小林愛香 LIVE TOUR 2022 "syzygy"
2022年12月4日(日) 大手町三井ホール
ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursのメンバーのなかでも、歌って踊れてラップもできるというマルチな音楽的才能の持ち主として、いっきに人気を集め、現在も歌手・声優としての活動を続ける小林愛香。先日12月7日に1st EP「syzygy」(読み:シジジー)を発売したばかりの彼女が12月4日、東京・大手町三井ホールにて全国ツアー<小林愛香 LIVE TOUR 2022 "syzygy">を締めくくった。10月14日、大阪を皮切りに始まった本ツアーは全12公演、すべての会場でチケットはソールドアウトを記録。ここにきて、さらに人気が高まっている小林愛香のライブの模様を、本ツアーのなかから最終公演のレポートを通してお伝えしよう。
EP盤とツアーのタイトルにもなった“syzygy”とは<惑星直列>という意味で、小林愛香はこのワードにまっすぐに自分の歌が届きますようにというメッセージを込めた。宇宙の惑星を廻るように全国各地に自ら足を運び、目の前にいる観客たちに向かって歌を届けてきた本ツアーもいよいよ本日でファイナル。今回のツアーは新しい試みとして久々にバンドレススタイルで、ステージ上には最初から最後まで小林1人しかいないこと。さらには、各ブロックを歌い終えると客席は暗転。その間にツアータイトルに合わせて宇宙や空をテーマにした朗読を小林本人が“星空のお姉さん”となってナレーションを入れ、次のブロックのイメージを膨らませていくという物語性を重視したライブ構成にトライしたものになっているのが大きな特徴。
客電が落ち、落ち着いた低いトーンの声で惑星直列の解説をしたあと「空を彩るように楽しんでいって下さい」というナレーションに続いて、ステージには「syzygy」のジャケットを思わせる真っ白い衣装を着た小林が元気よく登場。動くたびにチュールを重ねたティアードワンピのボリューミーな袖と身頃のフリルをふわふわ揺らしながら、ライブはアニメ『宇宙なんちゃら こてつくん』のテーマ曲「MI-RA-I miracle circle」で勢いよく開幕。明るくシャインなオープナーに観客たちはブレードを真っ赤に照らしながら、クラップを鳴らし、サビは振りマネでフロアからも躍動感ある盛り上がりを作っていく。「今日初めて観にきた方も含め、みなさんはクラップをしたりダンサーズでもあります」といまの盛り上がりを讃えたあとは「みんないくよっ!」とフロアに声をかけ、「Lorem Ipsum」へ。ロック調のビートに合わせて、小林はバンドのいないステージを軽快なステップで縦横無尽に移動しまくり、指で作った“Lマーク”を観客たちにおくる。ブレードをぐるぐる回したり一斉ジャンプを繰り返すオーディエンスは、そんな彼女の太陽のようなエネルギッシュなパワーを浴びてボルテージをさらに上げていく。そこに「NO LIFE CODE」を投下。イントロから観客たちは拳を築き上げ激しい盛り上がりを見せる。曲中「みんないくよ!」という小林の合図で客電がパーンとつき、その瞬間みんなで場内が揺れるような大ジャンプを決めた光景はまさに小林、オーディエンス、スタッフの直列を感じた瞬間で胸にグッとくるものがあった。そうしてみんなのエネルギーが一つになったところで「ゆらゆらら」へ。ここでは、全員でゆらゆらダンスを踊る場面がかわいく、微笑ましくて印象的だった。
暗転した場内、「太陽が沈み、ビーナスベルトの空〜」というアナウンスが流れると、時間は昼と夜の狭間へと緩やかにトリップ。
オーディエンスが夕焼けの空を思わせるオレンジのライトを光らせる。そのなかで、小林はまずおしゃれなエレピから始まるネオソウルな「Sunset Bicycle」をこちらがドキッとするような大人っぽい表情で歌唱。ボサノバ調のジャジーな「Moonlight Balcony」はスカートの裾を色っぽくスイングさせ、ラテンを思わせるピアノから哀愁と情熱をたっぷり含んだマイナー調の「Secret Feeling」は、中低音をクールに響かせて歌い上げ、太陽が沈み、徐々に空が暗くなっていって夜の帳りが下りるまでの様を、歌で物語のように表現していったのだ。小林の歌い手として、表現者としての幅広い才能に、観客たちはいつの間にかステージに引き込まれていた。
「これ歌った後にMCするの、ドキドキするんだよね」と照れくさそうにいって、場内の空気を自ら和ませた小林。そうして次に始まったのはお便りコーナーだった。これは“みんなといっぱいコミュニケーションをとってハッピーをシェアしたい”という本人の希望から生まれたもので、ここでは来場者から寄せられたお便りをステージで次々と読み上げ、みんなでその人にエールを送っていった。「こういう喜びをもっともっと大きくしていきたい。そんな思いで新曲を作りました」といって、お便りを通してオーディエンスとの心の距離が縮まったあと、歌ったのは新曲「Holiday!」だった。新曲とは思えない盛り上がりで、さらにステージとフロアの距離が近づいたところに、小林がLEDサングラスをかけ「Crazy Easy Mode」へと突入。“生きてるだけで最高のエンタメ”のところでグラサンに手をかけ“So cute”でパーンとグラサンを外すパフォーマンスに、フロアは待ってましたとばかりに爆上がり状態! そこにパワーソング「AMBITIOUS GOAL」を続けて投下。サビ歌始まりのところから、フロアのテンションは否応なく大爆発。アタック強めのアグレッシブな歌声がさらに観客の心を掻き立て、ここでは場内一面にもの凄いクラップの嵐が広がり、会場は天井知らずのところまでどんどんブチ上がっていった。そこでもらったパワーをオーディエンス一人ひとりの心にしっかり届けるように、このあとロックバラード「マコトピリオド」を小林は力強く、エモーショナルに激唱してみせた。
場内は再び暗転。「月の光はいつだって教えてくれる。いつだって一人じゃないと…〜」というアナウンスが、月が昇った夜空の光景を呼び込む。そうして、ライブはバンジョーが鳴り響くカントリー調の「Night Camp」で再開。オーディエンスはキャンドルのかわりにオレンジのライトを灯し、“うぉーおおー”と一緒に歌えないところは手をあげ、キャンプファイアーのような雰囲気でみんなが一つになっていく。そうやってつながったからこそ、次に歌ったキラーチューン「Can you sing along?」は冒頭の“「一人きりじゃできないこと」〜景色でほら伝わるよね”がさらに心に深く響いていく。声のかわりにブレードでコール&レスポンスを交わし、お互いにエールをおくりあい、本編は心も身体も熱気が渦巻く中で終了。
手拍子のアンコールに呼ばれ、サンタクロース風のケープをつけたキュートな姿で再びステージに現れた小林は、ここでChristmasソング仕立ての新曲「HO! HO! HO!」を初アクト!
寒い季節、ファンがほっこりあったかい気持ちになれるような可愛らしい新曲を、一足早いクリスマスプレゼントとしてサプライズで届けて「みんなビックリした?」と満足そうな表情をのぞかせ、ニンマリする小林。「ちょっと待っててね」といってツアーTに早着替えしたあとはスタンドマイクをセンターに用意。そうして、片手にタンバリンを持ち「よーし。タンバリンを持ったってことは?」といって、始まったのはもちろん「たたたんばりんりずむ」。ウキウキした気分で、キュートさを場内いっぱいに振りまいてこの曲を楽しんだあとは、今回のツアーを振り返り「また一つ、私は成長できたなというツアーになりました」と報告。「コブシ上げろ〜」と叫んで「Please! Please! Please!」で観客の心に再び火をつけ、「これからは楽しいこと、もっともっとやっていきます」とファンに誓ったあとは「最後にもう1回、無重力タイムで一つになろう。手でピカピカかタワーになるか。どっちか好きなほうを選んでやって」といって、オープニングで歌った「MI-RA-I miracle circle」を再び熱唱。このとき「本日、スペシャルゲストがいます」といって、小林の呼び込みで『宇宙なんちゃら こてつくん』から“こてつくん”がステージに登場! こてつくん登場にもっとも大喜びし、幸せそうな笑顔でわちゃわちゃ戯れていたのは紛れもなく小林(笑)。この2人?で、息のあったパフォーマンスを届けると、オーディエンスは身振り手振りで無重力タイムをハイテンションで楽しみ、圧倒的なハッピー感のなかでライブはついにフィニッシュ。ライブが終わったあとの「おうちに着いたとき、眠れないときは月や夜空を見上げて、今日のことを思い出してくれたら嬉しいです」という終演後のアナウンスで、ライブの余韻まできっちりと心に刻み込んで、小林は終演の幕閉じとともに、本ツアーを終了した。
小林愛香の2023年のライブ活動としては、すでに本公演で配布されたフライヤーを通して、4月から開催する<小林愛香 LIVE TOUR 2023 "syzygy">の先行予約を開始した小林。Zeppツアーで、“syzygy”のさらなる最高のハッピーを彼女と一緒に作っていって欲しいと思う。
SET LIST
01. MI-RA-I miracle circle
02. Lorem Ipsum
03. NO LIFE CODE
04. ゆらゆらら
05. Sunset Bicycle
06. Moonlight Balcony
07. Secret Feeling
08. Holiday!
09. Crazy Easy Mode
10. AMBITIOUS GOAL
11. マコトピリオド
12. Night Camp
13. Can you sing along?
ENCORE
01. HO! HO! HO!
02. たたたんばりんりずむ
03. Please! Please! Please!
04. MI-RA-I miracle circle