思い出かぁ…。一番最初に思い出すのは、実家の近くの田んぼですかね。そこの景色だけは周りに新しい家も建たないから、昔から変わらないんですよね。地元にいた中学、高校時代に剣道で落ち込んだとき。芸能界に入ってからも、落ち込んだときはそこの田んぼの土手で泣いてたんです。誰にも見られないから。なにかあったらそこで泣いてたので、そこの田んぼは感慨深いですね。
あと、そこで花火大会があって。100発花火があがったんですよ。普通の花火大会に比べると全然少ないんですけど、隅田川で見た花火大会よりもあのとき見た花火大会。あれが一番綺麗だったんです。そう思うと、原点を大切にしなきゃなと思います。
あとは、僕がこの業界を目指す一つのきっかけになった話なんですけど。僕の親父は僕が子供の頃、よく飲みに行ってて。スナックが大好きだったんですよ。それで、僕が高校で免許とったあとは、親父が飲みにいくときの送り迎えをしてたんです。
ある日、お店に迎えにいったらまだ親父が飲んでて。田舎のスナックなんですけど、そこに親父以外におじいちゃんが1人で店に来てたんです。そのおじいちゃんに「お前1曲歌え」っていわれて、当時流行ってた森山直太朗さんの「さくら」を歌ったら、そのおじいちゃんが涙を流しながら聴いてくれたんですよ。じつはこれがおじいちゃんの思い出の曲だったらしくて、涙を流しながら僕に「ありがとう」っていいながら1000円だったかな……くれたんです。そのときに、人の心を動かしてお金を貰うお仕事って素敵だなと思ったのが、僕が芸能界を目指したきっかけでもあるんです。
おじいちゃんからもらったお金は使わずに、当時使ってた財布の裏側にずっとしまってました。1年間ぐらいはしまってたんですけど、あるとき電車賃が足りなくなって。どうしようもなくて、それを使っちゃいました(笑)。ここでね「そのお金はいまも使わずにずっとしまってあります」といえたらカッコよかったんでしょうけど。田舎で育ってるんで、こんな感じでいつもありのままをしゃべっちゃうんですよね(笑)。
安達さんらしいほっこりエピソードもありがとうございました。