セットチェンジを終えると、SUSHIBOYSがステージに登場。フロアからは待ってましたと、大きな歓声が湧くなか、寿司職人の格好をしたサポートDJのタイプライターが「NIGIRI」「KUNG FU」を立て続けにスピン。スキルフルなラップをするファームハウス、高音で声の通るエビデンス、エキセントリックなパンチラインを繰り出すサンテナと、三者三様の個性を持ったラップでたたみ掛ける。サンテナが「みんなで飛行機に乗ろう! エコノミークラスだけど、いい?」というかけ声とともに「旅に出よう」で会場をひとつにまとめ上げる。MCではメンバーの自己紹介をしながら、「今日のライブは川越の寿司職人っていうテーマ。フロントの若手3人と親方職人がお届けします」とサンテナが語る。そして、若者が不足する世の中、年金問題などの与太話を一通り3人で語り合ったところで「ゲートボーラー」へとなだれ込むという、会話で次の曲を匂わせてから演奏するというスタイルのようだ。続く「ママチャリ」はダーク目なトラップのトラック。本場USのトラップだと、リリックの内容はだいたい高級車かドラッグネタだが、SUSHIBOYS版のトラップはママチャリが俺たちの移動手段だというリリック。そのアンバランス感が笑いを誘う。こう書くとお笑い系のラップかと思われるかもしれないが、全員のラップスキルはかなり本格的で、フロウのキレ味も良く、そこがまた彼らの持ち味だと言える……なんてことを感じていたら「OMG」という完全に笑いだけを誘ったトラックもあり、そんなヤンチャな感じも、若さ溢れる彼ららしさなのだろう。
まだデビューして間もないSUSHIBOYS、ということは、そんなに持ち曲がない。8曲が終わったところで「大将、変わり種ないんすかね?」と、サンテナが喋りはじめると、「今日は築地じゃなく、大洗まで行って、仕入れてきたよ!」と、大将(タイプライターがいうとステージ奥からは大将(タイプライター)が大きなアヒルの浮き輪を引っ張りだして客席へ投げ込み「アヒルボート」へと突入。オーディエンスも大喜びで、アヒルは満杯になったeggmanのオーディエンスの上をグルグルと移動していく。フロアが暖まりきったところで「軽自動車」を投下。シティポップをサンプリングした爽やかなトラックと、彼らにとってママチャリと合わせて、移動手段でもある軽自動車ネタのユーモア溢れるリリックで、フロアをロックする。オーディエンスもラップに合わせてハンズアップで応酬した。続いて「思ったよりも」を演奏したところで、一旦ステージは閉幕した。
鳴り止まぬ拍手のなか、3人がふたたびステージにあがると「おかわりいきたいと思います!」というファームハウスの言葉から「Catch ur dream」をプレイ。ダンスクラシック風のパーティトラックに合わせて3人も今日一番のテンションでオーディエンスを煽る。そして人気曲「ダンボルギーニ」を演奏。今っぽいシンプルで泣きのトラックに合わせて、段ボールとランボルギーニを合わせたユニークなリリックを披露。ラストは「最後みんなでぶっ飛ばしていこうぜ」というかけ声のもと、「問題ねぇ」ではオーディエンスとしっかりとコール&レスポンスをキメてステージを締めた。
途中、MCでファームハウスは「こんなに人が集まるなんて思っていなかった」と語っていたが、彼らが早々に人気を得たのは、埼玉の田舎町出身の視点を持って、クスっと笑えて、かつ自然体な共感を持てるリリックを書ける才能があったからこそ。それでいてラップのスキルも充分あるのだから、ここから彼らがどこまで成長できるのか、今後が楽しみになるようなステージだった。
SETLIST
■ドミコ
01. バニラクリームベリーサワー
02. こんなのおかしくない?
03. united pancake
04. Pop,Step,Junk!
05. ミッドナイトネオン
06. マイララバイ
07. ロースト・ビーチ・ベイベー
08. まどろまない
09. 地球外生命体みたいなのに乗って
10. くじらの巣
■SUSHIBOYS
01. NIGIRI
02. KUNG FU
03. 旅に出よう
04. ゲートボーラー
05. ママチャリ
06. ブルーハワイ
07. OMG
08. なんでもできる
09. アヒルボート
10. 軽自動車
11. 思ったよりも
EN
01. Catch ur dream
02. ダンボルギーニ
03. 問題ねぇ