2016年5月5日(木・祝) EX THEATER ROPPONGI
Photo:近澤幸司
SuGの全国ツアーファイナル、SuG LIVE「VIRGIN」が5月5日、東京・EX THEATER ROPPONGIで行われた。そのアンコールのMCで、SuGが結成10周年を迎える来年に、日本武道館でライブを行なうことを宣言した。
SuG LIVE「VIRGIN」は、3月にリリースされたメジャー初となるミニアルバム「VIRGIN」を引っ提げて、全国18か所を巡ったワンマンツアーのファイナル公演。VIRGIN=初期衝動をテーマに据えたツアーとあって、一曲目「SICK’S」から容赦ないほどの激情をもってパフォーマンスに臨むSuG。武瑠(Vo.)は、ツアーファイナルに至るまでの17か所の道程を振り返り、「このファイナルは、どこよりも盛り上がる義務があります!」と力強くオーディエンスを煽る。
今回のツアーを経て成長したのはバンドだけではない。オーディエンスもまた、バンドのパフォーマンスに呼応するように序盤からボルテージを最高潮へと上げる。「MISSING」「sweeToxic」など新旧の人気ナンバーでは会場全体が揺れるほどの盛り上がりを見せながらも、一方で「VIRGIN」のリードを飾った切ないバラード「桜雨」では誰もが立ち尽くして音に聴き入るなど、メンバーとオーディエンスとがその場のヴァイヴスを共有し、時間と空間を作っていく。
楽器陣によるセッションを挟んで、トップスを着替えた武瑠が再登場。ここから始まった終盤戦、ツアーを経て磨き抜かれた新曲「In the shadow」「無限Styles」や、ライブでの定番チューン「HEALLYEAH」など攻撃的な楽曲を休みなく繰り出し、3月から続いたツアーのクライマックスへと向かってオーディエンスを踊らせていく。さらに、この日二度目の「SICK’S」では、MVに登場したキッズダンサーたちがステージに現れ、“ゾンビダンス”を披露する演出も。
そして本編最後を飾ったのは、ミニアルバム「VIRGIN」を象徴する楽曲「Smells Like Virgin Spirit」。サビのシンガロングが印象的なこのロック・アンセムは、まさにこのツアーを経て、オーディエンスの声によって完成させられたと言っていい。武瑠の「お前らと歌いたくてこの曲書いたんだよ!」と言う言葉通り、オーディエンスのシンガロングは、もはやこの楽曲にとって必要不可欠な構成要素となっていた。そして本編は幕を閉じた。
歓声鳴り止まぬ中始まったアンコールの一曲目は、「VIRGIN」に先駆けて新生SuGの始まりを告げたシングル「teenAge dream」。明けてのMCで、今回のツアーの思い出話の後、武瑠の口から嬉しいニュースが発表された。今年4月に開局したばかりのAbemaTVでの5月のマンスリーレギュラーが決定したという。
そしてこの日、いや、今年一番と言っても過言ではない重大な発表がなされた。周囲のバンドの解散や活動休止、シーン自体の縮小など、自らが苦境に置かれていることに触れ、その後に続いた言葉は、誰もが予想だにしていなかった。「こんな逆境だからこそ、来年10周年に挑戦します。SuG、やります。日本武道館!昨日から眠れなくて、どうしてもこの『VIRGIN』のツアーで言わなきゃいけないんじゃないかって思って。本番直前にスタッフとかメンバーに相談して、やりたい、って。そして、みんなでやろうと思いました」。震える声で、だが力強く宣言した武瑠の言葉は、夢でもでたらめでもなく、そこには真実だけがあった。
「こんな時代だからこそ、もう一度ありえない奇跡を一緒に起こそうぜ!いいか!?」。この日一番の声援で応えたファンの中には、武瑠の言葉に胸を打たれて涙を流すものも少なくなかった。
それまでとは比にならないほどの一体感の中、アンコールを駆け抜け、それでもまだオーディエンスの興奮は冷めやらず、またSuGもそれに応えてダブルアンコールに突入。最後の楽曲となった「ときどきすてきなこのせかい」を終えた後、再び武瑠が「“HEAVY POSITIVE ROCK”は“無理矢理前向き”だからさ、おれたちは逆境だからこそ挑戦します!」と高らかに叫び、大歓声を背にメンバーらはステージを後にした。
しかしサプライズはこれだけではなかった。彼らが立ち去った後、スクリーンにてさらなる発表があった。一つ目は、SuG TOUR 2016 VIRGINの追加公演。6月に台湾で、7月にメキシコとタイで、計3か国で4公演が開催されること。そして二つ目は、一昨年より開催されているコンセプトライブ「VersuS」が今年も11月に開催されること。そして最後に、1stミニアルバム「VIRGIN」に続く2ndミニアルバムが今秋リリースされることが明らかになった。SuGの挑戦にこれからも目が離せない。