SPARKS GO GO "Mastermind" TOUR
2021年4月4日(日)千葉LOOK
結成30周年にあたる2020年、5月21日にニュー・アルバム『Mastermind』を発表、しかし新型コロナウイルス禍で本格的なライブ活動はできなかったSPARKS GO GOが、1年ごしでいよいよスタートさせた、アルバムのリリース・ツアー、全12本の初日、千葉LOOK。
言うまでもなく、フロアにイスを出して入場者数を抑える、歓声NG、手の消毒と検温と千葉市コロナ追跡サービスのダウンロードがマスト、など、新型コロナウイルス感染予防のためのオペレーションを敷いた上での開催。
『Mastermind』の9曲目、つまり中盤から後半にさしかかるあたりに、インタールード的に収められているインストゥルメンタル曲「Triangle GOLD」をSEにして、開演予定時刻の18:00きっかりに、メンバー3人がステージに登場。
その曲を含めると、『Mastermind』収録の14曲から半分をセレクト、あとの半分はライブで絶対やってほしい歴代のキラー曲が並ぶセットリスト。本編14曲、アンコール2曲、Wアンコール1曲の全17曲。ゆるく楽しくMCする時間もけっこうあったのに、まるで測ったかのように、ぴったり2時間だった。
序盤、「Sun Flower」「爆音中毒」といった『Mastermind』からの曲へも、オーディエンス、熱いリアクション。声が出せない分、身振り手振りや曲終わりの大きな拍手で、3人に歓喜の気持ちを伝える。その熱を浴びた八熊慎一、最初のMCで「あれかね? なんか笛でも売ればいいのかね?」。「それも息が出るからよくないんじゃない? 飛沫が。じゃあカスタネット?」と言うたちばな哲也に、ヤック「ああ! ツアーの最後の頃はみんなすごくうまくなったりして」。フロアに声なしの笑顔が広がったが、私、「意外とありかも、それ」と、ちょっと想像しました。フロア中でカチカチ鳴るその光景を。
4月1日をもって名前が変わったという橘アツヤ(あつやから片仮名にチェンジ)の挨拶を経て、「配信じゃできない曲を」と、かつてカバー・アルバムを出した時あたりの、ロックンロールの某スタンダード曲から演奏再開。過去の大名曲たちと『Mastermind』収録曲が絶妙にミックスされていく中盤で、フロアの温度、さらに上がる。
で、八熊が「ご相談があります!」と、写真集を制作していることを発表したりもする。曰く、コロナ禍の1年の間に、過去のSGGの膨大な写真を全部見直してセレクトした、来年2月に出す予定、CDも付ける、とのこと。
で、今までSGGは八熊がデモでアレンジを作っていて、3人でセッションしてアレンジすることはなかった、今回それを初めてやってみた曲──という紹介から、『Mastermind』収録のたちばな哲也作詞作曲ボーカル曲「愛がたりない」を披露。そう言われてから聴くと、何か「なるほど!」と思えた。続いて、新旧のライブの鉄板曲を惜しげなく次々と連射するピークタイムで、本編が終わる。
アンコールでは、本編のMCでさんざんネタにされた(どうネタにされたかは書かずにおきます、2本目以降も使ってほしいので)マネージャー相馬氏が、ヤックにカンペを向けるも、「自分で告知すれば?」と言い放たれ、チケット完売&要望多数につき4月23日(金)川崎Serbian Nightのライブを配信することが決まった、と発表する。
そして、「うわ、待ってました!」と言いたくなる2曲が並んだアンコールと、「ああ、これがラストか、なるほど!」と言いたくなるWアンコール1曲で、すべてが終了した。
MCでまじめなことや熱いことは絶対に言わない、というのは、SGGに限ったことではない。このあたりの世代のバンド、たとえばユニコーンも斉藤和義も真心ブラザーズもフラワーカンパニーズとかも、みんなそうだ。
が、ヤック、この日は前半で、「こうやって演奏できることがありがたや、千葉LOOKがあたりまえにあることがありがたや」と言った。で、後半にも「あたりまえにこうやっていつものライブハウスがあることに感謝します、あたりまえにこうやってツアーができることに感謝します」と、改めて気持ちを伝えた。
長年にわたって修羅場をくぐり抜けて来た、でも常に飄々とした佇まいを崩さなかったSGGにとっても、やっぱり、大変な1年だったんだなあ、そりゃあそうか、そりゃそうよね……などと、改めて感じ入ってしまうほど、その言葉には実感がこもっていた。