カバーしてもらうことで、宝物の歌を継承していきたい。私の歌を横山健くんがやるなんて想像つかないでしょ?
──9月5日にはトリビュート・アルバム「アッコがおまかせ」がリリースされます。このアルバムを制作したきっかけ、参加者とのやりとりなどで特に思い出に残っている出来事は?
基本的には、私のスタッフが主導で企画してくれました。スタッフから「50周年記念で、アッコさんのトリビュート・アルバムを作ろうと思います」と言われたときは、本当に嬉しかったですね。私はこれまで「名曲は継承していきたい!」という想いで、たくさんのアーティストの曲をカバーしてきました。私の歌もいろいろな作詞家、作曲家さんたちに精魂込めて作って頂いた宝物の歌ばかり。そんな宝物の歌を素晴らしいアーティストの方々にカバーしてもらうことで、また新しい歌として生まれ変わる思うと本当に嬉しいです。そして、今まで私の歌を知らなかった世代にも届いてくれたらとも思っています。どの曲も素晴らしいカバーで、私も刺激を受けました。このアルバムは私の宝物になりますね。そういえば先日、ラジオ番組で横山健(Ken Yokoyama)くんと一緒だったんですけど、彼も私の「抱擁」をカバーしてくれていて。「レコーディング期間のうち大半をこの曲に費やしましたよ」なんて言ってました。私の歌のカバーをヨコケンがやるなんて想像つかないでしょ?実はヨコケンとは、もう20年くらいの付き合いで仲がいいんです。最近もWANIMAの3人連れて飲みに行きましたしね。
──本当に幅広い交流があるんですね!和田さんの楽曲が幅広い年齢層のアーティスト、リスナーに支持されるのはどうしてだと思われますか?
50年間歌い続けてきたこと、そしてジャンルを問わず挑戦してきたこと。この二つに尽きるのかなと思いますね。支持されているかどうかは自分ではわからないですけど、私自身は「常に旬でありたい」と思っています。だから、いつも新しいことに挑戦したいんですよね。
──他のアーティストのコンサートから刺激を受けることもありますか?
はい。最近で言うと、ラスベガスで「マルーン5」とエルトン・ジョンのライブを見ました。日本ではBlue Noteに行くことが多いですね。良質な音楽を聴いて美味しいお酒を飲んでると、幸せな気分になります。
──和田さんはリズム・アンド・ブルース、ソウルミュージックを日本の歌謡曲に根付かせた方だと思います。和田さん自身が影響を受けたアーティストと、その影響をどうやってご自分の歌唱スタイルに取り入れたかを教えてもらえますか?
やはりレイちゃん(レイ・チャールズ)には多大なる影響を受けています。彼の曲と出会っていなければ今の私はいないし、歌手にもなっていなかった。最初に聴いた時に、全身で彼のソウルみたいなものを感じたんでしょうね。そこからブラックミュージックにはまって、聴きまくりましたね。
──50年に渡ってエンターテインメントの世界で活躍する和田さん。そのパワーの源はどこにあるのでしょうか?
50年間歌ってきて今が一番、勉強することに対する意欲が強いんです。この歳になって何かを学んだり教わったりって、どうしても減ってきちゃうでしょ。その意欲がひょっとしたらパワーに繋がっているのかもしれないですね。あとは、よく食べることですね!(笑)
──和田さんの活動は多岐に渡りますが、“歌うこと”において譲れないものとは何でしょうか?
“一曲入魂”がポリシーです。レコーディングもそう。何時間もかけてやるよりも、一曲入魂の精神でやっています。だから事前準備は怠らないし、いつも全力で手を抜いたことはありません。歌は上手に歌うことも大事ですが、それ以上に気持ちを伝えることが大事。強いて言えば、それが信念になるのかもしれないですね。