Saucy Dog 全国ワンマンツアー「one-one tour 2018」
2018年5月25日(金)TSUTAYA O-Crest
SOLD OUT
THE ORAL CIGARETTES、フレデリックらを輩出した『MASH A&R』のオーディション、『MASH FIGHT!』の2016年度グランプリを受賞した男女混成の3ピースギターロックバンド・Saucy Dog。彼らはその後、その期待に応えるように精力的にライヴ活動を続け、この1~2年、ライヴハウスシーンでめきめきと頭角を現してきた。そんな人気は2017年9月にリリースした1stミニアルバム『カントリーロード』のロングセールスにも反映され、同ミニアルバムがセールスを伸ばし続ける中、彼らは『COUNTDOWN JAPAN 17/18』や『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2018』のステージに立って、より多くの人にアピールできる機会も手にしてきた。
そして、いつしか“ブレイク必至か!?”と、さらなる注目を集め、5月23日にリリースした2ndミニアルバム『サラダデイズ』を引っ提げて開催する初の全国ワンマンツアー『one-one tour 2018』は7月11日の東京・渋谷WWW公演も含めた全11カ所がツアー開始前にすべてソールドアウトと人気急上昇を印象付けた。
そんなツアーの初日となる5月25日TSUTAYA O-Crest公演。メンバーと同世代の若者が大半を占める満員の観客に迎えられた彼らは『カントリーロード』収録の「ナイトクロージング」からライヴをスタート。“ワンマン始めます!”と石原慎也(Vo&Gt)が掻き鳴らしたギターに、早速手拍子を始めた観客に手応えを感じたのか、石原とせとゆいか(Dr&Cho)が顔をほころばせた。そこからアンコールを含め1時間半。飾らず、気取らず、ありのままの自分たちの姿を見せたステージはとても気持ちの良いものだった。
同時に『カントリーロード』の収録曲を中心に演奏した序盤から3人が見せたユニークなバンドアンサンブルの妙にも筆者はすっかり虜になってしまった。ギターを掻き鳴らしながら感情に突き動かされるように言葉を投げかける石原の奔放な歌。石原の歌に寄りそいながらも、曲ごとにアクセントを加えたり、疾走感を生み出したりする秋澤和貴(Ba&Cho)のダイナミックなフレットワークと演奏。それらを支えながら、せとが加えるハーモニーと掛け合いのヴォーカルもこのバンドならではの聴きどころだ。そんな3人が演奏中、向き合ってアイコンタクトをとる姿も、いかにもバンドぽくって、思わずニヤリ。
1曲1曲しっかりと熱度を上げていった演奏は、“(Saucy Dogにとって)初めてのワンマンライヴです。私たちだけを観に来てくれた人がこんなに集まってくれて、ほんま幸せです。みんなが予定していた倍、楽しい夜にしたいと思います”とせとがMCを挟んでから演奏した「煙」、“日本中を旅してきた俺たちの歌を”と紹介した「バンドワゴンに乗って」、そしてグルービーな演奏に観客が体を揺らした「曇りのち」でどんどん加速。そこから、MVの再生回数が320万回を超えたバラードの「いつか」につなげると、さらに一転、ギターをガガガと鳴らすアップテンポの「メトロノウム」に雪崩れ込む――そんなふうにまるでジェットコスーターに乗っているようなバンドの演奏はぐんぐんと盛り上がっていき、あっけにとられるようにステージに釘付けになっていた観客もサビになると、掲げた手を精一杯、振り始めた。
終盤、石原はこの日の本番前にせとと喧嘩したことをバラして、“いろいろな思い出がある。喧嘩もいっぱいした。今日もして、俺ららしい”と笑った。ちょうど2年前、この日と同じTSUTAYA O-Crestで東京初ライヴをやった時は自分たちの観客がほぼゼロに近かったという思い出を石原が語ると、“その時のパスが(楽屋の壁に)貼ってあって感慨深くなった”と秋澤が付け加えた。“その僕たちがO-Crestでワンマンできるなんてありがたい”。感謝の気持ちを言葉にした石原は、“大事な夜にしたいと思っています。新しい大事な曲を2曲やって帰ります”と『サラダデイズ』から、「いつか」を超えるバラードを作りたかったという「コンタクトケース」とリード曲の「真昼の月」を披露。熱唱に込めた切なさに胸が詰まった前者、うねるような演奏がライヴバンドらしい矜持を観せつけた後者ともに本編最後を締め括るには相応しい熱演だったが、アンコールではさらなるクライマックスが待っていた。
“ザ・Saucy Dogなライヴになりましたね”とせとが言った初ワンマンのオーラスを飾ったのは、ファンにはすっかりお馴染みの「グッバイ」だった。“今度は僕らがみんなの背中を押したい”と始まった演奏は、間奏で一気に白熱。3人が向き合い、そのままクライマックスに上り詰める…と思いきや“歌える?”と石原が客席に呼びかけ、サビのシンガロングが会場中に広がっていった。それが本当のクライマックスだった。彼らがこの1~2年、どんなふうにライヴハウスで頭角を現してきたかが分かったような気がした。
初ワンマンツアーは上々の滑り出しでスタートダッシュを見事にきめた3人がツアーを経て、どれだけ成長した姿を観せてくれるのか、7月11日の渋谷WWW公演が今から楽しみだ。
SET LIST
01. ナイトクロージング
02. ロケット
03. ジオラマ
04. マザーロード
05. 煙
06. バンドワゴンに乗って
07. 曇りのち
08. いつか
09. メトロノウム
10. wake
11. あとの話
12. コンタクトケース
13. 真昼の月
EN
01. 世界の果て
02. グッバイ