チョーキューメイ presents 『忘れた頃にやってくる4』 東名阪・対バンツアー
2025年10月20日(月)渋谷CLUB QUATTRO
出演 : チョーキューメイ / レトロリロン
10月20日、東京・渋谷CLUB QUATTROで、チョーキューメイpresents『忘れた頃にやってくる4』を観た。恒例の対バンイベントが今年は東名阪ツアーへとバージョンアップ、そして初日の東京公演のゲストはレトロリロン。5年前の初ライブが同じ日の同じ会場という縁で結ばれた二つのバンドが、それぞれの高みを目指す中で相まみえる運命。素敵な夜になりそうだ。いや、なる。
「レトロリロンです。どうぞよろしく!」
先陣を切るのは、5月にメジャーデビューを果たして勢いに乗るレトロリロン。分厚いバンドサウンドに乗って、お立ち台で大きく手を広げた涼音(Vo)が「自由に歌っていいよ」とフロアに呼びかける。1曲目「ラストハンチ」からフロアいっぱいのシンガロングが巻き起こり、「ワンタイムエピローグ」では永山タイキ(Dr)と飯沼一暁(Ba)の強力リズム隊を、盛大なクラップが後押し。ニコニコ笑顔のmiri(Key)が顔に似合わぬアグレッシヴなシンセソロを決めれば、「DND」ではタイキが豪快なドラムソロで見せ場を作る。バンドは2日前のフェスを涼音の体調不良で出演キャンセルしていたのだが、「ご心配おかけしました。この通り元気です!」と叫びながら、ハンドマイクをつかんでフロアに身を乗り出すように盛り上げる。つかみはOKだ。
「チョーキューメイとは、過去最多対バンじゃないかな。チョーキューメイと共に生きてきて、我々はもうチョーキューメイですと言っても過言ではないです。みなさんもチョーキューメイだし、レトロリロンです(笑)」
ユーモラスな表現で笑いを誘いながら、観客との一体感を築きながらライブは進む。個人的にレトロリロンを観るのは久々だが、涼音のしなやかでソウルフルな歌声、心の闇の中に光を探す希望と共感を綴る真摯なメッセージ、そしてロック、ファンク、ダンス、ジャズ等多彩な要素をポップスに昇華した、オリジナルのミクスチャーミュージックはさらに進化。飯沼とmiriがソロで魅せるファンキーな「カテゴライズ」から、ミラーボールが輝く四つ打ちダンスチューン「Document」、そして涼音がバンドと音楽に賭ける思いを叩きつけたメッセージソング「ヘッドライナー」へ。さらに、ラストを締める涼音のパワフルなロングトーンが圧巻の「焦動」へ。音楽の快感とメッセージの感動が同時に押し寄せる、これがレトロリロンのライブスタイル。
「楽しいことばかりじゃないし、苦しいことのほうが多いかもしれない。いろんな感情のバランスがあるけど、今日ここに来てみんなで楽しんだ時間が、日頃生きていくバランスを取る重しになったらいいなと思ってます」
MCはシリアスだが音楽はフリーダムだ。好きなようにリズムに乗っていこう、と涼音が叫ぶ。シンガロングでフロアが一体化する「アンバランスブレンド」と「UNITY」での解放感溢れるフィナーレは、ここにいる全員がレトロリロンでチョーキューメイである証明だ。全9曲で1時間、気心知れた対バンだからこその気持ちの入りまくったパフォーマンスに、手を振りながらメンバーがステージを降りるまで送られ続ける熱烈な拍手。
「チョーキューメイです。今日は来てくれてありがとう。最後までよろしくお願いします」
さぁ今日のホストバンドの登場だ。れんぴ(E.Pf.)、おすず(Ba)、空閑興一郎(Dr)がスタンバイするステージに、白銀と青に輝くキラキラドレスの麗(Vo&Gt,Vn)が飛びこんでおもむろに歌いだす。1曲目「眠れる姫」から全力疾走、尖ったギター、流麗なピアノ、荒ぶるドラム、どっしりベース、そして時に舌足らずキュートで時に超絶エモーショナルな奔放ボーカルでぶっ飛ばす。自由に踊るダンスロック「コンプレックス・コンプ」、語りから始まる劇的ロックチューン「たいむかぷせる」、そして麗がヴァイオリンで流麗なメロディを奏でる「おやすみパパママ」と、プログレッシヴでオルタナでなおかつポップな、チョーキューメイサウンドとしか名付けようのないオリジナリティが炸裂。どことなくオリエンタル風味のメロディも魅力的だ。
「レトロリロンは編成が一緒なので、最初から“嬉しいな、仲間だな”という感じがありました。今日はまた一緒にできて嬉しいです。“私たち一緒に大きくなっていこうね”という約束を、今からしたいと思います」
語りとボーカル、振り付けと煽り、麗の優れたアクトレス振りが際立つクールなダンスチューン「sister」に続いて演奏したのは、なんとレトロリロンのカバー「ヘッドライナー」。初ライブも一緒、そして『忘れた頃にやってくる』の一回目にも出演した盟友・レトロリロンに捧げる1曲は、気合満点のリスペクト演奏。ふと横を見ると、関係者エリアでレトロリロンのメンバーがニコニコ見てる。ホストからゲストへの粋なプレゼントだ。
ピークを振り切っても盛り上がりは途切れない。キュートな恋愛ポップ「Hey!Calling」は麗の渾身のギターソロを添えて、胸キュンセツナメロディが炸裂する「青の魔法」は、れんぴのエモーショナルなピアノと麗のヴァイオリンと共に。ロックとJ-POPとアイドルと、恋の歌とメッセージと応援歌と、1曲の中に詰め込んだ情報量の多さに関わらず聴き心地はすっきりポップ。なんて懐の深いバンドだろう。
ここからラストへは、アップテンポの明るい恋愛ソングを連ねて一気に走る。カントリーっぽいリズムが新鮮な「私の王子様」、フロアの全員がハートマークを掲げて愛を見せ合う「故のLOVE」、そしてみんな大好き「貴方の恋人になりたい」の、軽快なディスコビートに乗ってステージを踊りまわる麗に、ここにいる全員が恋に落ちている。
「めちゃくちゃ楽しかったし、本当に今日やれて良かったなって心から思います」
そしてアンコール。『忘れた頃にやってくる』のは何か?と言えば、不意に思い出す人生の中の素敵な出来事。「そういえばあの日のライブ楽しかったな、と思い出してもらえるイベントにしたかった」というのが、『忘れた頃にやってくる』の本当の意味。今後も続けることを誓いながら、「これからも友達でいてください」とレトロリロンに、「最高だった。本当にありがとう」と観客に、麗が呼び掛ける言葉を温かい拍手が包み込む。お礼の曲「リンカーネーション」の、激しくラウドなカオスの闇を突き抜けて響くピアノのメロディと、凛とした麗の歌声の、絵にも描けない美しさ。「また会おうね」という言葉に応える、フロアいっぱいの愛ある拍手と歓声。2バンド合わせて2時間半、それはいつか必ず思い出す鮮烈な記憶。
今日の交錯を経て、二つのバンドは再びそれぞれの目標に向かって走りだす。レトロリロンは来年3~4月に全国10都市を回る「ONE-MAN TOUR 2026」、そのファイナルの4月18日(土)のZepp Haneda(TOKYO)へ向けて。チョーキューメイは麗のバースデー、12月24日(水)に東京キネマ倶楽部で開催されるワンマンライブ 「いつまでも私のお守り。」を経て、来年2月より行われる全国ツアー 「音のしない はじまりが 聴こえる」 東京公演 4月18日(土)EX THEATER ROPPONGIへ向けて。それぞれのバンドを追いながら、いつかまた相まみえる日を楽しみに待とう。
SET LIST
【レトロリロン】
01. ラストハンチ
02. ワンタイムエピローグ
03. DND
04. カテゴライズ
05. Document
06. ヘッドライナー
07. 焦動
08. アンバランスブレンド
09. UNITY
【チョーキューメイ】
01. 眠れる姫
02. コンプレックス・コンプ
03. たいむかぷせる
04. おやすみパパママ
05. sister
06. ヘッドライナー(レトロリロン カバー)
07. Hey!Calling
08. 青の魔法
09. 私の王子様
10. 故のLOVE
11. 貴方の恋人になりたい
ENCORE
01. リンカーネーション



















