ソロデビュー10周年記念ライブ
「I LIVE YOU 2024 in 日比谷野外音楽堂」
2024年4月28日(日)日比谷野外大音楽堂
「行くぞ日比谷野音!レッツゴー!」
たっぷりと明るい陽射しの中で高らかにビートが鳴り響き、ファンキー加藤が第一声を放つ。脇を固めるのはもちろん田中隼人(DJ&Key)とバカムスコ翔(Chorus)だ。およそ3年ぶりのソロワンマンライブ、再出発のメッセージを込めた「リスタート」を1曲目に選び、「花」「吼えろ」と勢いに乗ってぶっ飛ばす。それに応えてジャンプ、手拍子、手振りと、観客の参加も曲の一部。というか絶対に欠かせない要素。3年前には聴けなかった歓声と歌声がとても新鮮に感じる。その声を全身に浴び、ステージから身を乗り出すようにしてファンキー加藤が歌っている。この時を待っていた。
「今日は全国各地から集まってくださいました、正真正銘のファンキー加藤ファン3000人。10周年ということで、たくさんの思いを込めて歌わせていただきます」
以前よりもMCが丁寧な気がするのは、たぶん久しぶりの緊張感だろう。拳を振り上げて「輝け」を、ゆったりレゲエのリズムに乗って「ブラザー」を口ずさみながら、そうそう、ファンキー加藤のライブってこうだったよなと、徐々に体が思い出していく。「ソロってこんなにしんどかったっけ? 2番も俺が歌うんだよな」とジョークを飛ばす、本日の主役とたぶん同じ気持ちだ。体力は2倍、気力も2倍、使ったぶんだけ心が動く、それがファンキー加藤のソロライブ。
モンキーダンスで両腕を伸ばし、華麗にくるっと一回転。「急性ラブコール中毒 Part.1」で体をほぐし、「カラフル」では盛大な手拍子を。アップテンポで飛ばした前半から中盤へ、「つながるから」のスローでメロディアスな曲調でちょっと深呼吸。孤独や寂しさを正直に歌う「つながるから」を聴きながら、あらためて思う、ファンキー加藤のソロ曲はとてもパーソナルだ。同じ励ましの歌や応援歌でも、言葉が心に届く場所が少し違う。
「暑かったけど、今ちょうどいい感じですね。僕も楽しむので、最後まで一緒に楽しみましょう」(バカムスコ翔)
「僕がステージに立つようになったのはファンキーさんのおかげ。10年経ってもみなさんとお会いできていることが嬉しいです」(田中隼人)
頼れる仲間を紹介し、気合を入れ直して次のセクションへ。キャノン砲が金色のカラーテープを空高く発射し、加藤と翔が肩を組んで歌う「終わらない未来」。40代のプライドと頑張りを、リアルな歌詞とお茶目なダンスで表現する「40」。いくつになっても変わらない希望の尊さを、全員参加のジャンプと手拍子と共に歌い上げる「希望のWooh」。どの曲にもファンキー加藤の年輪が深く刻まれている。いい曲ばかりだ。
「一人でやったるぜ!と、けっこうな自信を持って始めたんですが、早々に自信は打ち砕かれました。グループは偉大だったし、一人でいるのはどこまでも心細くて、自信が不安に変わって、暗闇の中でもがく日々もありました。でもみんなの声だけは、どこにいても聴こえていました」
10年間の紆余曲折を赤裸々に、しかし力強く語る姿を3000人が静かに見守る。「10年経って、こんな素晴らしい景色を見せてくれた一人一人に心から感謝申し上げます」。そんな言葉に温かい拍手が湧き上がる。ようやく暗くなったステージで、田中隼人の素晴らしいピアノが輝く「太陽」を、オレンジ色の美しい照明が照らす。ハーモニカを吹きながら熱く歌う「本当のこと」を、まばゆい白い光が包み込む。誰もが立ち尽くして歌に聴き入る。言いたいことはすべて歌の中にある。俺らが生きている今日は、本当のこと。
「俺たちが希望を添えたメロディを、おまえたちは信じてくれるか?」
ラストスパートの合図は、「MUSIC MAGIC」の胸高鳴るシンセのイントロから。EDMスタイルの強烈なキックと、3000人の手拍子が混ざりあうパーティータイムから、一転して「冷めた牛丼をほおばって」は、ハーモニカを豪快に吹き鳴らしてぶっ飛ばすバンドロック。どっちもファンキー、どっちも加藤。「CHANGE」は残った体力を振り絞るジャンプ大会。「10年間、どんな暗闇の中でも、いつもあなたの声が聴こえた。俺の声もみんなにとって、いつまでもそうありたいと思う」。――ラストソング「My VOICE」のサビを観客の大合唱に託し、3000人の一人一人の顔を見て思いを伝えるファンキー加藤。晩春の候、爽やかな風、眩しい光、希望の歌。この景色が見たかった。
「俺はこの曲をセットリストに入れてなかったんですけど、スタッフが絶対歌ったほうがいいと言うので歌います」
アンコール1曲目は、客席中央の特設ステージで360度を観客に囲まれながら歌う「Good Show」だ。手持ちスモークマシンを所かまわずぶっ放すファンキー加藤、肩掛けショルキーを弾きまくり盛り上げる隼人、飛び跳ねて煽る翔。そんな大騒ぎのあと、メインステージに戻って母に捧げる「優しい光」を歌う。あまりの落差に「セットリスト間違えた(笑)」とつぶやく、それもファンキー、これも加藤。今日は体調を崩して会場に来られなかったという「おふくろに届くように一生懸命歌います」と、その言葉通りにありったけの愛と感謝を込めて歌う声が、3000人の心へ、周囲の森へ、オフィス街のビルへ、ゆったりと沁みわたる。
7月に新曲を含むベスト盤、9月から全国ライブハウスツアー。10周年の嬉しいお知らせに大歓声が湧く。そしてラストを締めるのはやはりこの曲、「まわせ!」だ。3000人が振り回すタオルが風を起こす。舞台の袖にずらりと並んだスタッフもぶんぶん回す。心地よい空気の中で2時間半を駆け抜けた、誰もが笑顔の素晴らしいフィナーレ。
「また記念日ができました。2024年4月28日、この日のことを一生忘れません」
ファンキー加藤の10年間の軌跡をたどる『I LIVE YOU 2024』は、過去の締めくくりであり未来への第一歩。新たなリリースとツアーが続く盛りだくさんの10周年イヤー、お楽しみはこれからだ。
SET LIST
01.リスタート
02.花
03.吼えろ
04.輝け
05.ブラザー
06.急性ラブコール中毒 Part.1
07.カラフル
08.つながるから
09.終わらない未来
10.40
11.希望のWooh
12.太陽
13.本当のこと
14.MUSIC MAGIC
15.冷めた牛丼をほおばって
16.CHANGE
17.My VOICE
ENCORE
01.Good Show
02.優しい光
03.まわせ!