなと(笑)。
武部20周年の節目にライブをやれるというのは、お互いに元気で音楽を続けてこれたからじゃないですか。続けてたくても続けられなかった人もいるわけで、一緒にステージに立てるだけでもありがたいですよ。
──ライブの内容はどうなりそうですか?
武部いま話をしてるところなんですが、ノスタルジックだけではなくて、お互いに次のステップに進めるようなライブにしたいと思っていて。これまでのキャリアを振り返りながらも、SURFACEはSURFACEで、俺は俺でがんばっていけるようなライブというか。
椎名ぜひそうしましょう。
武部ふだんとは違う部分、このライブでしか見られないものも提示したいし、あとは話もしたいんだよね。お客さんも聞きたいであろう話をね。
永谷武部さん、話もおもしろいし、タメになりますからね。椎名くんのMCもおもしろいので、僕は聞いてるだけかな(笑)。
武部(笑)それぞれのソロの曲もやりたいと思っていて。SURFACEも僕も見られるし、椎名ソロ曲、永谷ソロ曲も聴ける、盛りだくさんの内容になるでしょうね。
永谷椎名くんと武部さんが演奏してるところをステージの袖で観たら、ドキドキするでしょうね…。
椎名それはお互いさまだよ(笑)。
──前回の「SAKAI」を継承しつつ、さらに充実したステージが期待できそうですね。
椎名そうですね。前回の「SAIKAI」はDVDになっているんですけど、ライブの最後に感極まって泣いちゃってるんですよ。しかも武部さんに向かって。いま見るとかなり恥ずかしいので、今回は泣かないようにしたいです。泣き上戸というか、感情が高ぶっちゃったんですよね…。
武部感受性が豊かなことは大事だから。特に歌う人はね。
永谷具体的な部分はこれから詰めていくんですが、ステージの真ん中に武部さんのピアノを置いて、僕らは両側に立とうと思っていて。ピアノを堪能してもらえる時間も作りたいし、もちろん、みんなで盛り上がるコーナーも欲しいなって。いろいろなところを観てもらえるライブにしたいですね。あと、ライブのための新曲も作ろうという話もしてるんですよ。
──すごく楽しみです。武部さんから見て、いまのSURFACEはどう映っていますか?
武部20年以上音楽を続けて40代になると、落ち着いちゃったり、守りに入ってしまうのが普通なんだけど、2人はやんちゃ坊主のままなんだよね。それはいいことだし、まだまだ変化していくと思います。
椎名“守りに入らない”というのは肝に銘じてますね。いま新しいアルバムを作っていて。20年やってると「こうやったら、何となくいい曲になる」というノウハウもあるんだけど、そうじゃない表現を目指しているんです。それは難しいことだけど、なんとかがんばりたいなと。
武部いいと思う。「新しい扉はいくつになっても開く」というのは、先輩として教えてあげたいことの一つなんだよね。自分もそうで、納得できるピアノが弾けるようになったのは40代になってからだったし、50代になって気付いたこと、60代で発見できたこともあって。2人はまだ40代だから、まだまだ長い音楽の旅の途中だと思う。この先、いろんな出会いや別れがあるだろうけど、それを音楽に反映してほしいですね。
椎名そう言ってもらうと、この先が楽しみになりますね。僕らは器用ではないし、いい意味で苦しみながら、新しい楽曲を作っていけたらなと。「SAIKAI II」もひとつのきっかけにできたらいいですよね。ライブ当時は、まず自分たちが楽しみたくて。武部さんと一緒にステージに立つことは、もちろん緊張感もあるけど、「何があっても大丈夫」という安心感もあって。記憶に残る、いいライブにしたいですね。
永谷会場に足を運んでくれる方も「どんなライブになるんだろう?」と楽しみにしてくれてると思うので、驚きも嬉しさもあるライブにしたいなと。「20周年の最後がこのライブで、ホントに良かったね」と言えるようにがんばります。
──めちゃくちゃ期待してます。ちなみにリハのときの武部さんは、やっぱり厳しいんですか?
椎名いえ、そんなことはないですよ。根を詰めて繰り返しやるというより、全体を把握した時点で「じゃあ、次いこうか」という感じなので。「あとは各自で確認して、当日のリハで微調整すればいいんじゃない?」っていう。
武部音楽って、練習に練習を重ねて、それによって感動することもあるけど、一瞬のきらめきによって心を動かされることもあって。僕はどちらかというと、後者なんですよ。レコーディングもそうで、何度もテイクを重ねるより、その瞬間に輝いているところをパッと切り取るのが好きなので。昨今はそうじゃないものが多いでしょ? 歌も演奏もどんどん直して、完璧にきれいに整えてしまうけど、すごくつまらないと思う。
椎名確かに僕らも、その瞬間に出たものを大事にしてますね。完璧なものがいいというわけではないと思って、20年やってきたので…。もちろん、「SAIKAI II」はがんばりますけどね(笑)。
PRESENT
SURFACE×武部聡志 寄せ書きサイン色紙を1名様に!
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