Version 3 夜公演 TAKUI SONGS ONLY LIVE
夜公演のセットリストは、『TAKUI SONGS ONLY LIVE』。これはアルバム『BIG SUNSHINE』とはまた別で、“TAKUI”名義で発表した楽曲のみでセットリストを組むというもの。この埼玉公演が、『TAKUI SONGS ONLY LIVE』の一発目のライヴでもあった。
オーディエンスの「卓偉コール」が巻き起こる中、卓偉とサポートメンバーの3人がステージに登場。昼公演のパンキッシュな空気を引き継ぐような激しさを帯びたアッパーチューンで、フロアを熱くぶち上げていく4人。「とにかく理屈なしに楽しめる曲をどんどんやっていこうと思ってるから」と、初期曲の乱れ打ちに、フロアは歓喜で湧き上がっていた。
機材トラブルはあったものの、昼公演の疲れを微塵も感じさせることなく、熱のこもった歌をフロアに届けていく卓偉と、大合唱を巻き起こし続けるオーディエンス達。なかでも一際大音量のシンガロングが鳴り響いていたのが、「HELLOW MY FRIENDS」だろう。一撃一撃がやたらと強烈なドラムが興奮を盛り立てていく中、卓偉もギターを手に取り、腕を振り回してかき鳴らすウインドミル奏法を交えながら、オーディエンスの大合唱をひたすら煽る。他にも、フロアがオーディエンスの掲げたピースサインに溢れた「BE HAPPY」など、ハイライトを次々に更新し続けていた。
21歳でデビューした卓偉にとって、この日披露した楽曲は、すべて彼が20代のときに作ったものだけということになる。おそらくフロアには、TAKUI時代をリアルタイムで体感していないオーディエンスもいただろう。しかし、それでもシンガロングが絶えず起こり続けていたのは、「24年ライヴをやっていて共通点があるなら、(オーディエンスも)“歌ってほしい”っていうこと」という卓偉のライヴの特性だけでなく、今でも卓偉がライヴで昔の曲を歌い続けていて、それが定番曲になっているからだ。この日のMCで「ずっと観てくれている人だったら“いつもの卓偉かな”ぐらいの感じかもしれない」と卓偉が話していたが、そういう点もあるかもしれない。むしろ、「TAKUI SONGS ONLY LIVE」と銘打ったことによって、昔の曲も変わらずに歌い続けているという事実がより際立ったと言えるだろう。また、初期曲と現在とのギャップや、初期曲らしい初々しさや気恥ずかしさみたいなものを覚えないのは、卓偉が「60歳を過ぎても歌える歌詞にしたいと思いながら曲を書き続けてきた」ところも大きい。曲を書いた当時のことを振り返りながら、自分の周りを認めさせるためにも、「長くやり続けて証明するしかないと、若いときから思っていながらずっとやってきた」と話していた卓偉。昼公演でも強く感じさせられた「貫き続けていく」という彼の精神は、ここにもあった。
「いろんなことがあったけど、続けてきてよかった、歌い続けてよかったなとつくづく思ってる。みんながこうやって求めてくれる感じも伝わっているし。次の曲も感謝を込めて歌い、送り、ひとつになり、大合唱に繋がったらいいなと思います」
そんなMCの後に披露されたのは、「Calling You」。両手を大きく広げ、情感たっぷりに歌を届けながら、笑顔でフロアのシンガロングを受け止める卓偉。「エバーグリーンっていう言葉が好き」というエピソードがこの日のMCにあったのが、まさにその言葉通り、決して色褪せることのない楽曲であり、これからも歌い続けていくことで、より深みと輝きを増していくのだろう。ちなみに「Calling You」は、ここから終盤戦に差し掛かろうとするタイミングで披露されたのだが、卓偉は歌い終えた後、「今日のライヴ終わりでいいだろ!?」とオフマイクで叫んでいた。そこで終えられてしまうと、ちょっと困ってしまうのだが(笑)、それぐらいとにかくドラマティックで、オーディエンスの心を強く揺さぶる一幕だった。
ツアー『VIVA LA BIG SUNSHINE TOUR』は、ここから後半戦に突入。4月に東名阪で開催される全7公演を残すのみとなった。デビューから24年の歳月を経てもなお、自分の生き様を音と言葉に乗せ、貫き続けている彼のステージを、多くの人に感じてもらいたい。