──(笑)イベントの話に戻しましょう。ギタージャンボリーについてはどんな印象がありますか。お客さんに360度囲まれた状態で、ギター1本で歌うっていう。
永積弾き語りって、ああいう360度のステージって絶対合うと思う。弾き語りは少ない武器で戦いを挑むステージだから、お客さんとの距離感がものすごい重要だなって思ってるんですよ。どういう歌を歌うかっていうのは客席との距離感で変わるから、ああやって360度でお客さんが近かったり、お客さんの反応に包まれると、やれることや歌えることがすごく増えるなって思いますね。自分が聴いてもらう上では、ああいう関係性を作りたい。僕の中では、あんまり自分の歌が中心にならないっていうことが大きくて。僕がこうやって生きてくんだ!みたいなことを説いてまわるみたいな関係性って、なんか不自由なんですよ。そうじゃないよなって思ってて。
森山弾き語りって、対象がひとりだから、どうしてもそういうふうになりがちなんだよね。生き様!みたいな。
永積本来はそうじゃなくてもいいと思う。360度ってお祭りと一緒じゃん、盆踊りと。あれって聴き手の人も同じ反応をしてるお客さんを正面に見る状態だから、トランスしてくるっていうか、ワイワイワクワクしてくると思う。ステージと客席だけだと個人面談みたいになっちゃう感じがするんですよね、1対1の状態に。そうじゃない環境でやるとすごくたくさんの物語になるよなって。だから僕はああいうステージは好きですね。
森山いいこと聞きました。僕は本当に背後にまわられるっていうのが苦手で(笑)。すごく稀有な環境なので、いつも新鮮だし、ドキドキした気持ちにさせられてて。自意識の問題なんだけど、最初はやっぱ苦手でしたね。気にしいで気ぃ遣いだから、大丈夫かな、みたいな。失礼っていうか、なんかこう、後ろを向いてピース!とかしたくなるっていうか。そこが気になっちゃって、最初はすごくやりにくかったの。だけど、それって自分が見えてる世界だけの話で。タカシくんが言ったように、音楽はそこじゃない部分を感じ合う空間だから、今回は今までとは違う感覚になれる気がする。俺が何か小さいことにこだわり続けながらやってたら、たぶん一向に世界は広がってかないと思うからね。ただ、ちょっと対策は練ろうかなと思ってます。
永積対策?後ろにも顔を描くみたいな?
森山ちょっとそれは素っ頓狂だな(笑)。
──(笑)今回はどんなステージを考えてますか?永積さんはブログでお気に入りのエレキ持っていこうかなっておっしゃってましたよね?
永積またギターの話で恐縮なんだけど(笑)、エレキ必要かなーって。
森山すげーニヤニヤしてるよぉ~(笑)。俺はまだ全然考えてないです(笑)。ただ、ステージがまわるって聞いたので、ふんだんに使っていこうかなって思います。音楽的にいい感じだからまわさないでっていう曲なのに、でもまわるっていうコントをやろうかな。なんでまわっちゃうんだ!っていう、そういうしつこいコントをやりたい(笑)。
──あははははは。「さくら」の歌い出しでステージが回り始めて歌えないとか(笑)。
永積それ、すごいね(笑)。
森山ま、いいひとときにしたいですね。本当にハッピーな。
永積ステージに上がらないとかもできそうだね。マス席にいるみたいな(笑)。
森山お弁当食べながら歌うみたいなね(笑)
──お互いにリクエストはありますか?
永積高級なギターをはべらしてほしいな。妙におぼっちゃん感を誇張したり(笑)。
森山ああ、半ズボン穿いて?
永積そうそうそう!赤絨毯がバーッと敷かれて。
森山おぼっちゃまくんな感じね。でも、弾き語りって人柄一発だからね。テンパっててもそれはそれ、その人のっていうことだから。
永積それが弾き語りの面白さだもんね。
森山たぶんタカシくんとか本当にいきなり(会場を)リビングみたいにするから。いきなり茶飲んで、みたいな感じにできるから。
永積いや、それしかできないんだけどね。
森山それが面白いよ。俺どこにいるんだろう?って。グローブ座で観た時も、俺もう、家みたいになってたもん。本当に勝手に歩きたくなるんだよね。それってすごくないですか?だって、お客さんが弛緩してくれてたほうがこっちは得なんだもん。緊張させないっていう。だけど、ただリラックスしてるんじゃなくて、心地よさっていうものがちゃんと音楽の中にある。出順がまだわからないけど、もしタカシくんのバイブスをもらって俺が出られるなら、タカシくんの空気感をそのままに自分の中で昇華していくようないいバトンを受けられたらと思いますね。
永積たしかにそういう連鎖があったらいいよね。前回のイベントの時も袖でずっとトータスさんやベンジーさんを聴いたりしてて。やっぱりオーディエンスがその日の連続性を一番垣間見れるというか。バンドライブ以上に弾き語りの方が物語になりやすいというかさ。歌詞もちゃんと聴こえるし。緊張感も伝わると思うから。そういう連続性、たとえ横のつながりがなかったとしても、何かその日の物語が聞こえてくるのは弾き語りの良さっていうか。初めて聞く歌でも、言葉が飛び込んでくるのが弾き語りだと思うから。マジックが絶対に起きると思うけどね。
──ちなみに二人で一緒のステージで歌ったことは?
森山忘年会をやってたカフェで二人で歌ったくらい。
永積『家族の風景』を歌ってくれてね。俺は伴奏して。それ以外はないかな。
森山ステージで一緒にはないか。
──それはいわばプライベートですよね。せっかくご近所づきあいも始まったことですし……。
森山実はやってみたいなって思う。
永積じゃあ、やろうよ。
森山でも、自分から言い出すのもどうかなって思ってて。真っ先に思ったよ。タカシくんと歌いたいなって。こんなん、超気持ちいいじゃんと思って。
永積やろうよ。家も近いから練習もしやすいし。
森山もちろんですよ!まだ、どうなるかはわからないけど、やれたら面白そうだよね。
──弾き語り界のツートップの初共演を期待してます!最後に意気込みをお願いします。
永積意気込みを持たないようにしてる感じなんですよね。その日の歌を歌いたいと思います。
森山そうだよね。もう、歌わせてもらうだけでありがとうございますって感じですね。
永積どうしたの?謙虚だね。
森山今年の目標は、謙虚、親切、差し入れなの。今日はちょっと差し入れを忘れちゃいましたけど……。
永積忘れたんだ!!あははははは。早くもできてないじゃん。
森山(笑)意気込みは、ちゃんとやります。タカシくんもいるので、楽屋でベラベラ喋りすぎて、本番で喉をいわしてるっていうことだけは注意したいです。冗談じゃなく、それだけは気をつけたいなって思いますね。
PRESENT
ハナレグミ × 森山直太朗 直筆サイン色紙を1名様に!
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