インタビュー/永堀アツオ
撮影/近藤宏一
──お久しぶりです!
そんなにお会いしてなかったですか?あんまり久しぶりな感じがしないんですけど(笑)
──インタビューは7枚目のシングル「Gimme Gimme Luv」以来1年ぶりになりますよ。でも、今年1月に赤坂BLITZで開催されたデビュー10周年記念イベントでご挨拶だけはしましたけど。
そうだ!ともーみがゲスト出演してくれた時に会ってる。だから、久しぶりな気がしないんですね。
──それでも半年ぶりですけどね。なので、まず、デビュー10周年記念イベントの感想からお伺いしたいなと思うんですが。
そうですねー。あっという間だったなって思うんですけど、ああいうイベントで、あんなこともあったし、こんなこともあったなって、1つずつをちゃんと振り返ってみると、長かったなって感じて。普通の人生の30年分くらいをぎゅっと濃色したような時間だったと思うんですよね。私がAKB48に入らずに普通の人生を送っていたとしたら絶対に経験できないこと——いろんな仕事をしたし、きっと感じてないだろう喜怒哀楽もたくさん経験させてもらって。だから、改めて、全てが自分のためになってるというか、この10年で経験したことが1つでも欠けたら、今の自分はいないんだなっていうことを強く感じましたね。
──芸能界に入ってなかったらって考えることはあります?
あんまり考えたことがないし、今となっては想像もつかないですね。私は今年、25歳なので、大学を卒業して、就職して3年目に入ったばかりってことですよね。たぶん、まだ大人にはなりきれてなかったと思う。今も大人にはなりきれてないけど(笑)、それでも10年分の社会経験は積んでる。そう考えると、不思議ですね。辛いこともあったし、大変なこともあったけど、いろんな経験をさせてもらえた濃い10年間を過ごせたので、これまでの経験を生かして、11年目からもさらに追求していけたらいいなと思いますね。
──11年目の第一歩として、4月には初主演映画「のぞきめ」が公開されました。主題歌「HIDE & SEEK」が8枚目のシングルとしてリリースされましたが、役者と音楽活動についてはどう捉えてます?
全然別物だなって思いますね。演技は本当に自分じゃない人になるので、これまでの板野友美のイメージも、素の自分自身も全部捨てて、空っぽのままで現場に行って。そこで、監督に言われたことや相手役の人と対面した感覚を全部吸収するっていう感じで挑んでますが、どれだけ板野友美とのギャップを作れるのかっていうことも楽しめるなって思います。
──ソロシンガーとしての活動を本格化させたばかりの頃は、女優業にはまだ消極的でしたよね。
そうですね。昔は、ソロとしての自分のイメージをちゃんと確立してからにしたいって思ってたんですよ。でも、今は音楽においてはもうブレない自信があって。だから、音楽と演技、両方やることで生まれるギャップを楽しんでもらえたらいいなって思えるようになったというか。こういう一面もあるんだとか、こういう表情もするんだって驚いてもらえたらいいかなって。
──確かに、恐怖で叫んだりする顔は映画でなきゃ見れないですもんね。もっと映画もやりたいという気持ちになってます?
ホラー映画に挑戦させてもらったことで、次はまた違うジャンルもやってみたいっていう気持ちになりましたね。作品や監督、キャストによっても変わるし、ジャンルによっても違ってくると思うんですけど、女優さんは本来の自分じゃない役柄を演じることができるから、他の人の人生をちょっと体験できることがすごく楽しくて。もっと入り込んでみたいなと思うし、例えば、ラブコメとか、明るくて面白いお話もやってみたいなって思います。
──中国で初の恋愛映画『雨衣(レインコート)』に主演として出演することが発表されてます。
昨年の9月に1カ月間、中国で撮影してきました。最初は、監督さん含めて、スタッフさんも全員中国人で言葉が通じないし、自分の国からそんなに離れて生活することが不安だったし、大丈夫かなって思ってたんですけど、意外と楽しめましたね。言葉が通じない人とどうやって会話しようかなって考えるのも楽しかったし、毎日が刺激的でした。本当にいい経験になったなって思います。
──主演2作目がいきなり海外制作っていうのがびっくりですよね。どこで撮影してたんですか?
上海で撮影してました。
──5月からスタートしたアジアツアーの1箇所目じゃないですか。
そうなんですよ。1ヶ月もいたので、ご飯屋さんとか街並みとかはすでに知ってて。でも、上海でツアーをやるのは初めてで、しかも、2デイズもあったので、私のことを知ってくれてるのかな?っていう心配はあったんですけど……。
──実際のライブはどうでした?両日とも盛り上がったと聞いてますが。
本当に温かく迎えてくれて、たくさんの方が来てくれて。言葉が通じない方こそ、大きな反応を返してくれるのがすごく嬉しかったですね。私が頑張って話した中国語を一生懸命に聞いてくれて。通じたときに、すごい反応をしてくれてるんですね。これまでに、あまりプロモーションで来れなかったんですけど、新曲「HIDE & SEEK」も知ってくれていたし、アルバムの曲も一緒に歌ってくれたりして。すごく盛り上がってくれたので、本当に嬉しかったですね。
──台湾と香港公演があった前回の1stツアー「S×W×A×G」の時とは違う心境で臨んでます?
前は少し不安もありましたけど、今回は、自分としてのライブを以前よりも作れていると思うし、みんなに見て欲しいなっていう気持ちでステージに立ってますね。上海は初めてだったけど、2箇所目の香港は前回も来ているので、さらに良いものを、よりパワーアップした私を見せられたらいいなと思ってて。3箇所目の北京はまた初めてなんですけど。
──昨年、北京での授賞式「音悦V Chart」に招待されて、歌ってはいますよね。
そうですね。でも、ライブは初めて見る方ばかりだし、私を知らない人も多いと思うので、そういう方にいいな、楽しいなって思ってもらえるパフォーマンスをすることが一番大事だと思うので、とにかく、頑張りたいです。
──アジアツアーのファイナルは東京公演になります。どんな内容になりそうですか?
今回は、アジアツアーということもあって、ブロックごとに全然違う私を見せる構成になってるんですね。和のブロックは日本テイストで、花魁のカッコをしたり、アジアのファンに向けて、AKB48の曲も何曲かやってて。
──AKB48の曲も解禁しました!?
初のアジアツアーだし、AKB48の時にあんまりアジアでライブをしてないので。当たり前だけど、AKB48で知って、好きになってくれた方も多いし、AKB48のともちんが好きっていう方も多いので、そういうアジアのファンの人に向けて、今回は特別に、秋元さんにも相談に乗ってもらって決めました。あとは、可愛い曲もあるし、最近のヒップホップチューンもあるし、ダンスブロックでは激しく踊っているし。いろんな私を見てもらえるんじゃないかなって思います。
──この曲のこのパフォーマンスを見て欲しいっていうのはありますか?
難しいですね……個人的に、曲として好きなのは7枚目のシングルのカップリングに入っていた『Belly Dancer』ですね。とにかく曲調が好きすぎて。レコーディングする前、仮歌の段階からずっと聴いてるんですけど、それだけ聞いても飽きないんですよ。普通、自分の曲は、聞けば聞くほど慣れてきちゃうけど、『Belly Dancer』は聴くたびに、いい曲だなって思う。ライブでも、自然とテンションが上がっちゃってると思います(笑)
──ライブで見るのが楽しみです!また、前回のツアーとの一番の違いはなんですか?
一番違うのは、みんなで盛り上がれるところを作ってることかな。前回は見てもらうっていう感じだったけど、今回は一緒に盛り上がろうっていう気持ちが強くなってますね。だから、まだライブに来たことがない人も、私の曲を知らない人も大歓迎。どんな方でも、一緒に楽しめるライブになってるので、ぜひ来てもらいたいですね。
──最後にツアー終盤に向けての意気込みを聞かせてください。
ここに来て、新たな夢というか、やっと自分のソロとしてのパフォーマンスが掴めてきたし、こういう感じがいいなっていう、自分の在り方のようなものがわかってきたツアーになってるなと思ってて。やりたい音楽やライブの構成とか、方向性が明確に見えるようになってきた。それこそ、可愛いらしい曲もヒップホップ調の曲もどっちもやっていきたいし、あまり限定せずに、変幻自在にできたらいいなと思ってます。その上で、これから東京公演に向けて、今以上に日々、努力して、グレードアップしたいし、ソロとしての板野友美をもっとたくさんの人に見てもらえたらいいなと思うってますね。
──今の言葉の中にあった、「ここにきて生まれた新たな夢」というのはなんですか?
5年以内にアリーナツアーをしたいということと、武道館でライブをしたいですね。武道館はやっぱりアーティストとしての憧れの場所だなと思って。AKB48としては立たせてもらってるんですけど、もう1回、一人のソロアーティストとして立てたらいいなって思いますね。
■「HIDE & SEEK」Music Video