今回で4回目となった『吉田山田祭り』には、女性を中心に、ご年配者から小さいお子様連れのファミリーまで、吉田山田の人気を実感させる幅広い層のファンが駆けつけた。浴衣姿のファンも多数いて、客席はまさしくお祭り会場といった華やかさだ。そんな会場に祭り囃子が流れ始めると、それに合わせて観客の手拍子が鳴り響き、ハッピを着たふたりがステージに現れて年に一度のお祭りが始まる。
1曲目は「魔法のような」。ゆったりとしたビートとあたたかみのあるサウンドに乗せて、会場にはお客さんが一体となっての《ラ〜ラ〜ラ〜》という歌声が響き渡る。山田義孝(Vo)は客席に降りて一緒に嬉しそうに歌い、“素晴らしい! 今日までみんな、頑張って生きてきたんだなっていうのが、《ラ〜ラ〜ラ〜》に表れてたよ!”と、観客の歌声を賞賛した。一方、吉田結威(Gu&Vo)は“山田が(テンションが上がりすぎて)、歌詞を飛ばさずに歌えて良かった”と笑いを交えながら、“今日まで頑張ってきたご褒美として、1日楽しみましょう”と、観客に向けて声を飛ばした。
この日はステージと客席の境界線が一切ないといった様子で、会場全体がひとつになって盛り上がった。山田は何度も客席に降りて通路を走り回りながら歌い、時には吉田も客席でギターをかき鳴らして、会場全体がステージになった。曲によって、一緒にタオルを回した他、「OK」では、観客が“OK”と描かれた赤いうちわを一斉に掲げて揺らす。観客参加型の曲の数々で、恥ずかしがってる間もないほど。また、曲中で客席に降りた山田が、小さな子どものファンに“一緒に歌って”とマイクを向けると、とっさに名前を言われてしまうというかわいらしいハプニングもあったが、こういうあたたかいムードも、実に吉田山田らしい。
「カシスオレンジ」や「キミに会いたいな」は、椅子に座ってアコースティック編成で披露した。また「Today,Tonight」は、吉田山田のふたりだけで披露。吉田のギターに山田の歌とハーモニカ、そして野外ならではの蝉の鳴き声も加わり夏の夕暮れどきを感じさせ、胸をキュンと締め付けた。
また、この日は10月31日にリリースする6thアルバム『欲望』から、新曲を2曲披露してファンを喜ばせた。前作の『変身』を経て次に出す今回のアルバムは、来年迎える10周年に向けて、もし何かが起きてそのアルバムを最後に吉田山田が終わったとしても、悔いのないようなものにしたいと思って作りました。でもその制作がすごく楽しくて、その中でいろいろな欲望がどんどん沸いてしまって。そんな気持ちで『欲望』とタイトルに付けました”と、ニューアルバムについて説明した。
そんなアルバムから本邦初公開となった新曲「拝啓」は、どこか荒野のガンマンのような、ワイルドな格好良さのあるロックナンバーで、吉田はエレキギターを激しくかき鳴らし、山田の歌声はいつもより力強く響いた。もう1曲の新曲「COLOR」は、山田が作った楽曲。ラテンを取り入れたリズムと、どこか歌謡曲っぽいメロディの組み合わせが秀逸。山田は身振り手振りを交えて、手を回したりヒラヒラさせたりしながら歌った。どちらも吉田山田に新しい風を吹かせるような楽曲で、ニューアルバム『欲望』がどんな作品になるか待ち遠しくさせる2曲にファンは手拍子をしながら聴き漏らすまいといった雰囲気でジッと聴き入る。
ライブの最後は、「夏のペダル(祭りver)」で締め括った。背中に“祭”と描かれたハッピを着て、曲中で祭り太鼓の演奏も披露。観客は振り付けや手拍子を楽しみ、ふたりの太鼓に合わせて“ワッショイ、ワッショイ”とかけ声をかけながら、平成最後の『吉田山田祭り』の光景を目に焼き付けた。
“感動した。すげぇ感動した。やってきて良かったなって。来年デビュー10周年、これまで信じられないくらいたくさんの別れもあって、今思えばよく乗り越えられたなって自分を褒めてやりたい時もあった。でも今日この瞬間このステージに立てて、いろんな後悔とか約束が報われた気がします”と、吉田。山田は“最高の夏をありがとう。またお会いしましょう。サンキュー!”と、再会を誓い合った。
この日は、すでに発表されている『吉田山田ツアー2018
セットリスト
■第1部
01. 魔法のような
02. 新しい世界へ
03. RAIN
04. OK
05. カシスオレンジ
06. キミに会いたいな
07. Today,Tonight
08. 拝啓(新曲)
09. ハローグッバイ
~インターバル / RADIO~
■第2部
10. 虹の砂
11. カシオペア
12. カケラ
13. 僕らのためのストーリー
14. 日々
15. COLOR(新曲)
16. もし
17. 未来
18. イッパツ
19. YES!!!
20. 夏のペダル(祭りver)