SUPER BEAVER、「あなたたちでなくあなた一人に歌う」最高の音楽が生まれた武道館最終日をレポート

ライブレポート | 2024.12.11 18:00

SUPER BEAVER 都会のラクダ TOUR 2024
〜 セイハッ!ツーツーウラウラ 〜
2024年12月4日(水)日本武道館

「2024年、今年5本目の日本武道館。さらっと言ったけど、めちゃくちゃカッコイイと思ってる。初めての武道館は6年前で、今はやれて当然だと思ってる」と渋谷龍太(Vo)はライヴ中にMCを挟んだ。振り返れば、2018年4月30日の初の武道館公演は「ライヴハウスから日の丸の下へ」とステージ登場時に語りかけた言葉だけで感極まるものがあったし、後半に「今日をゴールにしないために、泣かないと決めているんだ」と告白した渋谷。あれから6年、SUPER BEAVERは今や日本中に名を轟かせるロック・バンドへと成長している。

SUPER BEAVERのツアー「都会のラクダ TOUR 2024 ~ セイハッ!ツーツーウラウラ ~」が10月4日・J:COMホール八王子を皮切りに計17公演を実施。そのツアー・ファイナルにあたる日本武道館2デイズの最終日を観てきたが、6年前の武道館とはまた違う景色が待っていた。開演時刻18時半を5分ほど回ると暗転。上杉研太(Ba)の歪んだベースが鳴り響き、そこに藤原”36才”広明(Dr)のビート、柳沢亮太(Gt)のギターが重なり、「お待たせ!」と渋谷が挨拶すると、1曲目は「ひたむき」で始まった。「いつだって今日が人生のピーク」と歌詞にある通り、観客は前のめりで今この瞬間を楽しんでいる。

パイロの爆発音を合図に「突破口」に入ると、武道館の温度はグッと上昇。渋谷の歌はもちろん、饒舌なベース・ラインを筆頭に骨太のバンド・サウンドで観客を牽引していく。「声、小さいですね?75点ってとこかな。100点目指して!」と曲中に煽り続け、観客の基底にある感情を呼び覚ます。観声は次第に大きくなり、ライヴハウスと変わらぬ熱量が渦巻く有様だ。「4人で完結する音楽じゃない。あなたがいなけりゃ成立しない一日。ライヴハウス から来たSUPER BEAVERです!」と自己紹介した後に「証明」へ。渋谷のステージ上のアクションは激しくなり、そのまま舞台袖まで出歩き、注釈付きの見切れ席にいる観客にも丁寧に届けていた。SUPER BEAVERとあなた。1対1で観客と対話するスタンスはここでも変わらない。観客の合唱はひときわ大きく、曲の存在感を存分に魅せつける。

渋谷龍太

柳沢亮太

アカペラで歌い始め、その後の歌詞を観客が歌う形で始まったのは「美しい日」である。演奏中、誰もが手を左右に振り、曲を盛り上げている。その風景は観客一人ひとりが主役なのだと言わんばかり。ただの受け手ではないという意識の強さもSUPER BEAVERのお客さんならではである。主体的かつ能動的。その積み上げによる一体感は濃密だ。「踊れ、東京ー!」と柳沢が叫び、「めくばせ」を披露。キレのあるカッティングに踊る人たちが増えていく。また、無数の白いライティングも効果的で、武道館の天井には天の川のごときファンタジックな文様が浮かび上がっていた。次はスクリーンに男女の影絵が流れる中で「リビング」を投下。曲が持つムードを視覚からも補強し、没入感を誘う演出も素晴らしい。さらに「儚くない」と続き、大人びたサウンドで繊細に届けるアプローチも格段にブラッシュアップされていた。

今年は結成19周年を迎え、同年2月にアルバム『音楽』を発表したものの、今ツアーは音源リリースと紐づいたものではない。このタイミングでツアーを行った理由は「あなたを武道館に連れて行きたかったから」と渋谷は答え、「your song」に繋ぐ流れに会場も大興奮。その熱狂は「27」でさらに膨らむ一方であった。

上杉研太

藤原”36才”広明

「音楽で一つになろうぜとかは嫌いです。たまたま好きにやった結果、一体感が生まれちゃってますね。愛、夢、希望とか誰もでかい声で歌わなくなったことを歌わせてもらってます!」(渋谷)

「見切れ席も立ち見席もありがとう。スタッフを含めて、一人ひとりがいないとできません。最後まで思いっきり届ける」(柳沢)

「過去最高のライヴになってる。音楽は非日常だったけど、いい意味で音楽が日常になった」(上杉)

「最初から最後まで俺が見えない席もあるだろうけど、俺のビートを届けるぜ!」(藤原)

4人4様のMCを経て、「ここからライヴハウスにしましょう!」という渋谷の掛け声とともに後半戦に突入。10本の火柱が上がった「秘密」を皮切りに「奪還」、「切望」、「最前線」と畳み掛け、観客の感情を根こそぎ奪い去っていく。歓喜に包まれた武道館はピークを更新し続けるばかりだ。いよいよライヴも佳境に差し掛かり、「あなたの近くで鳴る音楽でありたい」と前置きした後に「人として」へ。ビブラートを駆使した歌声は聴き応えがあり、曲のスケール感も以前より増している。それから「アイラヴユー」を挟み、最新アルバム『音楽』のラストを飾る「小さな革命」をここでプレイ。藤原のドラムで始まり、こちらもスケールの大きな曲調へと成長を遂げていた。スクリーンに歌詞が流れ、「君の夜明けのきっかけになれたら」というフレーズはSUPER BEAVERが伝えたいメッセージの根幹と言っていい。新たな一歩を踏み出すきっかけに自分たちの音楽がなれたら。人生の応援歌として、人生のサウンドトラックとして、あなたの日常に寄り添う音楽でありたい。そうしたピュアな思いを壮大なスケールで響かせていた。この曲で終幕しても美しかったが、ラスト曲「青い春」で武道館中から満面の笑顔を引き出し、ツアー・ファイナルを盛大に締め括ってくれた。

そして、「アンコールはしないです」と断りを入れて、ステージ袖に消えていくメンバー4人。スクリーンに渋谷とスタッフの会話のやり取りが映し出され、来年結成20周年というアニバーサリーイヤーを受け、第一弾としてバンド史上最大キャパとなる千葉・ZOZOマリンスタジアムにてワンマン2デイズ“6月20日(金)、21日(土)“開催を発表! 会場のどよめきは凄まじかったけれど、その後も第二弾、第三弾とファンを喜ばせてくれる企画が待っているのではないだろうか。とにかく、会場の規模がどれだけ大きくなっても、1対1で伝えることの大切さを証明してきた彼ら。その盤石なる信頼関係の上で成り立った、SUPER BEAVERとあなた=ZOZOマリンスタジアム2デイズ(3万人以上×2日=6万人以上)の景色を肌で感じたい。

SUPER BEAVER 20th Anniversary 『都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム』告知映像

SET LIST

01. ひたむき
02. 突破口
03. 証明
04. 美しい日
05. めくばせ
06. リビング
07. 儚くない
08. your song
09. 27
10. 秘密
11. 奪還
12. 切望
13. 最前線
14. 人として
15. アイラヴュー
16. 小さな革命
17. 青い春

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