HAVE A “GOOD” NIGHT Vol.51~70『グアナコの行進』
2017年3月24日(金) CLUB CITTA’
TEXT:森朋之
PHOTO:佐藤広理
GOOD ON THE REELの全国ツアー「HAVE A “GOOD” NIGHT Vol.51~70『グアナコの行進』」が3月24日(金)、CLUB CITTA’でスタートした。最新アルバム『グアナコの足』を携えた今回のツアーは、自身最大規模の全20公演。初日の公演で彼らは、現在のバンドの好調ぶりをしっかりと体現してみせた。
オープニングは『グアナコの足』の1曲目に収録された「砂漠」。まさに砂漠を想起させるような壮大なサウンドのなかで、“どこに進むかはあなた次第。自分の意志と自分のペースでそれぞれの道を歩んでほしい”というメッセージが響き渡り、リアルとファンタジーが交差するようなGOOD ON THE REEL特有の音楽世界に包み込まれる。
その後も「小さな部屋」「ひらり」「zzz」といった新曲が次々と披露される。これまでの作品に比べるとアップテンポの楽曲が多く、メンバー自身もライブを意識して制作したという『グアナコの足』の収録曲はステージ映えも抜群。ギターポップ、オルタナティブロックから童話的な世界観まで幅広い要素を取り入れた楽曲が伸びやかに広がり、GOOD ON THE REELの新しい表現へと結びついていたのだ。個人的にもっとも強いインパクトを受けたのは、「冬の羊」。高橋誠(Dr)のラウドかつパワフルなドラム、濃密なグルーヴを描くの宇佐美友啓(Ba)のベースライン、伊丸岡亮太(Gt)、岡﨑広平(Gt)によるシューゲイザー的なギターアンサンブル、そして、千野隆尋(Vo)のドラマティックなボーカルラインが有機的に絡み合うこの曲は、アルバム『グアナコの足』の音楽的な達成のひとつと言えるだろう。新曲に加え、「雨天決行」「rainbeat」「シャボン玉」といった既存の代表曲をバランスよく取り入れた構成も見事だった。
メンバー全員の意識が外に向かって大きく広がっているのも印象的だった。ここ数年、GOOD ON THE REELのライブの高揚感は確実に増している。演出やギミックに頼らず、音楽を通した純粋なコミュニケーションによって、きわめて自然な盛り上がりが生まれているのだ。伊丸岡、岡﨑、宇佐美がステージ前方に出るシーンも増え、観客とバンドの関係性もさらに向上。「グアナコの行進」はまちがいなく、バンド史上もっとも強い一体感が味わえるツアーになるだろう。また、ワンマンライブ恒例(?)の高橋誠のMC(この日は日比谷野外大音楽堂ワンマンライブの模様を収録したDVD『HAVE A “GOOD” NIGHT』に触れ、『なんで俺のMCが全部使われてるんだよ!』と話してました)など、メンバーの素の表情が楽しめるコーナーも楽しい。
ライブ終盤のMCで千野は「これから19ヶ所、ツアーを回っていきます。そこでたくさんの人と出会って、心を交わして。そこで生まれる空気、つながり、思いというのはとても純粋で美しいものだと思います。今日ここで『グアナコの行進』の始まりをしっかり踏み出せたと思います!」と語り、客席からは大きな拍手が沸き起こった。ツアーファイナルは6月16日(金)東京・中野サンプラザ公演。アルバム『グアナコの足』の楽曲がライブのなかでどのように変化し、GOOD ON THE REELのライブにどんな化学反応を生み出すのか?いまから楽しみでしょうがない。