伊藤 蘭 Special Premium Live ~Don’t Stop The Music! ~ vol.2
2025年10月18日(土)EX THEATER ROPPONGI
伊藤 蘭のスペシャル・プレミアム公演『Don’t Stop The Music! vol.2』の最終公演が、10月18日にEXシアター六本木にて開催された。
昨年に引き続き、通常のコンサートツアーとは異なる特別公演だが、本来は7月に行われるはずだったところ、伊藤の怪我によるアクシデントで延期となりファンを心配させたが、体調も万全となったこの秋、念願の開催となった。
シュプリームスの「Stop! In The Name Of Love」や「Baby Love」「恋はあせらず」など、モータウンの名曲が流れる開演前の会場は、満員の観客で既に熱気が満ち溢れ、そこかしこに赤のハッピを着た熱烈なファンの姿が見える。
客電が落ちるとバンドメンバーが入場し、重たいビートを奏でる演奏がスタート。トラスが立ち並ぶステージの、バックの電飾にシルエット映像が浮かび上がると、強いライトに照らされ、中央にブラックのシャイニーなワンピースに身を包んだ伊藤の姿が。1曲目の「インスピレーション・ゲーム」は、キャンディーズ解散の直前に録音された楽曲で、3枚組ライブ・アルバム『キャンディーズ ファイナルカーニバル プラス・ワン』の3枚目に入っているスタジオ録音の楽曲集に収められており、ステージでは一度も披露されたことがない曲だった。まさかの選曲に驚かされる間もなく、最初の挨拶に入る。
「皆さん、こんばんは! ついに『Don’t Stop The Music!』最後のステージになってしまいました!ようこそおいでくださいました」とすっかり元気になった姿でファンに感謝を述べた。
ここからはソロ曲のコーナーに入るが、シティポップ風の「Shibuya Sta. Drivin’ Night」ではバックにミラーボールが輝き、コーラス2名とサックスが楽しげな振り付けで応える。続いてキュートなポップチューン「なみだは媚薬」を披露。
MCでは自身の怪我のこと、愛娘・趣里の結婚と出産などプライベートな話題を挟み、穏やかな家庭人としての一面をのぞかせた。その後は「大人は泣かない」をパープルのライトの中で歌い、ハードなロックチューン「ICE ON FIRE」では、ステージ後方から炎が立ち上がる特効演出で盛り上げる。間奏のノイジーなギター・ソロに酔いしれていると、伊藤は下手へと去り、バンドの演奏が続く。
前回までと大きくメンバーチェンジしたバンドは、サウンド面でよりロック色が濃くなり、エッジの効いた演奏に変わった。そのまま「SUPER CANDIES」のイントロが始まり、6曲目にして早くもキャンディーズ・ゾーンに突入。ギターの香取真人がヴォーカルをとり会場を盛り上げると、1階席は総立ちとなり、真っ赤に彩られたペンライトを振って「C・A・N・D・I・E・S!」の大コールが押し寄せる。
鮮やかなピンクのスパンコールのワンピースに着替えた伊藤 蘭が現れると、一際大きな歓声とどよめきが会場を包む。そして「危い土曜日」「その気にさせないで」「暑中お見舞い申し上げます」とアッパーなヒットナンバーで押しまくった。
ここでバンドメンバーの紹介に入る。今回は、作曲家&プロデューサーとして活躍する本間昭光が音楽監督を務めており、本間の推薦によるミュージシャンたちが揃った。川崎哲平(Bass)、中村皓(Drums)、香取真人(Guitar)、竹村直哉(Sax)、渡部沙智子&高柳千野(Chorus)、桑迫陽一(Per)、そしてバンドマスターの園田涼(Keyboards)の順で紹介され、コーラスの2名以外はメンバー総入れ替えとなった。よりロック色、ファンク色が強まった演奏は、パワーアップした伊藤 蘭のヴォーカルとのマッチングもピッタリ。
「ここから4連キャンですよー!」の煽りに乗せて、「ハートのエースが出てこない」「年下の男の子」「悲しきためいき」とキャンディーズの人気ナンバーが立て続けに放たれる。そしてお待ちかね、「哀愁のシンフォニー」のイントロが流れると、伊藤はステージ後方に下がり、観客もザワザワと準備に入る。そう、♪こっちを向いて、での紙テープ応援だ。
キャンディーズ時代から「哀愁のシンフォニー」での紙テープ投げはお約束だが、ソロ・ライブ再開にあたっても、特別な公演では紙テープが解禁となっている。赤、青、黄色の紙テープが乱舞し、EXシアター六本木が一気に70年代のキャンディーズライブの会場へと引き戻された。凄まじい量の紙テープに、歌い終えた伊藤も「壮観というか、圧巻というか、素晴らしい景色でした」と喜びのコメントを伝えた。アーティストとファンが一体となるこの瞬間は、いつまでも大切にしたい、伊藤 蘭ライブならではの風物詩である。
ここで20分の休憩タイムに。BGMに流れるのは、「天使のささやき」「荒野のならず者」といった、ザ・スリー・ディグリーズのナンバー。キャンディーズが和製スリー・ディグリーズを目指して「その気にさせないで」をリリースしたことを想起させる選曲で、しかも開演前BGMのシュプリームスと合わせ、モータウンとフィラデルフィア、共に女性3人組のポップグループの楽曲で固めたのは嬉しい選曲だ。そしてフィリーソウルの名曲、オージェイズの「裏切り者のテーマ」が流れると、再び会場は暗転。
バンドメンバーと共に、ビビッドなオレンジのドレスに身を包んだ伊藤 蘭が下手から現れる。先ほどの紙テープ投げに「心のこもった景色でした。美しかったです」と感謝を述べ、話題はCSホームドラマチャンネルで、キャンディーズもレギュラー出演していたバラエティ番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』の放送がスタートしたことへと移る。ここでまさかの「電線音頭」を披露! 同番組で小松与太八左衛門(小松政夫)とベンジャミン伊東(伊東四朗)によって繰り広げられたコミックソングだが、会場の手拍子に合わせてこれを伊藤が踊りを交えて披露。往年の名コメディエンヌとしての横顔を見せ、会場も大盛り上がりとなった。
ここからシリアスに戻すのが大変!と笑いながら、次の曲は昨年8月にリリースされたシングル「風にのって~Over the Moon」。さらにパーカッシヴな演奏の「明日はもっといい日」、ファンキーな「FUNK不肖の息子」と、ダンサブルなソロ曲が続く。
ここで本間昭光の作曲、Jamの作詞による 新曲「Dance on! Love on!」の紹介に移る。ディスコミュージック全盛の時代を思わせるナンバーだが、このタイトルは来年4月より開催される、全国6都市9公演のホールツアーのタイトルにもなっている。この新曲と共に歩むライブツアーは、より一層ダンサブルな内容になるのだろう、と今から期待が高まってくる。
本編最後の楽曲に移る前に、改めてファンへと感謝を述べた。今回のタイトル「Don’t Stop The Music!」に準え、「音楽に力をもらいながら、前を向いて歩いていきます」そして祈りを込めて歌います、と語り、披露されたのは「美しき日々」。間奏ではソロを担ったサックスを囲んで盛り上げ、バンドとの一体感も上々だ。
パワフルなドラムの響きに始まり、アンコール1曲目は「春一番」。伊藤はオフショルダーのブラックドレス姿で登場、観客もランちゃん!コールの大絶叫で、会場は興奮の坩堝と化した。
「本当に楽しかったです。試練の日々もありましたけど、皆さんの声援を聞けて、本当に幸せな気持ちになりました」と、改めて謝辞を述べた。
そして前述の通り、来年4月4日、まさにキャンディーズ解散コンサートの日に神奈川のカルッツかわさきで初日を迎える『伊藤 蘭コンサートツアー2026「Dance on!Love on!」』に向けての意気込みを語り、締めくくりの曲は、すっかりお馴染みとなった「恋するリボルバー」。再び派手な炎が舞い上がる特効演出で、熱くテンション高く締めくくった。
ソロ・デビューから6年、年ごとにパワーアップしていく伊藤 蘭のヴォーカルとパフォーマンスは、サウンド面でも若返りを見せ、もはや驚愕と言えるほどのレベルに達している。この先もさらなるエキサイティングなステージが待っているだろう。そんな印象を残して、『Don’t Stop The Music! Vol.2』は幕を閉じた。来年のコンサートツアーは神奈川、埼玉、大阪、愛知、東京、福岡と全国6都市を回るものとなる。今回以上に熱くダンサブルなステージになることは確実だ。今から期待が高まるばかりだが、その日を心待ちにしたい。
※「撮影:近藤みどり」は、10月15日(水)KT Zepp Yokohama公演
SETLIST
01.インスピレーション・ゲーム
02.Shibuya Sta. Drivin' Night
03.なみだは媚薬
04.大人は泣かない
05.ICE ON FIRE
06.SUPER CANDIES
07.危い土曜日
08.その気にさせないで
09.暑中お見舞い申し上げます
10.ハートのエースが出てこない
11.年下の男の子
12.悲しきため息
13.哀愁のシンフォニー
14.風にのって~Over the Moon
15.明日はもっといい日
16.FUNK不肖の息子
17.Dance on! Love on!
18.美しき日々
ENCORE
01.春一番
02.恋するリボルバー


















