今年、清春はデビュー30周年を迎えている。3月20日に発表した4年ぶりのオリジナル・アルバム『ETERNAL』では、表現者としての大いなる成熟と進化を示し、各方面から賞賛の声が寄せられている。現在は2025年2月9日まで続く30周年記念ツアー〈清春 debut 30th anniversary year TOUR 天使ノ詩 『NEVER END EXTRA』〉を開催中だ。
そんな彼の祝祭の旅の中で大きな話題となるのが、3日間のステージ限定で復活するSADSである。6月29日・30日にはZepp Hanedaにて〈SADS 1999-2003〉、7月7日にはGARDEN 新木場 FACTORYにて〈SADS 2010-2018〉が再結成されるのだ。計3公演のみのこの特別な宴では、各当時のメンバーが集まり、各時代にリリースした楽曲から成るセットリストを披露、各日の演奏曲に被りは無しだという。今回の趣向を少し補足しておこう。
6月29日・30日のZepp Haneda公演は〈SAD ASIAN DEAD STAR〉と題し、SADS結成時からのメンバーである坂下丈朋(G)、セカンドアルバムツアーから加入の小林勝(B)が集まる約20年振りのライヴとなる。ドラムを務めるのは、現在、小林と活動を共にする照井仁(Dr)。彼らが清春(Vo)とどんな稀有なグルーヴを生み出すのか、興味が尽きない。尚、この両日はアルバム『SAD BLOOD ROCK'N'ROLL』(1999)、『BABYLON』(2000)、『THE ROSE GOD GAVE ME』(2001)、『””(untitled)』 (2002)、『13』(2003)からセットリストが組まれることが決定している。毒と華をまき散らすロックンロールに期待したい。
そして〈SADS 2010-2018〉が登場する7月7日はSADSのデビュー記念日。この日のGARDEN 新木場 FACTORY公演は〈GOTHIC CIRCUS〉と銘打たれている。SADSは2004年に活動休止したが、2010年にK-A-Z(G)、クボタケイスケ(B)、GO(Dr)という新メンバーで活動再開を果たした。今回のライヴでは、2017年から加入したYUTARO(B)がベースを務めるメンバー編成となる。この日はアルバム『THE 7 DEADLY SINS』(2010)、『Lesson 2』(2010)、『FALLING』(2018)の楽曲群からセットリストが構成される。轟音ヘヴィロックに全身を貫かれる夜となるだろう。
SADSは日本のロック史上に輝く、攻撃的かつ退廃的な美学をまとったアクトである。そんなバンドの特別公演が、あくまでも、ソロ・アーティストとしての清春のデビュー30周年記念ツアーの中に組み込まれている事実が興味深い。このタイミングで蘇ったSADSのグルーヴに触れることにより、観客は新鮮な発見を得られるかもしれない。この夏、清春率いるロック・バンドの神髄が炸裂することだろう。
これらの公演は5月25日(土)に一般発売を迎えた。この再結成復活公演後、バンドの次の予定などは一切立てられていないということなので、今回の20年振りの機会を我々は見逃してはならない。3日間限定で各日異なるスリリングなSADSの雄姿を目に焼き付けたいものだ。
TEXT BY 志村つくね