2月24日(日)、マイナビBLITZ赤坂で開催された、BuZZ(オープニングアクト)と感覚ピエロとの対バンイベント<extreme the music-4th session->のトリを飾ったRayflower。SEに乗せブルーのライトが明滅する中、メンバーが順に登場。最後、マイクスタンドの前に田澤孝介(Vo)が辿り着き右手を挙げたのを合図に、「Bloom Moment」がスタートした。
高らかに歌い上げるサビ始まりのこの曲、田澤は早々に“赤坂~!”とシャウトを盛り込み、スコン!と突き抜けた明るさでオーディエンスの心を着火。IKUO(Ba)とYUKI(Gt)は緻密なプレイをくり出しながら、呼吸を揃えるように華麗にターン。魅せて聴かせるRayflowerの本領を余すところなく打ち出していく。勢いは「ユースフルハイ」に引き継がれ、田澤はマイクのコードが外れるトラブルをものともせず、フロアとのコール&レスポンスを力に変え、大きな存在感を放つ。
間髪入れず前へ出てIKUOがベースソロを奏でると、「Prisoner of evolution」でノリが一変。ダンサブルなリズムに乗せ、メンバーもフロアもジャンプをくり返す。軽やかさを支えているのはSakura(Dr)の盤石でグルーヴィなドラミングである。転調、テンポの変化を含むドラマティックな展開は圧倒的。都啓一(Key)のシンセサイザーはメロウな旋律を奏でたかと思えば、ある時はファンファーレのように高らかに響き、多彩な色を感じさせた。盛り上げるだけではなく、深く引き込む。超絶テクニックと熱い人間らしさ、硬派なバンドらしさとエンタテインメント性とを兼ね備えるRayflowerの魅力を、冒頭3曲は見事に凝縮していた。
MCでは、オープニングアクトのBuZZ、感覚ピエロ(1月5日に大阪で開催されたRayflowerのツアーファイナルを観に来ていた、とMCで明かした)を「2バンドとも楽しかった!」と田澤。「やっぱり『O・P・P・A・I』(感覚ピエロの楽曲)の破壊力って言ったらない(笑)。あれはズルい。楽屋で無言で準備しながら、各々が気づいたら口ずさんでた(笑)」と明かして笑わせた。
対バンイベント出演は久しぶりだとも語り、Rayflowerファン=“花キューピット”に向けて、「普段、Rayflowerのライブはいかがなものであるか、普段僕らはどんな感じでイチャコラしているのか(笑)。今日初めて俺らのライブを観る人にしっかり伝えたいんですよ。それには花キューたちの力が必要」とサポートを求めると、「Welcome to The Gracious World」からはヘヴィでダークな面を打ち出していった。粘り気のある重いグルーヴ感と、田澤の低音域の魅力。ラストのフェイクでは、武器であるハイトーンを存分に響かせた。
余韻を切り裂くようにSakuraがドラムを打ち鳴らすと、「Runaway Brain」へ突入。ベースソロ、ギターソロと聴かせどころを詰め込みながらも演奏には一糸の乱れもなく完璧で、情報過多にならず、小気味よく場面が切り替わっていく。Sakuraの、打ち上げ花火のクライマックスを思わせる怒涛のドラムソロは圧巻だった。「憂いのFUNNY MAN」に雪崩れ込むとますますテンポアップしたが、観客との呼応も息がピッタリ。都はショルダーキーボードを携えセンターへ飛び出し、IKUO、YUKIと3人で髪を振り乱す。
間髪入れず「サバイヴノススメ」にシフトしても、スピード感は持続。都とYUKIは向かい合ってプレイ、田澤がターンして白いマイクコードを宙に舞わせると、大歓声が起きた。音がクリアに粒立った驚異のスラップベースをくり出すIKUO、「キーボード、都先生!」と田澤にコールされショルダーキーボードの鍵盤に手を滑らせる都、朗々と長く声を張り上げた後、リズムに乗せてボクシングのパンチを押し出すようなアクションをする田澤。打ち鳴らされるSakuraのドラムとむせび泣くように奏でられるYUKIのギター。この曲が終わるころ、フロアの熱は最高潮に達していた。
メンバーの名を口々に呼ぶファンの声が響く中、「赤坂、楽しんでますか? 俺たちも楽しませてもらってます、ありがとう!」と田澤。
「ああ、しんど(笑)」と素の声をこぼして笑わせながら、「Rayflower、5月にツアーが決まってます! 詳しいことは今日みんながこの会場を出て、夢という名の扉を開けて、現実という名のお家に帰る手前ぐらいで、『いついつライブをするよ』と書かれた紙が配られると思いますので(笑)、詳しくはそちらを」とユーモアを交えながら告知。
「せっかく出会った縁ですから、この出会いを大事にしてほしいな、と思います。今日Rayflowerを初めて観てくれた人は、これが始まりになってくれたらいいな。なかなか1回でスコン!とハマることはないかもしれないですけど、0が1になった。“Rayflowerというバンドのライブを観たことがある人”になるわけですから。またもう1回会うことができたら、今日と同じ以上に、それ以上に楽しい時間を共有できたらいいなと思っています。今日はありがとうございました!」と会場の全員に語り掛けた。
終盤に披露したのは、「ENDLESS JOURNEY」。2018年秋から2019年頭にかけて行われたツアータイトルに冠されていた、最新ミニアルバム表題曲である。先ほどまでの熱狂を落ち着かせるようなゆったりとしたテンポ感で届けられる、朗らかな歌。ツアーをくり返すバンドメンバー目線のようでありながら、実はファン目線に立って紡いだというリーダー都の歌詞は、終わりの次に訪れる始まりの光を感じさせ、ライブが終わってしまう切なさを希望に変えていた。
「1、2、3、4!」とSakuraのカウントする生声が響き、逆光に照らされながらスタートしたのは、1stミニアルバムに収められた「花束〜from rose with love〜」。ピアノが美しく響く名バラードであり、ロックンロールの激しさも宿す、特別な1曲。意表を突いた選曲だった。メンバー各自が渾身の力を込めているのが手に取るように伝わってくる歌と演奏に、フロアはじっと聴き入って立ち尽くしていた。大拍手のうちにライブは終了。全9曲というコンパクトさでありながら、激しさあり楽しさあり深さありの緩急に富んだステージをくり広げた。
5月から始まるツアーは、“Re:~Endless Journey~”と題され、全公演異なるセットリストを披露すると発表。デビューからの全曲を網羅するという、バンド史上初の試み。必然的に複数の公演に足を運びたくなる、この攻めのツアーコンセプトに、開幕がより一層待ち遠しくなった。
▼セットリスト
01. Bloom Moment
02. ユースフルハイ
03. Prisoner of evolution
04. Welcome to The Gracious World
05. Runaway Brain
06. 憂いのFUNNY MAN
07. サバイヴノススメ
08. ENDLESS JOURNEY
09. 花束