Photo by 三浦大輝
午後になってさらに観客の数が増えてきた印象。待機スペースの人数も多くなり、SKY-HIのアクトはアリーナ前方がギッチリ埋まり、ちょっとずつフェスらしい熱さが感じられるようになった。ライブは笑ってしまいそうになるほど完璧。「It's OK」「ID」の2曲で“SKY-HIとは何者で、何をやってきて、何をしているのか”を知らしめ、「Double Down」で「知らない人も知ったかして!」と一体感を生み出し、MCでジャンル分けや好きなものを好きと言えない同調圧力を否定し(それはこのフェスのスタンスにもつながっていたと思う)、最強のアッパーチューン「D.U.N.K.」で会場をダンフロアに変貌させた後、「まだ時間ある?じゃあ、盛り上がらない曲をやりまーす」とリベンジをテーマにした楽曲(タイトル未定)で締める。筆者の周りでは「社長やっぱりすごい」という女性ファンの声もあったが、言うまでもなくプレイヤーとしてのSKY-HIもさらに発展の最中にある。もう復讐の時期は完全に終わったんだな……と実感できたのもうれしかった。
01.It’s OK
02.ID
03.Happy Boss Day (Seven Nation Army ver.)
04.Double Down
05.ナナイロホリデー(I Believe In Miracles ver.)
06.At The Last
07.To The First
08.D.U.N.K.
09.タイトル未定
続くアイナ・ジ・エンドは「SKY-HIさんとUVERworldの間をつなぐのが私の役目」と謙虚な(?)言葉とは裏腹に(??)天性のシンガーぶりを発揮。「Poppin’ Run」の開放的なポップネス、「さいたまスーパーアリーナをドッグランにしますか?」という煽りから始まった「ZOKINGDOG」、新曲「革命道中」におけるブルーノート的な表現を取り入れた歌い方もそうだが、とにかく自由で楽しそうなのだ。「鹿野さんには、1人で歌うのに勇気が必要だったときからお世話になっていて」という話もしていたが、グループ解散から2年が経ち、彼女は今、歌うことの本当の歓びを見出しつつあるのだと思う。
01.Poppin' Run
02.Frail
03.ZOKINGDOG
04.家庭教師
05.革命道中
06.Love Sick
07.ペチカの夜
08.サボテンガール
リハが終わり、アーティスト紹介の映像が流れているときに「この時間がもったいねえんだよ!」(TAKUYA∞)と早々と登場し、最新アルバム「EPIPHANY」収録曲「NO MAP」を放ったUVERworldは“今、この瞬間”を刻み付けるようなステージを見せつけた。2曲目の「PHOENIX AX」ではTAKUYA∞がアリーナに降り、オーディエンスの真ん中で熱唱。こういうステージングからも、主催者側とバンド側の信頼関係の強さをはっきりと感じ取ることができた。
「初めて買ったCDは永ちゃん。挨拶できたら“矢沢さん”と呼ぶけど、それまでは永ちゃんでいかせてもらいます!」というMCで永ちゃんファンから喝さいを浴びた後は、「PRAYING RUN」「Touch off」などのアンセムをつなげ、最後は“本当に大切なものに気づくんだ“というメッセージを投げかける「EPIPHANY」。フィジカルとメンタルの強さが響き合う最強のアクトだった。
01.NO MAP
02.PHOENIX AX
03.Eye's Sentry
04.PRAYING RUN
05.Touch off
06.IMPACT
07.EN
08.EPIPHANY
ここで40分のインターバル。1日目のインターバルはすべて20分だったので、40分という時間は、デビュー50周年を迎えた“SUPER LEGEND”への心構えとリハーサルを念入りに行うためだったのだろう。
そして17時30分、ついに矢沢永吉が登場。白のスーツとパープルの皮のコート、グラサンをまとって永ちゃんが姿を見せた瞬間、会場の空気が一変。女性コーラス隊、ホーンセクションを含んだバンドを従え、「止まらないHa〜Ha」が始まると、この場所にいる全員がロックスターの虜になってしまった。色とりどりのタオルが空中に舞うシーンは間違いなく、CANNONBALL2日目のハイライトだった。さらに「YOU」「時間よ止まれ」とキャリアを代表するラブソングを響かせ、すべてのオーディエンスを魅了。とにかく歌がすごすぎる。
「CANNONBALLに呼ばれて、こんなうれしいことはありません。どうもありがとう!(観客は)“10代の終わりから20代がほとんどです”と言われて。4回りくらい年が違うところに出させてくれて。ずーっと、ロックしてます。あと何年やれるかわかりません。もうバリバリ楽しんでいっちゃおうかなと思っとります」
そして「もう1曲、ロックンロール紹介したいと思います。ヨロシク!」というMCから「黒く塗りつぶせ」。ド派手にマイクスタンドをぶん回し、会場はこの日いちばんの大歓声。凄み、パワー、奥深さ、解放感を併せ持った、最強のロックンロール・シンガーであることを改めて知らしめた圧巻のステージだった。
01.止まらないHa~Ha
02.YOU
03.時間よ止まれ
04.黒く塗りつぶせ
「以前、矢沢永吉さんのフェス『ONE NIGHT SHOW 2020』にお声がけいただきました。(コロナ禍の影響により)残念ながら開催は叶いませんでしたが、その気遣いもあってか、BOSS(矢沢永吉さん)から直々に、“俺の後はWANIMAに任せた”というお話をいただいてます。UVERworldの最強のライブ、矢沢さんのやばい、カッコいいステージ。俺ら、何ができるかな?熱くやろうぜ、CANNONBALL。いいか?!」(KENTA)という言葉から始まったWANIMAは、このバンドにしかやれないことを全力で叩きつけた。“雨はもう止んだ”と歌い始めた「眩光」からはじまり、「イライラすること、むかつくことを思い出しながら聴いてほしいです」と紹介された「爛々ラプソディ」、熊本弁が炸裂する「Do Gang」などを間髪入れず放ちまくり、巨大なフロアを熱狂の渦へと巻きこんでいく。すべての観客を鼓舞し、寄り添い、盛り上げまくるステージングは最高としか言いようがない。最後に「やばい、時間配分間違えた。主催の方、すいません!」と「Hey Lady」を高速でぶちかましダッシュでステージを後にした3人。そのインパクトはこの日のラインナップのなかでも完全にトップクラスだった。(この日、彼等の地元・熊本は豪雨の被害に。それぞれ出来ることがあるはずなので、そのことも頭のどこかに置いておいてほしい。私もやれることをやります)
01.眩光
02.爛々ラプソディ
03.Do Gang
04.Rolling Days
05.DISCOVER
06.オドルヨル
07.存在
08.Hey Lady
そして、2日目のトリをつとめたBE:FIRSTのステージへ。「GRIT」「Mainstream」「Masterplan」と冒頭からヒップホップ濃度高めのナンバーを続け、アリーナ/スタンドを含め会場全体に心地よい一体感を生み出す。卓越したダンスパフォーマンスと鋭利なラップ、心地よくグルーヴする歌声。メンバー全員の個性とセンスを活かし切ったステージングに一気に引き込まれる。4月から7月にかけてワールドツアーを開催したBE:FIRST。ツアー終了後、最初のフェス出演が「CANNONBALL」だったわけだが、海外でのライブを経て、彼らのポテンシャルがさらに引き上げられたのは明らかだ。
しかもこの日は、彼らが6人編成で行う初めてのステージ。歌割り、ダンスパートとともにほぼ全曲構成し直し、SKY-HIは歌詞を6人体制用に書き直した。つまり「CHANNONBALL」は、BE:FIRSTにとっても新たな物語の始まりの場所だったというわけだ。
「僕たち、じつは最近ワールドツアーをやりました。日本で今年、初フェスです!いつも聴かせてもらってる、尊敬しているアーティストの方々がいらっしゃって。そして僕たちとみなさんで最高の1日にしましょう!」(MANATO)というMCと「Set Sail」でライブの雰囲気は一変。華やかな解放感が広がっていく。
「レジェンド並んでたけど、いちばん踊れる音楽を持ってるのは俺らだって証明してやるよ!」(SOTA)という煽りに導かれた「Boom Boom Back」、「すごいアーティストのみなさんがいらっしゃるなかで、最後のトリをやらせてもらえるということですごく緊張してました。みなさん、ありがとうございました!あなたに会えて、僕らは幸せです。音楽やっててよかった!」(LEO)という歓喜のシャウトから始まった「Great Mistakes」と曲を重ねるごとに高揚感がアップ。ラストは「夢中」。〈Will you stay with me forever?〉というロマンティックなフレーズは、CHANNOBALL全体の多幸感とまっすぐにつながっていた。
01.GRIT
02.Mainstream
03.Masterplan
04.Set Sail
05.Brave Generation
06.Boom Boom Back
07.Don’t Wake Me Up
08.Great Mistakes
09.Sailing
10.Bye-Good-Bye
11.夢中
飲食ブース、休憩場所もたっぷり、スタンドは指定席だからゆったり観られるし、アリーナ前方は完全入れ替え制で導線もスムーズ。さらに巨大なスクリーンと質の高い音響と“暑くないけど熱い”フェスを見事に実現してみせたCANNONBALL。欲を言えば、もう少し自由に観客が動ければいいなと思うし(アリーナにスペースがあっても、スタンド席から降りていけない)、フェスだったらやっぱり複数のステージが欲しい。そのあたりは来年以降の改善に期待したい。いずれにしてもCANNONBALLの登場によって、日本の夏フェスが新たな時代に突入したことは間違いないだろう。





















