YouTuberとして47万人以上のチャンネル視聴者を得ている“たいぽん(TAIKI/V)”を中心としたロックバンド、SEIZE THE DAYがメジャーデビューシングル「Vibrate you」を7/20(水)リリース!初の全国ツアーも決定。エッジの効いたギターサウンド、緻密に構築されたバンドアンサンブル、そして、シャープな手触りと強いエモーショナルを共存させたボーカルからは、このバンドの高いポテンシャルが伝わってくる。「聴いてくれた人の心に傷跡を付けたい」と語るTAIKIにバンドをスタートさせた経緯、音楽に対する思い、今後のビジョンなどについて聞いた。
インタビュー/森朋之
──SEIZE THE DAYが結成されたのは2015年。インディーズ盤「The Days」「five fine days」をリリースし、昨年12月にはTSUTAYA O-WESTでワンマンライブを敢行しSOLD OUT、そして7月にはメジャーデビューとすごく順調なスタートですよね。
うーん、どうなんですかね…?自分ではよくわからないというか、最初はもう“バンドをやりたい!”という気持ちだけだったので。スピードが速すぎて付いていけない、という感じもありますけどね(笑)。
──TAIKIさんはYouTuberとしても活動していますが、バンドをやりたいという気持ちは以前からあったんですか?
バンドをやりたいというのは高校生くらいのときからありました。最初はベースだったんですよ。ラルク(L’Arc〜en〜Ciel)が好きで、ラルクになりたい一心でベースを練習してたので。その後もギターかベースでしたね。歌には自信がなかったし……恥ずかしいじゃないですか。
──曲も作ってたんですか?
作ってました。学校にあったMTRを借りてきて、ドラム、ベース、ギターを入れて。クソみたいな曲ばっかりでしたけど(笑)、その頃からバンドでやっていくことしか考えてなかったんですよね。就職はまったくする気がなくて、バンドで有名になりたいってずっと思ってたので。その後は音楽の専門学校に行ったんですけど、1年で辞めちゃったんです。あまり上手い人も見つからなかったし──バンドをやるなら、演奏が上手い人とやりたかったので──なかなか上手くいかなくて。そのときに1回諦めてるんですよね、バンドを。
──そこで挫折を経験した?
まあ、そうですね。それからYouTubeを始めたわけですけど、やっぱり“バンドをやりたい”という気持ちが爆発してしまって、いまに至るという。
──なるほど。いまのメンバーが揃って音を出したときはどうでした?
スタジオに入ってリハーサルをやること自体も“何年ぶりだろう?”という感じだったし、最初は“バンドって、こんなにうるさかったっけ?”と思いました(笑)。バンドで歌うのも初めてだったし、自分の声が聴こえづらくて…。とにかく必死でしたね、ホントに。もちろん“やっとバンドを始められた!”という喜びはすごくありました。アレンジもメンバーといっしょに音を出しながら作ってるんですよ。それも大変でしたけど、何とか良いものに出来ていると思います。
──しかも、最初のライブが300人規模のワンマンライブですからね。プレッシャーも相当あったと思うんですが…。
その前にシークレットで1回だけライブをやったんですけど、そのときのお客さんは20〜30人だったんです。だから最初のワンマンのときは……覚えてないですね(笑)。ライブ中はとにかく必死で、終わった瞬間にぜんぶ忘れちゃうというか。ライブの後でメンバーと反省会をやるんですけど、いつも“覚えてない”って言っちゃうんですよ(笑)。視野が狭いというか、まわりがぜんぜん見えてなかったんですよね。最近はようやく、少しずつ余裕が出てきましたけどね。ちゃんと曲の長さも実感できるようになったし…。最初は一瞬で終わるような気がしてたので。
──SEIZE THE DAYというバンド名にはどんな意味が込められているんですか?
インディーズの1stアルバムのタイトルが『The Days』なんですけど、最初はそれをバンド名にしようかと思ってたんですよ。とにかく“Day”という言葉を使うことは決めていて、そこからいくつか候補を考えて。“SEIZE THE DAY”には“いまを生きる”とか“いまを掴む”という意味があるんですけど、そっちのほうが自分に合っているなと思って。人生設計みたいなことをまったくしてこなかったんですよ、俺は。来週の予定くらいはわかってますけど(笑)、将来のことはホントに考えなくて。YouTubeを始めたときもバンドを組んだときもそうなんだけど、そこまで先を見ていたわけではないんですよ。ずっと“いま”を生きているというか……悪く言えば行き当たりばったりなんですけど、1回きりの人生だし、いつ死ぬかもわからないじゃないですか。だったら、そのとき感じたこと、やりたいことを日々積み重ねたほうがいいなって。だから、俺自身がSEIZE THE DAYなんですよ。“これが俺です”と言える言葉だし、このバンド名はすごく気に入ってますね。
──では、メジャーデビューシングル「Vibrate you」について聞かせてください。記念すべき最初のシングルですが、どんなテーマで制作されたんですか?
一発目のシングルって、このバンドを続ける限り、ずっと歌い続ける曲になると思うんですよ。だから、それにふさわしい曲にしたいと思っていました。インディーズでやってきたことを踏まえつつ、自分たちらしさをしっかり感じてもらえる曲というか。
──歌詞については?
テーマは存在証明ですかね。たくさんの人に知ってもらいたいというのはもちろんですけど、自分の存在を知ってもらった人には、絶対に忘れてほしくないんです。そういう気持ちを上手く歌詞に反映できたらなって…。
──ふだんから“自分の存在を知ってほしい、忘れてほしくない”という気持ちがある?
そうですね。人間って、ひとりでは生きていけない人がほとんどだと思うんですよ。自分を知ってくれた人の記憶から自分が消えてしまうのはさみしいし、できればその人のなかに傷跡を残したいと思っていて。それが自分の生きた証になるんじゃないかな、と。もっといえば、自分の名前を100年後、もっと先まで残したいんですよね。
──7月23日(土)渋谷CLUB QUATTRO公演を皮切りに初の全国ツアー『SEIZE THE TOUR 2016「SEIZE! SEIZE! SEIZE!〜メジャーデビューシングル発売記念ツアー〜」がスタートします。
ちょっと不安ですね(笑)。いままでは東京、大阪、名古屋でしかライブをやったことなくて、ここまで本格的なツアーは初めてなんですよ。まずはしっかり体力作りをしたいと思ってます。
──初めてSEIZE THE DAYのライブを観るオーディエンスも多いと思いますが、どんなライブにしたいですか?
内容はこれから考えていくんですが、初めていく場所も多いし、メジャーデビューに相応しいライブをぶちかましたいと思ってます。具体的なことはまだわからないですけど、新しいチャレンジも取り入れたいですね。
──ここからさらにバンド活動が本格化していくことになると思います。将来のことを考えないTAIKIさんにあえて聞きますが、この先、どんなバンドになっていきたいですか?
うーん…。誰でも一緒だと思うんですけど、誰もが知っているバンドになりたいですね。名前を聞けば“あ、知ってる”くらいになるような。まずは日本ですけど、海外にも出ていきたいと思ってるんですよね。作曲も作詞も経験が足りないし、まだまだやらなくちゃいけないことは多いですけど、ようやく夢に向かって走り始めたというか、“やっとここまで来た”という感じはあります。以前の状況に比べたら、少し光が見えてますね、いまは。
■「you&i」Music Video(OFFICIAL)