ユニコーン「100周年ツアー“百が如く” 」100分間で届けられた、笑いと驚きの日本武道館2Days

ライブレポート | 2019.07.14 18:00

はい、以上、オフィシャルレポでした。ではここから私の私感。この2日の武道館を観て、特に強く印象に残ったこと、ふたつについて書きます。

ひとつめ:100分ジャストで終わるのが「あり」「というかむしろ大あり」になっていた。

オフィシャルレポの冒頭にも書いたように、このツアー、「100周年だから100分ジャストで終わります」ということを、メンバーが公言した上で始まった。これ、実は、ユニコーンにとってけっこうなトライアルだったと思う。短いとラクでいいじゃん、と思われるだろうが、むしろ逆だと思う。時間に余裕があったほうが、やる方もラクだろう。特にこのツアーの場合、「強制終了」という枷を自らに課している、つまり曲全部やり終わってないのに終わらざるを得なくなってしまう可能性もあるわけだし。

奥田民生

手島いさむ

ABEDON

じゃあなんでそんなことをやったのか。やったことがないからだと思う。特にここ数年、ツアーが進めば進むほど(主にアンコールのABEDONコーナーによって)、尺がどんどん伸びていくのがユニコーンのライブ、という傾向があったので、その真逆のことをやってみたくなったのではないか。というか、やってみる価値がある、と踏んだのではないか。どうして。だってそういうバンドだから、もともと。「まだやってないこと」「挑んでないこと」を探して実行することが不可欠の人たちだから。

ただ、あたりまえだが、単に100分という制約を設ければそれですむ、というわけではない。それでお客さんが楽しんで満足して帰るショーにしなくてはいけない。という内容に、この日本武道館は、見事になっていた、ということだ。

僕はこのツアー、1本目の4月6日・三郷市文化会館も観たのだが(オフィシャルレポはこちらです )、その時は、お客さんのほとんどが100分だということをわかっていたにもかかわらず、終わった時、会場は「えっ、ほんとに終わるんだ?」「物足りなくない?」みたいな、ちょっと変な空気になった。が、僕が次に観た5月11日の神奈川県民ホールではそんな空気は皆無になり、そしてこの日本武道館2デイズでは、ただただ興奮と熱狂と歓喜が場を支配していた。

お客さんが慣れたから、というだけではないと思う。進行のしかた、見せ方、聴かせ方、ちょっとした立ちふるまいや態度や発言なども含めたあらゆる点で、100分じゃなきゃやれないこと、100分じゃなきゃ表せないことを、ユニコーンがオーディエンスに提示できるようになっていたからだと思う。

ふたつめ:60周年以上に、30周年以上に、10周年が大事。

60周年は川西幸一が生まれた1959年から、30周年はABEDONが加入して現体制になり、『服部』をリリースした1989年から、10周年は再始動した2009年から。

で、60周年に関しては、ライブの中において、特にそれ用の催しはなかった(川西さんが歌う曲はあったけど、べつにいつもあるし)。30周年に関しては、中盤で『服部』の曲のメドレーをやるコーナーが設けられていて、大いに盛り上がった。

川西幸一

EBI

で。10周年に関しては、アンコールで、その時のアルバム『シャンブル』の1曲目である「ひまわり」を演奏することで、アニバーサリー感を表すことにした、のだと思うのだが、これが何か、もう、すっごく感動的だったのだ。

ただ普通に歌って演奏しただけだったが、この曲をアンコールでやるということが、とても大きな意味を持っていたというか。

10年というのは、ユニコーンの結成から解散の年数を超えている。10年前までは、まさかユニコーンの5人がもう一度集まってユニコーンをやるなんて、そもそもこっちは思ってもいなかった。しかもそれが、一時的な復活や同窓会的なお祭りではなく、2年に1作以上のペースでアルバムを作り、ツアーをやる、つまりコンスタントな活動になっていくとは。そしてそれが、ここまで続いているとは。で、この先も続きそうであるとは──という。

そんなファンの、たぶんスタッフの、きっと本人たちの、感慨とか驚きとかうれしさとかのいろんな思いが、アンコールで「ひまわり」が歌われたあの時間に表れていた。そんなふうに感じたのだった。ABEDONが書いて奥田民生が歌うこの曲の、歌詞のひとことひとことがとても心に響いた。

なお、MCなどの感じによると、『UC100W』に関しては、本当に、これから作るようです。この100周年ツアー、日本武道館終了から9月まで(沖縄の1本を除き)スケジュールが空けてあって、しかもフェスとかも全然出ないというのはそういうことだったんですね、ここで録るんですね。と、納得しました。間に合いますように。

SET LIST

<7月3日(水) DAY1>

01. OH!MY RAD10
02. 働く男
03. あなたが太陽
04. 大航海2020
05. 365歩のマッチョ
06. 気まぐれトラスティーNo.1
07. うなぎ4のやきとり1
08. 自転車泥棒
09. でんでん
10. 服部メドレー
11. 青十紅
12. 55
13. すばやくなりたい
14. SAMURAI 5
15. ヒゲとボイン
16. ZERO
EN
01. ひまわり

<7月4日(木) DAY2>

01. OH!MY RAD10
02. 働く男
03. 風と太陽
04. 大航海2020
05. 365歩のマッチョ
06. 気まぐれトラスティーNo.1
07. 1172
08. 自転車泥棒
09. でんでん
10. 服部メドレー
11. 青十紅
12. 55
13. 頼みたいぜ
14. SAMURAI 5
15. ヒゲとボイン
16. ZERO
EN
01. ひまわり

≫7月4日(木)公演セットリストのダウンロードはこちら

公演情報

DISK GARAGE公演

ユニコーン100周年ツアー“百が如く”

2019年8月31日(土) 沖縄・宜野湾海浜公園屋外劇場
2019年10月5日(土) 東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
2019年10月12日(土) 広島・呉市文化ホール
2019年10月13日(日) 広島・呉市文化ホール
2019年10月19日(土) 兵庫・あましんアルカイックホール
2019年10月20日(日) 兵庫・あましんアルカイックホール
2019年10月26日(土) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2019年10月27日(日) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2019年11月2日(土) 鹿児島・鹿児島市民文化ホール 第一
2019年11月3日(日・祝) 熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール
2019年11月6日(水) 東京・オリンパスホール八王子
2019年11月9日(土) 群馬・ベイシア文化ホール 大ホール
2019年11月15日(金) 北海道・わくわくホリデーホール
2019年11月16日(土) 北海道・小樽市民会館
2019年11月22日(金) 香川・サンポートホール高松 大ホール
2019年11月23日(土・祝) 徳島・鳴門市文化会館
2019年11月29日(金) 山形・やまぎんホール
2019年11月30日(土) 山形・やまぎんホール
2019年12月4日(水) 東京・中野サンプラザホール
2019年12月5日(木) 東京・中野サンプラザホール
2019年12月7日(土) 石川・本多の森ホール
2019年12月8日(日) 富山・オーバード・ホール
2019年12月16日(月) 大阪・フェスティバルホール
2019年12月17日(火) 大阪・フェスティバルホール

※終了公演は割愛

◆チケット料金
全席指定¥8,500(税込)
※8/31(金)沖縄公演のみ 指定席¥8,500(税込)、芝生エリア立見・整理番号付¥7,900(税込)

◆チケット一般発売日
[2019年10月5日(土)東京公演~2019年10月27日(日)愛知公演] 8月31日(土)
[2019年11月2日(土)鹿児島公演~2019年11月30日(土)山形公演] 9月28日(土)
[2019年12月4日(水)東京公演~2019年12月17日(火)大阪公演] 10月26日(土)

RELEASE

でんでん + Live Tracks[100周年ツアー“百が如く”]

NEW SINGLE

でんでん + Live Tracks[100周年ツアー“百が如く”]

(Ki/oon Music)
2019年8月28日(水)Release!

※映画「引っ越し大名!」主題歌
≫ダウンロード&ストリーミングはこちら
「UC100W」

NEW ALBUM

「UC100W」

(Ki/oon Music)
2019年10月2日(水) Release!

※初回生産限定盤[CD+DVD]
※通常盤[CD]
※アナログ盤[LP] [アナログ盤のみ11/6(水)発売]
「UC100V」

NEW ALBUM

「UC100V」

(Ki/oon Music)
2019年3月27日(水) Release!

※初回生産限定盤(CD+DVD)
仕様:暗闇でヒカール!蓄光ボックス仕様
DVD:再始動後の勤労から10年間の働き方を追体験するスペシャル映像作品「働き方改楽 なぜ俺たちは楽しいんだろう」
  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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