伊藤 蘭 Special Premium Live ~Don’t Stop The Music!~
2024年5月29日(水)EXシアター六本木 (EX THEATER ROPPONGI)
昨年、デビュー50周年を迎えた伊藤 蘭の、51年目に向けての新たなステージとなる、『伊藤 蘭 Special Premium Live ~Don’t Stop The Music!~』が、5月29日、EXシアター六本木にて開催された。
昨年は伊藤がキャンディーズとしてレコード・デビューしてから50年の節目にあたる年とあって、全国6都市7会場で『伊藤 蘭 50th Anniversary Tour ~Started from Candies~』を開催。ことにデビュー日翌日に開催された9月2日の東京国際フォーラム ホールAでの公演は、「Celebration day!」と名付けられ、スペシャルなメニューでの特別なライブとなった。大晦日には実に46年ぶりとなる NHK『紅白歌合戦』に出場し、往時からの熱狂的なファン100人以上とともに白熱のステージを繰り広げたことも記憶に新しい。
そんなプレミアムな年を超え、ソロ・シンガー伊藤 蘭として新たなステージの幕開けとなったのが、この日だけのスペシャル・ライブ。当日は、前述の国際フォーラムの公演を収録したブルーレイの発売日でもあった。また、今回の公演のみ客席からの紙テープ投げが可能だと事前に告知されており、否が応でも期待は高まる。
オープニング、野田晶デザインによる、黒のベルトをあしらったオフホワイトの衣装で登場した伊藤は、冒頭からセカンド・アルバム『Beside you』収録のファンキーなナンバー「ICE ON FIRE」でスタート。2曲を歌い終えると、最初のMCに。
「皆さんこんばんは! お久しぶりでした」
この日、5月29日は5年前に伊藤がソロ活動をスタートさせる契機となったファースト・アルバム『My Bouquet』の発売日。ソロ・デビューにあたっては気恥ずかしかった思いもあったそうで、ここまで長く続けるとは思わなかった、と本音を披露。今も変わらぬ声援を送るファンに「私が不意に再登場して、皆さんをお忙しくさせてしまいました。でも楽しく今を生きましょうね。ラン活もよろしく!」と挨拶し、ソロ作品から3曲を披露。井上陽水作の「LALA TIME」をスツールに座って歌い、続けて「なみだは媚薬」を歌い終えると一旦袖に去り、演奏終了とともに、シャイニーなシルバーのワンピースに着替えて登場。
今回は冒険的なこともやってみたい、ということで、キャンディーズの名曲の中からリアレンジを施すという初の試みが行われた。
「その犠牲になった曲は、(吉田)拓郎さんの2曲です(笑)」
ということで、ロック・テイストにアレンジされた「アン・ドゥ・トロワ」と、ブギのリズムを取り入れた「やさしい悪魔」を歌い、ここからはバンド紹介に続いて恒例のキャンディーズ・ゾーン。
バックを支えるのは、佐藤 準(音楽監督・Keyboards)、土方隆行(Guitar)、笹井BJ克彦(Bass)、そうる透(Drums)、notch(Per)、竹野昌邦(Sax)、二宮孝裕(Trumpet)、渡部沙智子(Chorus)、高柳千野(Chorus)と、強靭なサウンドを生み出す凄腕メンバーたちが今回も集結。これに続き50周年コンサートのエピソードを語り、「春一番」をスタートにキャンディーズ・ナンバーが次々と放たれる。
お待ちかねの紙テープタイムは、12曲目「哀愁のシンフォニー」。この曲はキャンディーズ時代のステージで、サビの箇所で一斉に紙テープが投げられることでも有名な曲。キャンディーズの解散から数年後、日本のライブ会場で紙テープ投げは禁止となってしまったため、当時を知るファンにとっても、また伊藤自身にとっても久しぶりに見る光景だろう。イメージカラーである赤のテープが大量に乱舞する圧巻のステージとなった。
ここで20分の休憩を挟み、後半戦はネイビーブルーのエアリーなドレスに着替えた伊藤が再び登場し「愛と同じくらい孤独」からスタート。今回のライブでは、これまで後半に配されていたキャンディーズ・ナンバーが中盤に置かれ、前後をソロナンバーで固めたセットリストとなっている。すでに3枚のアルバムを発表してきた伊藤にとって、51年目からはソロ・シンガー伊藤 蘭の魅力を観客に伝えていきたい、そんな思いがあるのだろう。トータス松本と奥田民生の共作「春になったら」や、シティポップ風のサウンドが話題を呼び、アナログシングルも発売された「Shibuya Sta. Drivin' Night」を歌い終えた伊藤は、8月にリリースされる安部純作詞・作曲による新曲「風にのって〜Over the Moon」を一足早く初披露した。昨年発売された初のエッセイ『Over the Moon〜わたしの人生の小さな物語』と同じタイトルが冠されており、新たな気持ちでこれからの歌手活動を継続していこうという伊藤の思いが詰まったナンバーでもある。そしてラストは近年のライブには欠かせない「美しき日々」で幕を閉じた。
鳴り止まぬアンコールの声に応えて、伊藤はシアーなブラックトレンチコートにコンサートTシャツで再登場。アグレッシヴなロックナンバー「恋するリボルバー」を披露したのち、8月からスタートするコンサートツアーに向けての意気込み、そして改めて今日、この会場に集まってくれた多くのファンへ感謝の思いを述べ、最後のナンバー「明日はもっといい日」でプレミアムなステージを締め括った。
伊藤 蘭の2024年のコンサートツアー『伊藤 蘭 〜Over the Moon〜 コンサートツアー 2024-2025』は8月25日(日)の大阪フェスティバルホールから始まり全国9ヶ所を回る。ファイナルとなる東京公演は2025年1月25日(土)の東京ガーデンシアター(有明)で開催。ソロ5年目を迎え、さらにパワフルになった伊藤 蘭のステージが今から楽しみだ。