50歳記念ライブ“50th!!”
2025年5月31日(土)日本橋三井ホール
[出演者]つるの剛士 / 野久保直樹 / 河相我聞 / 世良公則 / ウルトラマンダイナ / アスカ・シン / 梶谷直史(フジテレビアナウンサー)
「芸能界に入って30年なので、こんなことをやってきましたということを“全盛り”したいです。みなさんと一緒に自分の人生を振り返るような、自分の棚卸し的なライブにしたいと思っています」
ライブが始まる前のオープニング映像で、つるの剛士がそう語った。そのコメントどおり、つるの剛士のこれまでの人生を辿る、多彩で密度の濃いライブとなった。彼の50歳の誕生日である5月26日から5日後の5月31日、東京・日本橋三井ホールで開催された「50歳記念ライブ“50th!!”」は、まさに50年間の集大成だった。
まずはつるの初期の音楽活動を支えたバンドを従えてのステージからのスタートとなった。オープニングナンバーは疾走感あふれるロックナンバー、「メダリスト2020」だ。白いフライングVを弾きながら歌うつるのの、ひたむきな歌声が真っ直ぐ届いてきた。この曲は、世界柔道のテーマソングとしてつるのが歌詞を書いた「メダリスト」に新たに歌詞を追加した作品で、夢を追うことの尊さがテーマとなっている。50歳最初のライブの幕開けにふさわしい曲だ。パンキッシュな「はやぶさ」では熱い思いが詰まった歌声が響きわたった。
観客もハンドクラップで参加し、会場内が熱気に包まれてた。さらに「はやぶさ2」へ。もともとは日本の探査機「はやぶさ2」への応援歌として制作された曲だが、つるの自身と観客とを鼓舞する歌としても響いてきた。熱さとともに人懐こさや温かさが伝わってきたのは、つるのの人間性が歌声にも反映されているからだろう。
「50歳になりました。応援してくださる皆さんと一緒に、このような形でライブができて、感謝の気持ちでいっぱいです。最初飛ばしすぎてしまいました。50なんだから、バランスを考えなきゃダメですね」とのMCもあった。
ここで河相我聞がゲストとして登場した。つるのが初めて出演したドラマ『青春の影』(1994年放映)の主演が河相で、共演がきっかけで仲良くなり、河相の家に居候をし、河相のラジオ番組にゲストで出演したことが、今の事務所に入るきっかけになった。つまりデビュー当時の大恩人なのだ。しかも、河相の誕生日が1975年5月24日で2日しか違わない。「50歳になったのに飛ばしてたね」と河相。2人が出会ったドラマ『青春の影』のオープニングテーマ「愛をくれよ」を、つるのの歌とアコースティックギター、河相のドラムで披露したのだ。50歳になりたての2人の共演となり、歌の世界の中に2人の友情が染みこんでいくようだった。曲が終わると、河相が「60歳になったらまた呼んでね」と語り、ステージから去った。
続いてはつるのがウルトラマンシリーズのテレビドラマ『ウルトラマンダイナ』(1997年~1998年)で演じていたアスカ・シンとしてステージに登場した。ウルトラマンダイナがいかに自分にとって、大切な存在であるかのコメント映像も流された。ゲストとしてウルトラマンダイナが姿を現して、ファイティングポーズを取る中で、『ウルトラマンダイナ』のエンディングテーマの「君だけを守りたい」を披露した。この瞬間、ステージ上で歌っているのは、つるのではなく、アスカ・シンだった。演奏が終わり、「ダイナ、来てくれてありがとう」とつるのが言うと、ダイナが「シャ!」と返して場内から笑いが起こった。「不思議な気分だ。もう一人の自分がいる気がします」とつるの。
さらにヒーローつながりで、『ウルトラヒーローズEXPO 2022 サマーフェスティバル』のテーマソング「next new hero」を披露した。2曲連続の熱血ソングで会場内も大盛り上がりとなった。
続いては、つるのがナビゲーターを務めている番組『GO!GO!チャギントン』で、同じくナビゲーターを担当しているフジテレビの梶谷直史アナウンサーがかけつけて、トークをしたのちに、番組内で放送されている「ジャンケントレイン」をバンドの生演奏のもとで、フリつきで披露したのだ。つるのがダンスし、そしてジャンプしている。こんなエネルギッシュな50歳は珍しいだろう。
清々しい音楽から一転して、禍々しい音楽へ。つるのが加入しているセミメタルバンド、シケイダスの一員として、セミ人間に扮して、ヘヴィメタル全開の「Cicadas」と「ミーン」を披露した。その振り幅の広さが尋常ではない。つるのは、シケイダス1号としてヘドバンをしながら、ディストーションのかかったギターをかきむしっている。ノリノリで頭を振る観客、唖然としている観客、呆然としている観客と反応はさまざまだ。
世良公則がゲストとして登場すると、盛大な拍手が起こった。つるのと世良は、2009年にNHKの番組『タビうた』で共演したことがきっかけで交流を深めてきた。二人は交互にリードボーカルを取って、世良公則&ツイストの大ヒット曲「銃爪」を演奏した。世良はもちろん、つるのもパワフルなシャウトを披露。二人の、男っぽくてワイルドなコーラスに大歓声が起こる。世良は華麗なマイクスタンド・パフォーマンスでも拍手喝采を浴びていた。つるのが「かっこいい!」という言葉を連発していた。「50だろ、まだまだ若い!オレは今年70だから」というと、場内から「エーッ!」と驚きの声があがった。「つるのくん、まだまだ伸び代があるということだから」と世良からの激励の言葉もあった。さらに、『タビうた』に出演時にともに歌った「燃えろいい女」が演奏された。「夏がくるぜ!」と世良がシャウトしている。まるで青春真っ盛りのボーカリスト2人の共演のような、エネルギッシュなステージとなった。
最後のゲストとして登場したのは、つるのとともにユニット、羞恥心を組んでいた野久保直樹だ。「ノック(野久保)と再びステージに立てるのがうれしいです」とつるの。上地雄輔はスケジュールの都合で参加できなかったが、2人が並んでいる光景を見て、2008年にタイムトリップした観客もいたのではないだろうか。「聴いてください、羞恥心マイナス1で『羞恥心』」とつるのが紹介して、野久保と2人で当時の振りのままに、「羞恥心」を披露した。観客もハンドクラップで加わる中での歌となった。歌い終わると、大歓声が起こった。「また、近々」と言いながら、野久保が去っていった。
「振り返ってみると、その時その時で素敵な偶然が目の前に現れて、ご縁で広がって、成長させてもらっています。これからもチャレンジしていきたいと思っています。若い時は夢に向かって、突っ走っていましたが、これからは目の前に現れる小さな夢でも、見逃さず丁寧に関わっていこうと思っています」とのMCに続いて、PRINCESS PRINCESSのカバー曲「M」が披露された。つるのが2009年にリリースしたカバーアルバム『つるのうた』の1曲目に収録されている曲だ。つるのがハンドマイクで思いを込めるようにして歌っていた。伸びやかさとせつなさが共存するつるのの歌声に合わせて、客席が揺れていた。
アンコール曲が披露される前に、交流のある人々からの“50歳のお祝いメッセージ”の映像が紹介されるサプライズもあった。その顔ぶれは、電大の3人、相川七瀬、ミッツ・マングローブ、細貝圭、村越正海(釣り師)、戸辺誠(将棋棋士)、DAIGO、杉浦太陽など。さらにアンコールでは電大との合作曲「いますぐ走り出せ」とthe pillowsの山中さわおが作詞・作曲を担当した「シュガーバイン」が披露されて、会場内が熱気に包まれた。熱くて温かい50歳の最初のステージだ。1曲目の「メダリスト2020」もラストの「シュガーバイン」も夢がテーマになっているところがつるのらしかった。バラエティーに富んでいて、振り幅がとてつもなく広いステージとなったのは、つるのが常に挑戦する気持ちを忘れずに柔軟な姿勢を持ちながら、未来へと歩み続けているからだろう。
昨夜無事に終演いたしました。
会場にご来場いただいた皆さま
本当に本当にありがとうございました。世良公則さん、河相我聞ちゃん、ノック、kirzくん、チャギントン、梶谷アナ、
そして、ダイナ…サプライズでVTRメッセージまで…… https://t.co/l7NMLj6zih pic.twitter.com/VFdALj3Lke
— つるの剛士 (@takeshi_tsuruno) May 31, 2025
SET LIST
01. メダリスト2020
02. はやぶさ
03. はやぶさ2
04. 愛をくれよ(with 河相我聞)
05. 君だけを守りたい(アスカ・シン)
06. next new hero(アスカ・シン)
07. ジャンケントレイン(with 梶谷直史アナウンサー)
08. Cicadas(Kirz Hammett From HATTALLICA)
09. ミーン(Kirz Hammett From HATTALLICA)
10. 銃爪(with 世良公則)
11. 燃えろいい女(with 世良公則)
12. 羞恥心(with 野久保直樹)
13. M
ENCORE
En01. いますぐ走り出せ
En02. シュガーバイン