えるの「Eruno one-man live “Lime”」
2025年10月13日(月・祝)Veats Shibuya
ゲスト:成人男性三人組(ウォルピスカーター、りする、ニャンヤオチュー)
Eruno Band Member:Guitar tatsu(BLVELY) / Bass ユーリ / Drum あべゆうま
今年7月に初のオリジナル曲「シュガー」をリリースし、新たなスタートを切ったボーカリスト・えるの。彼が初のワンマンライブ「Eruno one-man live “Lime”」をVeats Shibuyaにて開催した。この日はえるのにとって約4年ぶりのライブというだけでなく、彼が参加している歌い手ユニット・成人男性三人組のメンバーであるウォルピスカーター、りする、ニャンヤオチューがゲスト出演するともあり、チケットは早々にソールドアウト。バルコニーエリアまで観客が入るという大盛況のなか90分のライブを繰り広げた。
バンドメンバーのtatsu(BLVELY/Gt)、ユーリ(Ba)、あべゆうま(Dr)が一斉に音を出すと、それに導かれるようにテーマカラーの緑を取り入れたスポーティーな衣装に身を包んだえるのがステージに登場。ロックナンバー「アウターサイエンス」でライブの幕を開けた。サビに入った瞬間にフロアから歓声が起き、その光景は彼のハイトーンボイスが様々なリスナーの心を掴んだことを十二分に物語っていた。
「独りんぼエンヴィー」では「みんな歌えますか!」と呼びかけ、シンガロングする観客を眺めながら笑みを浮かべる。ボカロP・伊根が手掛けた今月発表されたばかりのオリジナル曲「ロロル」をクールかつエモーショナルに披露した後、「ロミオとシンデレラ」ではイントロでフロアからパワフルなコールが巻き起こった。えるのもその思いに応えるように切ないメロディを力強く歌い上げる。観客に歩み寄りながら丁寧にライブを進めて、会場を自身の歌世界に引き込んだ。
えるのは久しぶりのステージに「まだライブをしている実感がない」とどこか浮ついた様子を素直に明かす。すし詰めのフロアを慮ると「最後まで盛り上がっていきましょう!」と告げて「ヘッジホッグ」へ。アンニュイなムードや軽快なラップ、感情を込めて張り上げる歌唱など、多彩なボーカルで観客の意識を引きつける。「初恋日記」では耽美なムードで包み込み、「一緒に手拍子で盛り上げてくれたらうれしい」と呼びかけた「シュガー」は、センチメンタルでポップなサウンドに彼のファルセットがよく映えていた。
このライブは前々より台風予報が出ていた3連休の最終日の開催だったが、台風がそれたことに安堵の表情を見せるえるのは、成人男性三人組のファンミーティングと台風が重なることが多いのは自分のせいではなかったと話して笑わせる。そして「次の曲はキーが高い曲を歌おうと思っていて。でもひとりで歌うにはしんどいなー……誰か助っ人いないかな?」と成人男性三人組のメンバーであるウォルピスカーター、りする、ニャンヤオチューを呼び込み、4人で「ゴーストルール」を歌唱した。全員がリミッターを外すようにハイトーンで歌い上げる。観客もその熱に触発され、熱いシンガロングで応えた。
MCではこの日がニャンヤオチューにとって初ライブであり、ウォルピスカーターも4年ぶり、りするも5、6年ぶりのライブであると話し、フロアは驚きをあらわにしながらあらためてこの貴重な機会を噛み締める。えるのはtatsu(BLVELY/Gt)から“Lime”というライブタイトルの意味を問われると「初ワンマンというフレッシュさを柑橘類に例えた」「緑色なのと、ちょっと苦くて大人な感じを表したかった」と明かし、その後も気心知れた者同士で和気あいあいとトークを展開した。
そしてライブはラストスパートへ。4人で「HOLLOW HUNGER」を歌い上げ抜群のコミュニケーションを発揮すると、ゲスト3人がステージから去り、ステージに残ったえるのは彼の知名度を上げたきっかけとなった「完全感覚Dreamer」を歌唱する。シャウト混じりの躍動感に富んだロックなボーカルと、熱量と清涼感を持ち合わせたバンドサウンドが会場の空気を一気に掌握すると、本編ラストは「ローリンガール」。観客もコールでえるのに思いを送り、彼も観客と楽曲に誠実に向き合って真摯な歌声を響かせた。
アンコールではグッズのベースボールシャツを羽織って登場し、えるの作詞、tatsu作曲の新曲「グッバイ、エンドロール」をサプライズで初披露する。暗闇に光が差し込んでいくようなイメージを与えるドラマチックな楽曲で、観客もレクチャーされたシンガロングパートを全力で歌い上げ、その声を浴びながら歌うえるのの表情も非常にすがすがしかった。
えるのは「これから先も歌える限りは歌いたい」「次のライブは(今日来てくれた人たちが次も来てくれることで)“僕のライブに来たことがある人!”と呼び掛けたらほとんどの人が手を挙げてくれるような日にしたい」と今後の活動への意欲を見せ、「バレリーコ」でライブを締めくくる。歌詞に合わせてジャンプをするなど、ポジティブなラストを彩った。
最後に再び成人男性三人組の面々も登場し、バンドメンバーも交えて7人で手をつないで笑顔で頭を下げる。最後にえるのが単身ステージに残って名残惜しそうに観客へと手を振る姿にも、この日の充実が感じ取れた。これまでの活動のハイライトを見せるだけでなく、ここからまたさらにギアを入れて活動していくことを予感させた初のワンマンライブ。彼のボーカリストとしての可能性が広がった一夜と言っていいだろう。
SET LIST
01. アウターサイエンス
02. 独りんぼエンヴィー
03. ロロル
04. ロミオとシンデレラ
05. ヘッジホッグ
06. 初恋⽇記
07. シュガー
08. ゴーストルール(成⼈男性三⼈組)
09. HOLLOW HUNGER (成⼈男性三⼈組)
10. 完全感覚Dreamer
11. ローリンガール
ENCORE
12. グッバイ、エンドロール(新曲)
13. バレリーコ
















