つるの剛士×電大=電大260000V、バンドの楽しさが詰まったステージ「電大260000V 電撃!神田明神 LIVE 2025」をレポート

ライブレポート | 2025.03.10 19:00

つるの剛士×電大=電大260000V
「電大260000V 電撃!神田明神 LIVE 2025」
2025年2月11日(火)神田明神ホール

御利益がたっぷりありそうな、楽しくもにぎやかな夜となった。ステージ上も客席も笑顔があふれていた。2025年2月11日に東京・神田明神ホールで開催された『電大260000V 電撃!神田明神 LIVE 2025』のことだ。この日は第一部としてファンクラブ「つるの本部」の隊員のみが参加できる <つるの集い>も開催されている。その第ニ部が電大260000Vのステージである。電大260000V はつるの剛士と電大とのコラボーレーションユニットの名前だ。電大はユニコーンの川西幸一(Dr)、手島いさむ(Gt)、EBI(Ba)の3人によるバンドで、昨年夏につるのがユニコーン企画のライブイベント「UNICORN MACHURI『LIVE 1173』」に参加したことから、今回のコラボレーションが実現した。この日はつるののライブのサポートをしている村原康介(Key)も参加して、5人編成でのコンサートとなった。神田明神ホールは神田明神の境内に建てられた会場であり、神田明神に参拝してから会場入りした観客もたくさんいそうだ。つるのもライブ前にお参りをしたと語っていた。

つるの剛士

川西幸一(Dr)

手島いさむ(Gt)

EBI(Ba)

村原康介(Key)

始まりの合図は手島の自在なギターソロだった。さらに、「ハロー! エブリバディ! 1、2,3、4!」と川西がシャウト&カウントして始まったのは「ようこそ」だ。「つるの剛士!」と手島が紹介。つるのがフライングVを弾きながら歌っている。つるの、手島、EBI、川西の声が重なる瞬間に、団結するパワーを感じた。コラボレーションではあるのだが、すでに5人で1つのバンドと表現したくなった。<今夜はここで魂こがして歌う>という歌声が力強く響きわたり、コンサートの開幕を力強く宣言するかのように響く。つるのとEBIが向き合って演奏する場面もあり。“電大260000V”というユニット名の通り、つるののボーカル&ギター、村原のキーボードが加わることで、サウンドの電圧が増して、さらにカラフルになっていると感じた。息つく間もなく、「A GOOD DAY」へ突入。前半は電大のナンバーが立て続けに演奏される構成だ。グルーヴ感あふれるリズムに、観客のハンドクラップが加わり、会場内に熱気が充満していく。つるのが楽しそうに歌っている姿が印象的だ。さらに疾走感あふれる「もったいない」へ。かけ声の応酬によって、歌と演奏が加速していく。曲のエンディングではつるの、手島、EBIが川西を囲むようにして、フィニッシュ。つるのはジャンプ。熱烈な拍手と名前を呼ぶ歓声が飛びかっている。

「嘘みたい! 中学生の自分が見たら、卒倒するでしょうね。憧れていた方々とステージに立って音を出せるなんて、信じられません」とつるの。そのつるのに対して、「夏に一緒にやって、その後も電大のライブに来てくれたでしょ。そこから進化している気がするよ」と川西からお褒めの言葉もあった。

手島の豪快なギターソロで始まったのは「ハレルヤ」だった。キャッチーなリフに体が揺れる。川西のパワフルなドラムとEBIのタイトなベースが加わり、疾走感あふれるロックンロールが展開されていく。つるのが楽しそうに歌い、EBIと川西がコーラスしている。まるでつるのの50歳の前祝いのような陽気なパワーがほとばしっていく。続いての「ROUTE31」でもさらに加速。クレイジーかつワイルドな歌と演奏に、観客がこぶしを挙げて盛り上がっている。つるののボーカルからはひたむきさとともに、せつなさもにじんでいた。つるのは40代最後、電大の3人は50代最後~60代だが、彼らの歌声と演奏からは青春の香りが漂っていた。彼らの奏でるサウンドがみずみずしく響くのは、好きな音楽を心のままに追究しているからだろう。川西のドラムで始まった「Funny Drive」もドライブ感と開放感あふれる演奏が気持ち良かった。曲が進むほどにスピードアップして、会場内がヒートアップしていく。川西が「テッシー!」「剛士~!」「EBI~!」「康介~!」とシャウトして、メンバーそれぞれがソロプレイも披露。バンドの楽しさが詰まったステージだ。

「楽しい!」と、つるのが言うと、客席から「最高!」との声。「始まると終わるから、嫌だよね」とつるの。ここからしばし緩いトークが始まった。もともとつるのも電大もトークが長めという共通点がある。会場内がすっかり和んだ後は、「僕はありのままでいきたいと思います」というつるのの言葉に続いて、つるのの曲「ありのまま」が披露された。手島のエモーショナルなギターに続いて、つるのの人間味あふれる歌声が真っ直ぐ届いてくる。手島、EBI、川西の演奏も温かい。電大の3人によるコーラスもつるのの歌声を包み込んでいくようだ。

「中学の時、ユニコーンのカバーをしていて、ベースをやっていました。せっかくなので、ユニコーンのカバーをやらせていただきたいな」というつるののMCに続いて披露されたのは、手島が作詞・作曲したユニコーンの名曲「自転車泥棒」だった。つるのと手島はアコースティックギター、EBIはシェイカー、川西はタンバリン、村原はピアノという編成だ。つるのの素朴な歌声に手島がコーラスして、叙情あふれる世界が広がった。曲のアウトロでは、川西がマレットでドラムロールしてフィニッシュ。深い余韻が残るところなのだが、客席から「ブラボー!」という声がかかると、「泥棒?」とすかさず手島が返して、笑いを取っている。「あの~、ちょっと浸らせてもらっていいですか」とつるの。このメンバー、MCになると、ともかく笑いが絶えない。

「次の曲は新作です。一緒に作らせてもらいました。手島さんが送ってくださったデモテープに歌詞をつけさせてもらいました。初めての合作です」とのつるのの言葉に続いて、初披露となる電大260000Vの初共作曲「今すぐ走り出せ」が披露された。ソリッドなギターサウンド全開のロックンロールナンバーで、つるののシャウトに手島がコーラスしている。50歳目前のつるのの今の思いが詰まったアグレッシブな歌詞が魅力的で、言葉がダイレクトに届いてきた。手島とEBIと川西の刻むグルーヴがつるのの背中を押すかのようだ。つるのと電大との良好な関係性が見えてくる曲と言えるだろう。「コラボのライブ、おもしろいね」と手島が言うと、「えっ、何がですか?」とつるのが質問。「それぞれの特性が出て」と手島が答えている。「特性ってポケモンみたいじゃないですか」とつるのが言い、自身のシングル曲「ポケモン言えるかな?BW」を歌い出す場面もあった。EBIが「すごいわ」と感心し、「尊敬するわ」と川西。5人編成でのライブは、電大の3人にとっても刺激的なものになったのは間違いないだろう。5人の音楽性と人間性とが混ざり合って、音楽の化学変化が起こっていると感じる瞬間もあった。

「民生さんが作ってくれた世良さんの曲で、フィーチャリングで参加されてもらった曲です」というつるのの言葉に続いて、世良公則 feat.つるの剛士の「いつものうた」が演奏された。グラムロックのテイストも備えたロックンロールナンバーだ。表情豊かなつるののボーカルと、ファンキーかつ骨太な演奏に体が揺れる。続いて、つるのの「シュガーバイン」が演奏された。力強い歌声と推進力のある演奏が気持ちいい。つるのが電大との共演に感動しながら歌っている。つるのが「テッシー!」と叫ぶと、手島が華麗なギターを披露。川西のドラムとEBIのベースが会場内に鳴り響き、客席が揺れている。本編最後もつるのの曲「はやぶさ」だ。つるのの渾身の歌声に、EBIと手島が温かな声でコーラスしている。<夢の欠片を届けたい><最後まで諦めない>といったフレーズは、今のつるのの心境にも当てはまるものだろう。観客もハンドクラップで参加している。青春パンクのテイストのある曲を電大の3人が演奏しているところが新鮮だ。歌と演奏からみずみずしいエネルギーがほとばしっている。それぞれのメンバーを紹介して、拍手と歓声の嵐の中で本編が終了した。

アンコールではまずつるのがひとりで登場。「今年は50歳になるので、いろいろライブもやっていきたいなと思います。5月31日にも日本橋三井ホールでやりますので、よろしくお願いします」。さらに「終わっちゃうの、やだねえ」と言うと、客席からも「ヤダ~!」との声があがった。「このまま(電大の3人を)呼び込むの、やめちゃおうかな」とのこと。まず、村原を呼び込もうとしたら、EBIが先に登場した。さらに手島、川西と登場して、最後に村原が姿を現した。段取り無用の自由なライブだ。アンコールの1曲目はユニコーンの「スターな男」。電大260000Vは編成がユニコーンとほぼ同じということもあり、オリジナルに忠実なアレンジと演奏で披露された。手島のギターで始まり、つるのがシャウトしている。ファンキーなロックンロールだが、変拍子も入ってくる曲だ。ユニコーンの曲が中学の頃から体に入っているつるのが、感無量になりながら歌っている。曲が終わった瞬間に、「ヤバい!」とつるの。

「本当にうれしいです。ありがとうございます。最高の50歳になりそうです」とつるの。50代を迎えるにあたってのアドバイスを求めるつるのに対して、EBIが「これからも健康第一で」と至極真っ当な言葉を返していたのがおかしかった。アンコールの最後はつるのの「死ぬまで夢を見る男」だった。つるののアコースティックギターと歌での始まり。川西のドラム、客席のハンドクラップ、さらに手島のギター、EBIのベース、村原のキーボードが加わっていく。つるのの歌声に手島、EBI、川西がコーラスで参加している。つるのが全身で喜びを表しながら歌っている。これは、死ぬまで夢を見る男である、つるのの1つの夢が叶った瞬間でもありそうだ。観客も熱い歌と演奏にシビレまくって、感電&感動。曲が終わると、「どうもありがとうございました!」とつるのが叫び、5人並んで挨拶して、ライブは終了した。

電大260000Vの気迫あふれる歌と演奏によって、“神田明神ホール”がパワースポットと化していた。つるの剛士は5月31日に東京・日本橋三井ホールでワンマンコンサートを開催する予定。電大も3月16日より「春一番」ツアーがスタートする。電大260000Vの圧倒的なエネルギーが、つるのの50歳への道と電大の未来を明るく照らしていた。ホールを出ると、神田明神の左側の空には満月。気のせいか、いつもよりも月の輝きの光量が増していると感じた夜になった。

SET LIST

01. ようこそ
02. A GOOD DAY
03. もったいない
04. ハレルヤ
05. ROUTE31
06. Funny Drive
07. ありのまま
08. 自転車泥棒
09. 今すぐ走り出せ(新曲)
10. いつものうた
11. シュガーバイン
12. はやぶさ

ENCORE
13. スターな男
14. 死ぬまで夢を見る男

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