2019年12月21日(土) 渋谷 TSUTAYA O-WEST
GUEST:the quiet room
セカンド・ミニ・アルバム『MORE』のリリース・ツアー『MORE TOUR 2019』、全7本のファイナルである12月21日渋谷TSUTAYA O-WEST。対バンゲストはthe quiet room。
2019 年1月に1st ミニ・アルバム『DAYS』をリリースして行った初の東名阪ツアー以降、the shes goneがツアーを行うのはこれで三度目。そのたびに会場のキャパを上げ、本数を増やしているが、毎回チケットはソールドアウト。今回もそうだったため、急遽ツアーの1本目に追加公演がプラスされた(11月5日、東京・新代田FEVER)。そして、2020年2月に、全国8本の追加ツアー『ONE MORE TOUR 2020』を行うことも、アナウンスされた。
というバンドの勢いは、まだまだ止まらないであろう、このままアリーナくらいのキャパまでつっ走って行っても何も不思議ではないであろう、と、つくづく思わせるステージだった。
ただし、ファンはご存知だと思うが、the shes goneのライブというのは、アガったり踊れたり熱狂したりして、ストレス発散できるような場ではない。いや、the shes goneのライブがそういうものではないという以前に、そもそもthe shes goneの音楽自体がそういうものではない。
曲の大半がラブソング。曲の大半が「自分対みんな」とか「自分対世界」ではなく、「自分対あなた」か「自分対自分」。うれしいとか悲しいとか好きだとか嫌いだとかいうような、自分の感情に酔うことを許してくれない。今自分の中に起きているその感情はいったいなんなのかを掘り下げていく。で、それを正確にリアルにトレースした、シンプルでクリーンだがどこか混沌としたギター・サウンドに乗せて、ナチュラルな抑揚の甘いメロディで、歌にしていく。
ライブになると、そんな歌が何曲も連なっていくことになる。だから、オーディエンスには、「みんなでひとつ」みたいな多幸感は訪れない。ひとりのままで、ひとりの気持ちで、音楽と向き合い続けることになる。というやりかたで、こんなふうに加速度的に動員を増やしていくのって、このキャリアのバンド(メンバーのひとりはまだ大学生だ)としては、相当に稀有なことなのではないかと思う。
お客さんの約8割が、10代後半~20代前半くらいの女の子なのに、転換中に「兼丸くーん!」とか声を上げる人、誰もいない。というか、「キャー!」とか「ワー!」とすらも言わない。かといってしらけているわけではない。フロアからステージに注がれている集中力、ちょっと異様なものがあるのが、この場にいるとわかる。
お客さんひとりひとりが、the shes goneの音楽と、一対一で向き合っている。友達と来ている人もそうだし、ひとりで来ている人もそうだ。フロアのあちこちに男の子の姿もある。カップルで来ている子もいるけど、ひとりで来たっぽい子も少なくない。というあたりも、何かとてもいい。the shes goneってお客さんに誤解されてないな、本当にちゃんと伝えたいことが伝わっているんだな、と思う。
『MORE』の全曲と、『DAYS』の「shower」以外の全曲、計12曲。1曲1曲を丁寧に、真摯に、オーディエンスひとりひとりに届けていくライブだった。
あと、兼丸のMCも、以前とは変わっていた。このツアーの1本目、11月5日の新代田FEVERの時は、歌う前に曲の内容を説明しようとする、ということが何度かあったのが、気になった。いや、それ、聴けばわかるから! なのに説明しようとするのって、お客さんの理解力を信用してないのか? と、感じてしまったのだった。
という問題点が、このツアー・ファイナルでは、120点でクリアされていた。ツアー各地で対峙してきたお客さんたちが、そういうふうに彼を変えたのではないかと思った。この人たちに曲を言葉で説明する必要はない、ちゃんと理解してくれる、ちゃんと届く、ということが、身体でわかったのではないか。
今回のツアー全箇所完売を受けて、2月15日新潟GOLDEN PIGS RED STAGEから、『ONE MORE 2020』が組まれている。全国8本で、東京は2月26日 Shibuya WWW X。
さらに、この日のこのアンコールで、次回の「シズゴの日」を4月25日、渋谷クラブクアトロで行うことが発表になった。
SET LIST
1. 嫌いになり方
2. 化物
3. 最低だなんて
4. ラブストーリー
5. サプライズ
6. 君のパレード
7. panorama
8. 想いあい
9. ふたりのうた
10. 緑とレンガ
11. シーズンワン
ENCORE
甘い記憶
PRESENT
「ONE MORE TOUR 2020」ポスターを3名様に!
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