ラフィンにしかできないことをきっちりやりきることが僕のいちばんの喜び(Charmy)
──いま、ライブにはどんな気持ちで臨んでいますか。
Charmy(Vo)再結成して、またやり始めてずいぶん経つんですが、そのなかでよりいっそうプロ意識が強くなってきたような気がします。プロ意識とは言っても、やっぱりパンクなので(笑)、それは姿勢の問題ではあるんですけど。ラフィンを結成した当初は遊びでやってたと思います。でもいまは、ただやるというのはでなくて、自分たちができることがなんとなくわかってきたので。30年やってるとね。それがラフィンにしかできないことだということも、なんとなくわかってきたので。それを共有できる場所がライブなんですよね。で、ラフィンにしかできないことをきっちりやりきることが僕のいちばんの喜びでもあるし、またいちばん輝けることだと思ってるし。来てくれるお客さんも輝けることだと思う。
──「遊びでやってましたね」と言われた頃、客観的な状況としてはどんどんお客さんが増え、会場も大きくなって、ということだったわけですが、そういうことはほとんど気にしてなかったんでしょうか。
Charmyそうですね。渋谷公会堂でも何度かやりましたが、好きにやってただけです(笑)。むしろ、小さなライブハウスでやってるいまのほうが、ずっとプロ意識はあると思います。
──ただ、ラフィンノーズは当初からたくさんライブをやってきたバンドですが、いわゆる遊びの意識だけだとラフィンがやってた数くらいライブをやれば飽きてくると思うんです。でも、飽きる気配がなかったですよね。
Charmyライブというのは面白いもので、特にツアーは面白いんですけど、10本、20本とやっていくなかでだんだん形になっていくのがわかるんですよ。メニューもやっていくなかで、だんだんシェイプアップされていくし、マインドの部分も同じで、どんどん仕上がっていく感覚があるんです。だから、同じ曲順でもツアーの最初と最後では全然違うんです。「オマエ、プロなんだったら、最初からやれよ!」と言われそうだけど(笑)、そこはパンクなんで、お許しください(笑)。
──ツアーを進めていくなかで、毎回ライブが終わった後に、曲順やステージングに関して反省会というか、意見を言い合う時間を持ったりするんですか。
Charmyめっちゃ言いますよ。
PON(Ba)毎回録音して、それを帰りのクルマで聴きながら…。
CharmyiPhoneを卓のところに置いて、毎回録音してもらうんです。もちろん、音はあまり良くないんだけど、移動のクルマの中でみんなで聴いて、「ここは、もうちょっとテンポを上げたほうがいいね」とか「ここは、ひと言MC欲しいよね」とか話すんです。昔は、そんなこと一切やらなかったですけど。
昔はやれることをガツンとやるだけで、それさえできたらええと思ってました(PON)
──昔は、例えば「やったことを聴き直したりするのはロックじゃない!」みたいな意識だったんでしょうか。
Charmyどうなんでしょうね…。
PON昔はスタッフに“おんぶに抱っこ”みたいな感じもあって、「オレらがやらんでも、オマエらが考えろや」みたいな(笑)、そういう気持ちはあったかもしれないですね。当時は、バケツの水をバシャッとぶちまけるみたいに、やれることをガツンとやるだけで、それさえできたらええと思ってましたから。
Charmyいまは、ちょっと大人になったのかもしれない(笑)。
PONいまは、オレらがメンバー兼スタッフで、スタッフとして別に考えてくれる人がいないから、自分らでやるんでしょうね。
Charmyクルマの中はメンバー4人だけなんですけど、そこでギターのLinaを中心にいろいろ話すんですけど、それをやってると確実にライブが良くなっていくんです。それが、自分も楽しいんですよ。
──いまのお話はすごくよくわかるんですが、一方で「ロックには昨日も明日もない!今日だけだ!いまがすべてだ!」という感覚もあるように思います。そのあたりはいかがですか。
Charmyその感覚はすごくありますよ。いまでも、毎回そう思っています。30分でも、2時間でも、1本は1本で、それがすべてっていう。だから、その1本で100%が出せなかったら、本当にフラストレーションがたまります。毎回、その1本に全力投球です。何かの考えが入り込む隙間はそこにはないです。明日のことを考えて今日のライブをやることはないですよ。それで、なんとかやれてるから(笑)。
──その上で、その1本が終わった後に「ここはこうしたほうがいいね」と言い合うと、次がより楽しくなる、と?
Charmyそうです。その積み重ねですね。
──積み重ねということで言えば、最初にラフィンノーズを結成したときには、50歳を過ぎても続けているなんて考えてもいなかったと思うんです。
Charmyまったく考えてなかったですね。
──それが、こうしていまも続けているということは、どこかのタイミングで長くやっていくことに意味があると思ったんだろうと想像するんですが、いかがですか。
Charmyそれは、まさに今がそうで、これは運命なんだな、と。さすがに僕も57ですからね。今もこんなにバキバキにやれてるんだったら、これは死ぬまでやらなしゃあないな、と。今はどっちつかずじゃないです。今はバキバキにラフィンをやってるから。他に何をやるの?と聞かれても、まったく考えられないですよ。
──“これは運命なんだな”と思い定めるのは、そういうことをだんだん感じてきたんですか。それとも、ある日何かきっかけで感じたことですか。
Charmyそのどちらでもないでいすね。単純に、今日現在、今やっているということですよ。しかも、炎は燃えっ放しっていう。むしろ、まだまだ火は大きくなってる。僕もそうしたいと思ってるし。この間、あるフェスに呼ばれて、そこでラフィンのことをまったく知らない若い人たちの前でやったんですけど、「初めて見たけど、びびった」という声をたくさん聞いたんで、“やっぱりまだまだ行けるな、もっといろんな人にラフィンを見せたいな”と思いました。