それぞれのメンバーカラーのジャケットとドット柄のシャツの最新衣装を身にまとったTHE SUPER FRUITは、1曲目に「Seven Fruits」を届ける。“フレッシュジュース”がテーマの楽曲ゆえ、振り付けには搾る仕草やターンが多く用いられ、円や球体を彷彿とさせるアクションは瑞々しいフルーツを擬態するよう。たちまちステージはフルーツバスケットのごとく、カラフルで優雅な空間に様変わりした。
曲が切り替わると松本勇輝がすかさず星野晴海へマイクを手渡し「学園天国」へ。THE SUPER FRUITは小田惟真と田倉暉久が全曲で、あとのメンバーはローテーションで楽曲ごとにボーカルを務めるという、ボーカリスト3人体制を取っている。ミックスジュースのごとく、異なる組み合わせの3つの声で楽曲の世界を作るのだ。
するとマイクを持たないメンバーは、声以外の表現に注力する。ダンス、歌詞に合わせた表情、リップシンクなど全身で楽曲を届けるスキルは、ライブの場で魅力的に輝いていた。足を止める間もなく舞台上を踊りまわる姿はかなりダイナミック。鈴木志音がマイクを持った「素敵なMy Life」も、ナチュラルな歌唱と軽やかながらに躍動的なパフォーマンスのコントラストが小気味よい。
「パノラマ」の後はダンスセクションへ。アダルティなインストに乗せてソロだけでなく3人、5人と様々な編成でパフォーマンスし、ロック調のインストではエアギターやエアドラムを取り入れたダンスで楽しませる。阿部隼大がマイクを取る「馬鹿ばっか(デジタルロックver.)」ではメンバーも果敢に観客を煽り、「Someday(JAZZ ver.)」ではムーディかつスマートに会場を陶酔させる。楽曲ごとに異なる表情を見せ、ジャンルにとらわれないアーティストであることをあらためて強く印象付けた。
MCでは各メンバーの春エピソードに花が咲く。松本勇輝と鈴木志音は中目黒に夜桜を観に行ったこと、星野晴海と堀内結流は大学の入学式にスーツを着たことを明かし、高校2年生になったばかりの最年少の小田が話に入れないことへ不満をあらわにするなど、お互いに茶々を入れながら和気あいあいとトークを繰り広げた。
最新シングル曲「サクラフレフレ」ではつぼみを咲かせるような生命力で会場を包み込み、堀内がマイクを取る「君はリアコ製造機」ではメンバー全員でマイクリレーをしながら愛の言葉を伝えていく。そのときめきをより加速させたのが、代表曲でありデビュー曲「チグハグ」だ。歌詞のメッセージを春風のようにソフトかつエネルギッシュに届けるボーカル、楽曲の多幸感を存分に体現するダンスで観客を高揚させた。
ラストの「ボクらの夜明け(バラードver.)」では、阿部、小田、田倉が繊細かつ情熱的な声を響かせ、最後のサビは7人全員の歌声で色づける。歌詞に綴られた強い願いが、より深く心に届くようだった。最後に小田が“もっともっといいステージに立てるように、もっともっと努力して皆さんの前に立てるようにがんばりたいと思っています”とメンバーを代表して挨拶。7人全員で深々と頭を下げ、感謝を告げながらステージを後にした。
すると突如ステージ両脇のプロジェクターに“重大発表”の文字が映し出される。その詳細はTHE SUPER FRUITが「THE SUPER FRUIT 1st ONEMAN TOUR - Seven Summer Tour2023 -」、世が世なら!!!が「世が世なら!!!初のワンマンツアー - 眩しいのは太陽?いや世が世でしょ!俺らと一緒にバカ騒ぎSUMMER -」と、それぞれのグループが東名阪ワンマンツアーを行うという内容だった。
発表のムービーが終わると同時に、13人全員がステージに登場。松本は「今までずっと世が世と一緒に切磋琢磨してきたからこそ、1組ずつになっても、うちらめっちゃ頑張るからね!」と抱負を語り、笠原は「スパフルが楽屋にいないのはさみしい」と、田倉へちょっかいが出せないことを残念がり会場を笑わせる。「各グループ分かれてのツアーですけど、これが今生の別れというわけではないので」という橋爪の言葉の後に、内藤が「夏、お互い頑張りましょう!」と意気込むと、残りのメンバーもツアーの成功を心に誓った。
結成以来歩みを共にしてきた2組が、とうとうワンマンという別々の道を踏み出す。とはいえTHE SUPER FRUITのツアー初日が2023年8月11日の豊洲PIT、世が世なら!!!のツアーファイナルが8月12日の渋谷duo MUSIC EXCHANGEと、2組で東京2daysを実現させるプランは小粋だ。ワンマンを経て両者にどんな気付きや刺激があるのだろうか。THE SUPER FRUITと世が世なら!!!、両者の新しい物語が始まった。
SET LIST
THE SUPER FRUIT
01. Seven Fruits
02. 学園天国
03. 素敵なMy Life
04. パノラマ
05. Dance Section
06. 馬鹿ばっか(デジタルロックver.)
07. Someday(JAZZver.)
08. サクラフレフレ
09. 君はリアコ製造機
10. チグハグ
11. ボクらの夜明け(バラードver.)