ギターインストのイベント「Legend Guitarist」から派生したスピンオフ・イベント「Legend Guitarist 異伝vol.2~Le Voyage~」が開催された。今回はyou(Janne Da Arc)とRENOという組み合わせで、これまで以上に濃いライブにすると宣言。さらに、ゲストにLeda(Far East Dizain)も加わり、プログレッシブでディープ、それでいながら遊び心を忘れない、ギタリストとしての可能性を広げたイベントとなった。
開演と同時に幕が開くと、センターにはyouとRENO、そしてバックに3名のMusician NATCHIN(Ba / 21g)、都啓一(Key / Rayflower)、前田遊野(Dr / 仮BAND)の姿があり、「Distorted View」がスタートした。どこか妖しいムードを醸し出すリフに引き込まれつつ、冒頭から2人のギタリストが高いテンションでソロを弾きまくり、早くもピークに達しそうな勢いだ。
「action」はアッパーなナンバー。細かく複雑なリフで構成され、RENOはバッキングを中心にプレイ、youは速弾きで空間を切り裂くようなフレージングで魅了し、場内の熱気はどんどん高まっていく。わずか2曲で、このうえなく密度の高い空間が作り上げられていく。
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RENO
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そして、RENOの曲「Stardust」へと突入し、伸びやかで美しいメロディが会場に響く。youがバッキングに回り、RENOがメインとなるフレーズを奏で、滑らかなコンビネーションで整然と構築されたサウンドを聴かせていく。
NATCHIN、都啓一、前田遊野がいったん去り、2人だけで「home」を演奏。youの弾くメロウなフレーズにRENOがハモリでフレーズを加え、艶やかなサウンドを生み出していく。
そして、NATCHIN、都啓一、前田遊野が戻り、「罪と罰」ではエモーショナルなギターが交錯しながらも、愁いを秘めたRENOのギターが官能的なサウンドを聴かせていく。情感豊かなギターが物語性を感じさせ、観客も楽曲の世界に引き込まれていた。
また、難易度が高いことから、めったにライブでは取り上げないという「feel」をこの日、あえてセットリストに加えた彼ら。イントロからyouの細かいフレーズがちりばめられ、最初から聴き手を圧倒していく。場面展開が激しく、感情の起伏がそのまま連なっているかのような構成だ。そして、次々に目まぐるしく変化しながらも、場面ごとに主張してくるギターの存在感。特に、後半のyouのタッピングによるソロは鳥肌が立つほどの凄みを感じさせた。もちろん、RENOも驚異的な速弾きで応戦。2人の極めつけのプレイが、曲中で思う存分、発揮されていた。
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ここからLedaがゲストで参加し、彼のオリジナル曲「Octagram」を披露。Ledaの8弦ギターから紡ぎだされる独特なコード感によって、会場もさっきまでとは違う雰囲気になっていく。指弾きとピッキングを組み合わせ、キャッチーなフレーズと複雑なフレーズを使い分けながらミステリアスな世界を形作っていく。
メランコリックな曲調の「WHITEHOLE」では、ゆったりとしたビートに乗せて自由に羽ばたくようにLedaのハイトーンのメロディが鳴り、途中から2人のハモリとバッキングが加わることで、音の厚みがじわじわと増していく。全く異なる曲調でありながら、2曲ともLedaの個性を深く刻むナンバーだった。
Ledaが去り、再び2人のステージに。ここから後半のラストスパートへと突き進む。
8ビートでアップテンポな「change」では、ステージ前にあるお立ち台に上がり、2人とも渾身の速弾きで華麗なソロを交互にぶつけて高め合う。さらに、RENOがコール&レスポンスで会場を温めた後、スピード感あふれる「Chemical ROCK」の豪快なリフで畳みかけるように盛り上げていく。その興奮が冷めないうちにラストの「JOURNEY」に繋げ、開放感に満ちたサウンドが会場を包み込む。広がりと奥行きを感じさせるスケール感を宿した演奏で、ギターの無限の魅力をしっかりと焼き付けて完走した。ギタリストとしての2人の本気度を余すところなくぶつけた痕跡を、どの曲にも残してくれた。
アンコールにこたえて現れたメンバー。Ledaは白衣に眼鏡とマスクいうコスプレで登場し、注目を浴びる。本人によれば、これはデジマート地下実験室・室長のコスプレ(デジマートは楽器情報サイト)だという。
このイベントではカバー曲をよく取り上げているが、今回はマニアックな選曲をしたいということで、『ファイナルファンタジー』の「ビッグブリッヂの死闘」をピックアップ。しかも、ギター用に作られた曲ではないうえに、三者三様のコピーをしたため、同じフレーズでも3人とも押さえるポジションが違うという、ギターならではの特徴が出ることになったとコメント。
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RENO
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その「ビッグブリッヂの死闘」は、生バンドにアレンジしたことでロック色の強いサウンドになり、ギタリストのタイプの違いが明確に打ち出されるナンバーとなった。youがまずメインとなるフレーズを弾き、そこに2人が参加するのだが、それぞれ自分の得意なフィンガリングでアプローチしているため、まるで違う曲を3人が弾いているようなスリリングな光景を見ることができた。
ここで、いつもはオープニングに使われていた「Legendary」を、あえてアンコールで披露。ここに至るまで難度の高い曲が多かっただけに、ピンポイントで急に爽やかな風が吹くような流れとなっていたのが印象的だった。そして、3人の見せ場となるギターソロも各々、突き抜けたものになっていた。
RENO
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Leda
この日のラストは「Flowers」。会場とステージが一体になってタオルを回す光景とともに、Ledaがメインとなる爽快なメロディを弾き、キラキラしたギターの音色をふりまく。you、RENOのソロも明るく軽やかに響き、笑顔のままエンディングを迎えた。
このイベントに向けて“プログレッシブな内容にしたい”とyouとRENOの2人は語っていたが、その言葉どおり、細かいこだわりとギタリストとしてのプライドが火花を飛ばした白熱のライブ。ゲストのLedaも含め、ギターを演奏することの充実感を体現し、それをオーディエンスと分かち合う、最高のステージとなった。
SET LIST
01 Distorted View (RENO)
02 action (you)
03 Stardust (RENO)
04 home (you)
05 罪と罰 (RENO)
06 feel (you)
07 Octagram (Leda)
08 WHITEHOLE (Leda)
09 change (you)
10 Chemical ROCK (RENO)
11 JOURNEY (RENO)
En
ビックブリッヂの死闘 (ファイナルファンタジーV)
Legendary (Legend Guitarist Vol.1 オフィシャルテーマ)
Flowers (Legend Guitarist Vol.3 オフィシャルテーマ)