LUNKHEAD ONEMAN TOUR 2019「plusequal」FINAL
2019年7月19日(金) LIQUIDROOM
結成20周年を迎える今もなお、不器用でも懸命に生き抜く意思を貫く最新傑作『plusequal』を引っ提げて、全国9公演を行う〈LUNKHEAD ONEMAN TOUR 2019 「plusequal」〉がファイナルの地・東京へ還って来た。事前に様々な情報が飛び交ったが、蓋を開ければ当日券も出ない完全ソールド・アウト。超満員の熱烈歓迎にバンドが燃えないはずはなく、1曲目「白い声」からペース配分無視のハイ・テンションで突っ走る。ベース合田悟は早くも持ち場を離れて走り回っている。気迫満点のスタート・ダッシュだ。
「一か月前はこんなことが起きるとは想像もしていなかった。一人一人のおかげです」
小高芳太朗のMCは、1か月前にはキャパの半分にも届かなかったチケットが一気にソールド・アウトしたことへの感謝の言葉。「ここからはみんなをめちゃめちゃ楽しませるだけです」と言い切って、「光のある方へ」から「きらりいろ」、阿波踊りの手振りを入れた「SHIBUYA FOOT」へと陽性の踊れるロック・チューンを立て続けに。ニュー・アルバムからの曲と、「体温」のように14年も前のシングル曲を並べても、良い意味で違和感がない。人生の節々で僕らを襲う、悲しみ怒りや諦めと断固戦い続けるメッセージを、20年間ずっとランクヘッドは歌い続けてきた。
珍しくヒップホップの香りがする「極光」、つばきの一色徳保に捧げたエモーションみなぎる「心音」、ヒリヒリした切なさが胸に迫るグルーヴ・チューン「いつかの」と、豊かなバラエティと精密なアレンジを持つ『plusequal』の収録曲を躍動感たっぷりに表現する、合田と桜井雄一のリズム隊はパーフェクト。ランクヘッドの夏と言えばこれでしょうの名バラード「夏の匂い」の、しみじみと哀愁溢れる演奏も素晴らしい。「プルケリマ」では山下壮の哀愁たっぷりのスライド奏法が、「小さな反逆」では小高に「人間機械ドラマー!」と紹介された桜井の正確無比なビートが、心を踊らせる。20年間で変わったことがあるとすれば、圧倒的な演奏力の向上を真っ先に挙げたい。
「ファイナルだけど、ここが新しい始まりの日。新しい話をします」
9月4日に最新にして最強ベスト『ALL TIME SUPER BEST』リリース。そして10月から来年3月にかけて、今回の倍以上となる20周年20本の記念ツアー。「次にコケたらヤバいところまで自分を追い込んでみました」と笑う、不安と希望と挑戦が交錯する言葉が実に小高らしい。見る前に跳べ。いつだってランクヘッドはそうやってきたし、そこだけはもはや変わりようがない。
「激しい後半戦、行ってみようか!」
怒涛のアップ・チューンを連発する後半、真っ赤な照明に照らされた「朱夏」でロケット・スタートを決め、日本人なら必ず血が騒ぐ祭りロック「スターマイン」では合田の腿上げ奏法、強力ダンスビートの「アウトマイヘッド」では全員揃ってのジャンプと、これはまるでライブという名のエクササイズ。ハンドマイクを握った小高が「かかってこい!」と叫び、歌というよりも言葉の速射砲が炸裂する「ぐるぐる」でフロアを挑発。そのままオーディンスの手を借りてフロア最前列に仁王立ち、「僕らは生きる」のコーラス大合唱で全員が一つになる。本編ラスト・チューン「はじまれ」では、振りかざす無数の拳に隠れ、小高が埋もれて見えなくなった。「ここが俺たちみんなの始まりやけんね」。ざっくばらんな伊予弁のメッセージが、鋭く熱く胸に刺さる。
「20年間に出会ってくれたみんなが俺らの財産です。すぐに間違えて、みんなを不安にさせちゃうけど、みんなが俺たちの誇りであること、俺らを奮い立たせ、歩かせてくれること。それだけは間違えたくないと思います」
小高のSNSをフォローしている人は、この1か月に何があったか把握しているだろうから、今さら触れない。小高はすぐに間違える。人を不安にさせる。でもいい曲を書く。いいライブをする。それ以上に信じられる答えはない。このまま4人だけになって、20年前に戻ったとしても、20年前とは違うことがある、それがみんなの存在です--。小高の言葉に嘘はない。アンコールは「共犯」と「前進/僕/戦場へ」、明るく踊れるビートがフロアを満たす。小高が笑ってる。マイクもないのに桜井がずっと歌ってる。ステージの上も下も、みんなランクヘッドが大好きなんだ。
「バンドは夢を見てしまうもの。もうちょっと夢を見たいので、お付き合いください」
今日のために会場に足を運んでくれた、全国のファンに感謝を込めて。合田のMCは前向きで力強かった。ダブル・アンコールの「カナリアボックス」の、幸福感溢れるダンサブルな音圧は、初めて聴いた10年以上前よりもふかふかで厚みがあるように感じた。迷わず来いよ、来ればわかるさ。20周年のベスト・ツアー、ファイナルは2020年3月12日、東京・TSUTAYA O-EAST。じたばたしながら、つまずきながら、それでもランクヘッドは前進する。その不器用だが誠実な生き様を、他人事だとはとても思えない。
2019年7月19日(金) LIQUIDROOM SET LIST
01. 白い声
02. シンフォニア
03. ヒナタ
04. 光のある方へ
05. きらりいろ
06. SHIBUYA FOOT
07. HEART BEATER
08. 体温
09. シンドローム
10. 極光
11. 心音
12. いつかの
13. 夏の匂い
14. プルケリマ
15. 小さな反逆
16. 朱夏
17. スターマイン
18. アウトマイヘッド
19. ぐるぐる
20. 僕らは生きる
21. はじまれ
EN1
01. 共犯
02. 前進/僕/戦場へ
EN2
01. カナリアボックス
※Spotify配信中の楽曲のみのため、一部セットリストと異なります
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