2015年12月に2ndフルアルバム「ペトリが呼んでる」をリリースしたGOOD ON THE REEL。豊かな物語性と色彩を増したバンドサウンドがひとつになった本作は、このバンドの新たな進化を明確に告げている。2月からスタートする過去最大規模の全国ツアーでも、さらに広がった音楽世界を生き生きと表現してくれるはずだ。
──最新アルバム「ペトリが呼んでる」はどんなテーマで制作に臨んだんですか?
千野隆尋(Vo.) いま出せる、いろんな種類のGOOD ON THE REELというか。1曲1曲が短編小説みたいに感じられるようなアルバムにしたかったんですよね。
宇佐美友啓(Ba.) 収録する曲が決まって、バンドでアレンジして、レコーディングして。その過程がぜんぶ楽しかったんですよ。どんどんすごくなる!というワクワク感があって。
伊丸岡亮太(Gt.) いまやりたいことが出来たという手応えはありますね。1曲1曲が濃いし、“次はもっと楽しいことができそうだな”という感じもあって。
高橋誠(Dr.) ライブでもいい演奏ができる!という自信がありますね。根拠はないんですけど(笑)。
岡崎広平(Gt.) 『rainbeat』みたいなライブで一緒に歌えるような曲も、いままではなかったんですよ。1曲1曲違う雰囲気なんだけど、上手く“らしさ”も出せていて。少し成長できたのかな、と。
──盛り上がりそうな曲も増えてますよね。
千野 それもやってみたい表現のひとつだったんですよね。盛り上げるよりも、いい曲を作りたいという気持ちは変わらないので。身体が動いても動かなくてもいいから、心の部分で楽しんでもらえたらなって。
──「ペトリが呼んでる」というタイトルの由来は?
千野 『ペトリコール』という曲が入っていて、それは雨が降ったときのアスファルトの独特の匂いのことなんです。あの匂いには懐かしさや切なさ、小さいときの自分の姿も重なっていて。子供のころの好奇心を全部なくすことはできないし、それを持っているからこそ、カッコいい大人になれると思うんですよ。まわりの誰かに背中を押されるのではなく、幼いときのことを思い出すことで“まだやれる”って思えるもともあるんじゃないかなって。
──アルバムを引っ提げた全国ツアーも楽しみです。
岡崎 いまの“ペトリコール”の話じゃないけど、大人な表現をしたくないなって個人的には思ってます。前回のツアーぐらいから“自分たちが楽しめていれば、それはお客さんにもダイレクトに伝わる”と思うようになったので。
千野 曲と曲のつなぎ方もそうだし、演出の面でも新しいチャレンジして、一味違う僕らを見てもらいたいですね。せっかくフルアルバムをリリースしたんだし、曲を演奏するだけではなくて、全体的な世界観を表現したいので。
宇佐美 長いことバンドをやってきて、改めて“お客さんあって(のバンド)”だなと実感することが増えてるんです。よく“いつも元気をもらってます”って言われるんですけど、それは僕らも同じ。今回のツアーでもフェアな関係が作れたらいいなと思います。
インタビュー/森 朋之