moumoonの二人とピアニストで届けた極上の音楽空間。穏やかな光に包まれたアコースティックツアーファイナル

ライブレポート | 2024.08.21 18:00

moumoon -Acoustic Trio Tour 2024- 「mmm!!!」
2024年8月12日(月・祝)ルーテル市ヶ谷ホール

moumoonが8月12日(月・祝)に東京・ルーテル市ヶ谷ホールにて、アコースティックライブツアー『moumoon -Acoustic Trio Tour 2024- 「mmm!!!」』のファイナル公演を迎えた。

今年4月には5年ぶりとなるフルバンド編成による東名阪ライブツアー『moumoon FULLMOON LIVE TOUR 2024 ~FELT SENSE~』を開催し、結成20周年を迎える2025年に向けて、精力的なライブ活動を行なっているmoumoon。<もっとムームーン>の頭文字を冠した本ツアー『moumoon -Acoustic Trio Tour 2024- 「mmm!!!」』は今年6月から8月にかけて、全国9ヶ所16公演に亘って開催されたアコースティックライブツアー。宮城県・青葉の風テラスを皮切りに、金沢21世紀美術館や国の登録有形文化財に指定された京都の紫明会館など、普段のライブとは趣の異なる会場で行われることに加えて、2019年から裏方に徹していたコンポーザーでギタリストのMASAKIが4年ぶりにステージに本格的に復帰。moumoonの二人が久しぶりに揃い、サポートメンバーのeji(Piano)を迎えたトリオ編成でのアコースティックライブということもあり、大きな注目を集めていた。

開演時間となり、YUKA、MASAKI、ejiの3人が礼拝時には祭壇として用いられるステージにゆっくりと歩いて登場すると、ソールドアウトとなった満員の観客は期待に満ちた温かい拍手で出迎えた。一瞬の静寂の後、ejiが奏でるベーゼンドルファー225のピアノの音色ともに、そっと語りかけるように歌い出したのは、昨年7月にリリースした通算9枚目のアルバム『FELT SENSE』に収録された「ヒライス」。ウェールズ語で「もう帰れない場所に帰りたいと思う気持ち」という意味のタイトルが付けられたバラードには、もう二度と会えない大切な人との再会を願う切実な思いが込められており、まるで賛美歌のような祈りにも似た響きで空間を満たしていった。続いて、MASAKIのカウントから始まる「EVERGREEN」は100年後の誰かの幸せを願うバラッドで、<愛を叫び続けるから ずっと>というサビのフレーズではYUKA、MASAKI、ejiの3声となり、<幸せになるために 生まれてきたの>とタイトル通りに普遍的なメッセージをまっすぐに届け、観客の胸をぎゅっと締め付けた。

最初のMCでは、MASAKIがステージに戻ってくるまでの心境の変化を正直に吐露した。2019 年に裏方に回ることを決め、以降はmoumoonのライブをPA卓で見守ってきた。ファンやスタッフから「ステージにまた戻ってきたら?」というたくさんの声をもらっていたことに加えて、今年の1月に彼の地元である金沢にほど近い能登半島で地震が起きたことが契機となり、石川県でのアコースティックライブの開催を模索。「久しぶりにみなさんの前で演奏して、少しでも笑顔になってもらったり、楽しかったな、良かったなって思ってもらえのであれば、自分ができることは限られているけど、ステージに立って、ライブをしようと思いました」と語ると、YUKAは「また一緒にライブができることが本当に本当に嬉しいです」と何度も「嬉しい」を繰り返して喜びを伝え、「私たち3人でしか出せない音を心を込めてお届けしていきます。最後まで涼やかでゆったりした時間を過ごしていただけたらと思います」とあいさつ。「次は少し懐かしい曲なんですけど、希望に溢れた曲なので、よかったら手拍子しながら聴いていただけたら嬉しいです」と語り、「リフレイン」を演奏。YUKAはタンバリンを叩きながら、“あの日”のあなたの笑顔がくれた強さをふくよかな声で歌い上げた。

MASAKIの口笛から始まる代表曲「Sunshine Girl」でも聴いているだけで心が優しく明るくなるような弾む歌声と演奏に観客は笑顔で手拍子を鳴らし、ニューアルバムからの「ブルーアワー」ではYUKAがレインスティックで潮風を含んだ雨を引き連れてくると、MASAKIはエフェクターを使って、アコギ一本で様々な音色を奏で、楽曲の風景感に彩りと奥行きを加えていった。ここで、「夢と現実の境目が曖昧な雰囲気が好き」というYUKAが今回のツアーでは会場選びにこだわったことを話し始め、「お客さんに非日常を楽しんでいただきたいなと思って作ってきました」と想いを伝えた。そして、「いつもとは違った場所に皆さんと旅するような感じで何曲か届けていきたいと思います。次の曲は星空、月の下で歌っている恋の歌です」という言葉の後で椅子に座り、「moonlight」「Kiss me Baby」というロマンチックな恋の物語を立て続けに歌唱。現実からゆっくりと離陸して、遥かな星の世界へと連れてってくれるような歌声に、観客はまさに夢見心地で聴き入っていた。

続く、「Myself」では、強い意志を感じるパワフルな歌声を放ち、その迫力のある歌声に観客はこの日一番と言っていいくらいの感動を込めた大きな拍手を送った。その後、インディーズ時代からの人気曲「PINKY RING」、メジャーデビューシングル「Do you remember?」と、恋の痛みや切なさを描いた初期の楽曲を続けた。YUKAは「若かりし頃の気持ちを思い出しながら歌ってました。今はサブスクで曲との出会い方も広がってると思いますけど、デビュー当時はどんな人が聞いてくれてるのかは、ライブじゃないと直接会うことができないので、本当に届いてるのかなって不安になった時期もありました。でも、こうして、目の前にお客さんがいてくださって、音楽を届けられることは本当に温かくて幸せな気持ちになります。出会えて本当に良かったなという思いで歌っていました」と感謝の気持ちを伝えた。そして、「 “moumoon”=“やわらかい月”という名前の通り、月の光のように、ちょっとあったかくなれるような、ちょっと心に光が灯るような言葉や歌、音でみなさんの心に寄り添っていけたらいいなと思います」と改めて、決意を表明。最後に、「等身大の今の自分の気持ちを言葉にできた曲です。みんなが、明日からも健やかであったかくて、優しい日々が続きますようにと願いながら歌います」と語り、ありのままの自分を信じて、“今、この瞬間”を精一杯生きようという姿勢を込めた「わたしに還ろう」で命の煌めきをを感じる歌声をホールいっぱいに響かせて、まさに観客を柔らかい光でぎゅっと包み込むようなムードでライブ本編を締めくくった。

アンコールの拍手に答えて再び姿を表したmoumoonは、日替わり曲として「うつくしい人」を自然体の笑顔でたおやかに歌い上げた。そして、「名残惜しいね」「じーんとしております」「楽しかったね」と口々に感想を述べたのち、YUKAが「2019年にMASAKIくんが最後に“中秋の名月”に出演した時の曲です。再会という思いを込めて、この曲で終わりにしたいと思います」と語り、「私たちは、光を選ぼう」で笑顔で手を振り合うように軽やかに歌い、MASAKIがステージ復帰を果たした記念すべきツアーの幕は下りた。

なお、moumoonは、10月19日(土) に毎年恒例となっている「moumoon FULLMOON LIVE SPECIAL 2024 〜中秋の名月〜」を東京国際フォーラム ホールCにて開催する。もちろん、MASAKIも出演予定で、アンコールのMCでは「念のために言っておきますけど、僕、最初からステージにいますからね。あ、いるんだって驚かないでくださいね」と念を押し、観客の笑いを誘う場面もあった。

SET LIST

01.ヒライス
02.EVERGREEN
03.リフレイン
04.Sunshine Girl
05.ブルーアワー
06.moonlight
07.Kiss me Baby
08.Myself
09.PINKY RING
10.Do you remember?
11.わたしに還ろう

ENCORE
12.うつくしい人
13.私たちは、光を選ぼう

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