結成9周年を迎えた全力エンターテイメントガールズバンド、Gacharic Spin。音楽面でも演出面でも数々の個性的な表現を追求している彼女たちが、初のカバーアルバム『Go Luck!』を11月にリリースし、それを引っ提げて『TOUR 2018「Go Luck!」』を開催。そのファイナルを12月23日、TBS赤坂ACTシアターにて飾った。
TBS赤坂ACTシアターは普段演劇公演が多い会場で、客席も鮮やかな赤で彩られたシートが壮観だ。それと合わせるようにステージも紅白をあしらった縁起の良いカラーリング。高台になったステージの下手に巨大な象、上手にピエロのオブジェが配備され、サーカス小屋のような空間が作り出されていた。
バンドは1曲目「NEXT STAGE」から全力のパフォーマンスを繰り広げる。年内をもってグループを卒業するパフォーマー1号・まいは、サポートダンサー・ガチャダンJr.のメンバーとともに、楽器メンバーが作り出すサウンドの空気感を全身で表現。まいがラップを披露するアグレッシブなロックナンバー「Redline」では、ラストにまいが巨大けん玉を見事成功させ、客席からも大きな歓声が沸いた。
観客とメンバーがLEDを仕込んだ手袋を装着してパフォーマンスをする「JUICY BEATS」では、楽器隊も隙を見て手袋の光を活かしたダンスアクションを見せる。F チョッパー KOGAがあの大きな手袋をして巧みにベースソロを披露するシーンを観て、彼女たちが独自のエンタテインメントショーを成し遂げるための努力を惜しまないことを痛感した。TOMO-ZO(Gt)のギターソロで幕を開けた「TAMASHII」は、はな(Vo&Dr)とオレオレオナ(Vo&Key)のエモーショナルな歌声が抜群のシンクロ感を叩き出す。シリアスな音像の中でしなやかに舞うまいの姿も美しい。TOMO-ZOとまいがステージセンターでパフォーマンスする「溶けないCANDY」は一転、キュートな空気感で包み込むという振れ幅で魅了した。
寸劇を挟んだりと観客を笑わせることにも余念がないが、演奏面でもできる限り生楽器を使うところもバンドのポリシーだろう。「My bird」ではオレオがアコーディオンを奏で、SEKAI NO OWARIのカバー曲「RPG」ではステージ前方に出るオレオの代わりにガチャダンJr.のメンバーがキーボードを担当するだけでなく、マーチングの太鼓を叩くガチャダンJr.のメンバーも。50TAのカバー曲「涙」の冒頭では、はなが今回のレコーディングで初挑戦したオカリナを披露する。エンタメとロック、どちらかに振り切るほうがメンバーに負担はかからないだろう。だが、どの楽曲でも“エンターテインメントガールズバンドであること”を貫くのが彼女たちの美学なのだ。
メンバーが丁寧にバンドの1年間の活動を振り返ったあとは、まいとオレオの新旧ダンスバトルが拝める「ジェネレーションギャップ」、オレオのスキャットも圧巻の「ガンバンバダンサー」、TOMO-ZOメインヴォーカル曲「ファイナルなファンタジー」などを畳みかけ、「アルブスの少女」の前にはTOMO-ZOとはながそれぞれソロパフォーマンスを行なった。TOMO-ZOのMCタイムで和気藹々とした空間を作り出すと終盤戦。DECO*27 feat.初音ミクのカバー曲「ゴーストルール」はメンバーの持ち味が曲中で次々に発揮され、聴き応えも抜群。本編ラストの「ダンガンビート」と「WINNER」は全身を振り絞って客席を煽り、ダンスに没頭するまいの迫真のパフォーマンスが非常に印象に残った。その姿はアスリートさながら。最後にまいとガチャダンJr.がKOGAとTOMO-ZOの持ったゴールテープに倒れ込むシーンも感動的だった。
アンコールではまず、口下手なまいが心情をしたためた手紙を読み上げる。彼女は読み始めから涙ぐみ、だがひと言ひと言しっかりと6年間を振り返りながら、“青春時代をGacharic Spinで過ごせて本当に良かった”“私がいた6年間が、これからのGacharic Spinの何かに役立てば嬉しいです”など、想いと感謝を語った。メンバーのひとりひとりにもユーモア混じりにメッセージを宛てたあとは、観客に向けて“成長した姿を見てもらえるように頑張るので、これからもまいとこれからのGacharic Spinの応援をよろしくお願いします”“これからの人生にGo Luck! みなさん本当にありがとうございました”と頭を下げた。
メンバーがまいへの想いを込めて「またね」を大事に歌い演奏すると、KOGAが“しんみり終わるのはGacharic Spinらしくないでしょう?最後は笑顔で!まいに大きな手拍子聞かせてよ!”と満面の笑みで呼びかけ、米米CLUBのカバー曲「Shake Hip!」と、コールと両手で“G”と“S”の文字を作る「GS Gacha2012」でツアーファイナルを締め括った。
リーダーのKOGAは最後にまいへ感謝を伝え、“まいと最後にツアーを回れて、作品を出せて本当に嬉しい”」と喜びを語ると、新体制を整えるために3カ月ほどライヴ休止期間を作ることを告げ、“新しいバンドを作るくらいの覚悟で進んでいく”と堂々と語った。強い眼差しで“10周年を迎えるんじゃなくて、10周年に挑んでいく”と語る彼女も、その言葉を噛み締めるメンバーも、心はひとつに見えた。新体制、10周年のGacharic Spinは一体どんな姿を見せてくれるのだろうか?期待して待ちたい。
SET LIST
01. NEXT STAGE
02. KAKUHEN
03. Redline
04. JUICY BEATS
05. TAMASHII
06. 溶けないCANDY
07. My bird
08. RPG
09. 涙
10. ジェネレーションギャップ
11. ガンバンバダンサー
12. ファイナルなファンタジー
13. アルブスの少女
14. 運命さえも変える言葉
15. 赤裸ライアー
16. YELLOW YELLOW HAPPY
17. ゴーストルール
18. 爆弾娘(ボンバーガール)
19. シャキシャキして!!
20. ダンガンビート
21. WINNER
ENCORE
1. またね
2. Shake Hip!~GS Gacha2012