ライヴの終盤戦では、ベスト盤用に収録するために、リアレンジされた「ROCK-mode'18」で拍車をかけ、「Thrill, Risk, Heartless」「Psychedelic Drive」といった人気曲を届け、彼女の意識を大きく変化させたという「Catch the Moment」でオーディエンスと共に声を重ねて歌ったのだった。本編ラストに届けられた「Mr.Launcher」で、会場内がこの曲のテーマカラーであったグリーンで埋め尽くされた瞬間では、LiSAとオーディエンスの絆がはっきりと見えた気がした。
アジアツアー初日となった2日間のライヴは完璧だった。LiSA本人も、しっかりと手応えを感じていたであろうほどに“完璧”であり、観た者の感想としても“完璧”であった。ツアーの幕開けとしても、“完璧”な初日であったと言えるだろう。この2日間のライヴで、初めてLiSAのライヴを体感した人は、きっと非の打ち所がないその完璧さに驚いたに違いない。それほどまでに、3年ぶり4回目の武道館のLiSAのライヴは“完璧”であった。しかし。この“完璧”は、自然に生まれたものでなければ、努力なくしてできたものでもない。LiSAは、“楽しいを作る天才”ではあるが、“努力しなくてもなんでもできちゃう天才”ではない。どちらかというと不器用で、どちらかというと自信がなくて、どちらかというと“完璧ではない”、何処にでも居る女の子なのだ。しかし、LiSAがすごいのは、そんな自分を、みんなを楽しませるステージの上では“完璧”にすることだ。彼女は、そうするための努力を惜しまない。LiSAを支える多くのファンたちは、そんな彼女を知っている。自分達を“完璧なLiSA”で楽しませてくれるLiSAの裏側の彼女の努力や、自分達の喜ぶ顔や幸せを願ってくれる彼女の、弱い部分や不完全な部分も全部知っているのだ。だからこそ、ステージの上の“完璧なLiSA”を、とても愛しく思うのだ。
ライヴで、LiSAのサウンドを一緒に作り上げているバンドメンバーたちも、そんなLiSAの捨て身の努力を間近で見ているからこそ、全力で彼女を支えるのだ。今までにも海外でのワンマンライブは幾度と経験してきたLiSAだが、今回、日本国内のアリーナ公演と合わせての大規模なアジアツアーは初の試みとなる。故に、初日となった2日間の武道館はLiSAにとって大きなプレッシャーを抱えるものだったに違いない。しかし。プレッシャーが大きかっただけに、その達成感は大きな自信となったことだろう。
LiSAは2日目の公演となった15日のアンコールで、“縁”の文字がヴィジョンに浮かび上がる中、「Believe in ourselves」を届け、MCへと繋げると、自らがLiSAとして歌い始め、歩んできた7年間を振り返り、まるで子供が泣きじゃくるような本気泣きを見せながら、涙を堪えてこう言った。
「1つひとつが繋いでくれた縁だと思っています。“Day”が“Way”になっていったんです。みんなが、私の存在を肯定してくれました」
故の“[eN]=縁”である。
“キミの記憶の中 ほら ほら確かに 僕の姿 刻まれてる、すぐ近くでわかる今が嬉しいから いつか寂しかった暗い闇の中で 見つけだしてくれたキミの笑い声が 続きますように 続きますように———”
そう歌われる新曲「Believe in ourselves」に綴られた想いは、0曲目に歌われた「Believe in myself」に綴られていた想いと変わっていない。myselfからourselvesへ。LiSAの中で、自分のために歌っていた歌はやがて、みんなのために歌う歌へと変化していった。この日のライヴは、そんな彼女の“歌う意味”が見えたライヴだった。
LiSAは、ラストに、ピンクのサイリウムに包まれながら「best day, best way」を届けたとき、最高の笑顔を客席に向けながら、1人ひとりのピンクの光をギュッと抱きしめるかのように両手いっぱいに手を広げる仕草を魅せた。そして、全てを歌い終えた彼女は、自信いっぱいに“アジアツアー、行ってきますっ!”と叫んだのだった。そんなLiSAの声に、“いってらっしゃ〜い!”と声を揃えたオーディエンス。その声は、LiSAの大切なお守りになったことだろう。
大阪城ホールでの大阪公演を終えた今、LiSAはアジアへ挑む。このツアーを通して、LiSAに新たな縁が、そして、このツアーでLiSAの歌と出逢った人達にも、どうか素敵な縁が広がっていきますように———。
セットリスト
0. Believe in myself
01. Rising Hope
02. traumerei(14日)
AxxxiS / Brave Freak Out(15日)
03. oath sign(14日)
ASH(15日)
04. だってアタシのヒーロー。(14日)
Rally Go Round(15日)
05. No More Time Machine
06. WiLD CANDY(14日)
エレクトリリカル(15日)
07. EGOiSTiC SHOOTER
08. L.Miranic
09. DOCTOR
10. 罪人(14日)
Empty MERMAiD(15日)
11. シルシ
12. ハローグッデイ(14日)
WiLL〜無色透明〜(15日)
13. Hi FiVE!
14. ROCK-mode'18
15. Thrill, Risk, Heartless
16. Psychedelic Drive
17. LiTTLE DEViL PARADE(14日)
コズミックジェットコースター(15日)
18. crossing field
19. Catch the Moment
20. Mr.Launcher
21. Believe in ourselves
22. best day, best way