『新作歌舞伎FINAL FANTASY X』製作発表に尾上菊之助、中村獅童、尾上松也らが登壇。「エンタメの世界に少しでも元気を届けられれば」

ニュース | 2022.11.29 19:30

2022年11月29日(火)、都内会場で『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』の製作発表会が行われた。
『ファイナルファンタジーX(以下、FFX)』は、北瀬佳範プロデュースによる大人気ゲーム『ファイナルファンタジー』のシリーズ10作目で、キャラクターヴォイスや表情が変化するフェイシャルアニメーションを採用、リアリティを増した描写が大いなる脅威『シン』に立ち向かう少年と少女の切ないストーリーに一層の深みを与えた名作として現在進行形で多くのユーザーに愛されており、続編を含め世界累計出荷・DL数は2,110万(2022年3月末時点)以上を誇っている。そのFFXが、2023年3月に新作歌舞伎として上演されるとして、企画・演出・主演を担う尾上菊之助をはじめ、初演キャストの中村獅童、尾上松也、坂東彦三郎、中村梅枝、中村米吉、中村橋之助、上村吉太朗、FFXプロデューサーの北瀬桂範(SQUARE ENIX)が登壇し本作品について語ってくれた。

尾上菊之助は、コロナ禍の真っ最中である2020年に「毎月、先行きが見えない状況をなんとかしたいと思う中、気持ちを掬いあげたのがFFXだった」と切り出し「FFXの物語を通して、コロナ禍の世界へ、戦争が起きている世界へ、強いメッセージを届けエンタテインメントを元気できるのではないか」と思いを語った。同ゲームのプロデューサー・北瀬佳範は、菊之助からの今回の企画提案に対し「最初は驚いたが、伝統文化の歌舞伎と最後発のエンタテインメントであるゲームが融合する事で、どのようなものが生まれるのか、野心的で面白そうな企画だと思い即決した」と振り返った。

尾上菊之助

北瀬佳範

アーロン役の中村獅童は「コロナ禍で家にずっと籠もっており、自分のこれからの生き方やこれからの歌舞伎界の事を考えている中、菊之助さんから電話を頂いた。菊之助さんの熱い想いに応えさせて頂きたい」とコメント。シーモア役の尾上松也は「菊之助のお兄様からお話を頂いた時、コロナ禍の中でも前に進もうとするお兄様に非常に感動しました。大先輩から直にお話をして頂き、その思いを聞かせて頂いた事は嬉しくて光栄だった」と述べる。

中村獅童

尾上松也

今回のコスチュームについての質問に、キマリ役を演じる彦三郎は「一番気になる(獣人種族ロンゾ族の青年である)キマリのコスチュームですが菊之助さんは『再現性が高い』と喜んでくれたし、米吉さんと松也さんに写真を送ったら爆笑してくださったんで、歌舞伎のキマリとして大成功」。ルールー役を演じる中村梅枝は「衣装を和装に仕立て直して頂き、色気がありながら着物という形が残っていて、見た瞬間にルールーとわかるように出来上がっていて満足しています」とコメント。ユウナ役を演じる中村米吉は「衣装写真を彦三郎のお兄さんにお見せしたところ『ちょっと胸が小さい』とお叱りを受けまして、そこも改良をさせて頂きました」と会場を和ませた。

坂東彦三郎

中村梅枝

中村米吉

また、前後編合わせて全体で9時間近い長丁場になることから、菊之助の希望により背面と座面に高弾性ウレタンフォームクッションを全座席に設置することを考案。菊之助は「Twitterなどから『9時間は死ぬ』というお声がありました。腰とお尻に優しい設計にしないと前編・後編を見ていただくのは難しいんじゃないかと思いお願いをしました。このシートクッションを完備することにより、安心して旅を楽しんでいただければと思っております」と説明する。

さらに、休憩時間も楽しんでいただけるように「ファンタジーエリア」を構想中とのこと。ここでは、劇場ロビー内の併設カフェや、キッチンカーなどを出展し、公演限定のドリンクやフードが楽しめる。劇場の横には色とりどりの大きな幟も設置。獅童は「休憩時間に美味しい食事をしながらおしゃべりをするというのも歌舞伎の醍醐味だと思う。劇場の辺りには食事をする施設も少ないので、アミューズメントパークのようにできないかと思い、歌舞伎を見たことがない方や、原作ファンの方や、歌舞伎上級者まで楽しめるようにとご意見させていだきました」とコメントをした。さらに近隣ホテルのコラボとして終演後に大浴場を楽しむことのできるプランに、松也は「いいですね〜!最高だよ!僕もぜひこのプランで劇場に通いたいな」と好反応を示した。

継承のもとに自らの創造を生み出してやまない新作歌舞伎。来春は、全く誰も目撃したことのない「歌舞伎体験」を生み出してくれそうだ。

中村橋之助

上村吉太朗

第三弾スポット映像

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