インタビュー/岡本明
──5枚目となるアルバム『SING SING SING 5』が10月4日にリリースされましたが、翌5日のリリース記念ライブでRoverさんが“最高傑作!”と胸を張っていましたね?
これまでアルバムを4枚出して、さらにコンセプトアルバムを1枚挟んでいますし、自分たちの味というものを自分たちでしっかり分かったうえで提供できる態勢が整ったので、それぞれの個性を出すことができたのが今回の『SING SING SING 5』だと思っています。『SING SING SING 5』はタイアップ曲が最高数で、いつもなら推し曲が1~2曲なんですけど、今回は推し曲にできるタイアップ7曲を入れさせてもらって、まるでベスト盤のようになっています。勝負の一手を出せたという意味でも、これが最高傑作だと思う…か?
いや、思っとけよ(笑)。
前回のツアー中に作っていた曲ばかりなので、ライブの距離感、お客さんとの距離感、僕ら3人の距離感、スタッフさんとの距離感、みたいなものがそのまま空気感として入り込んでいるのかなと思います。ライブ曲も今回が一番多くて。今まではミディアムナンバーが中心になっていたんですけど、ライブと並行して作れたのが良かったかな。ありがたいことにタイアップもついていますし、CDが売れない時代に好調な手ごたえもあって、着実に届けたい人の手元に届いている実感もあるので、すごい嬉しいと思います…か?
前回のツアー中に作っていた曲ばかりなので、ライブの距離感、お客さんとの距離感、僕ら3人の距離感、スタッフさんとの距離感、みたいなものがそのまま空気感として入り込んでいるのかなと思います。ライブ曲も今回が一番多くて。今まではミディアムナンバーが中心になっていたんですけど、ライブと並行して作れたのが良かったかな。ありがたいことにタイアップもついていますし、CDが売れない時代に好調な手ごたえもあって、着実に届けたい人の手元に届いている実感もあるので、すごい嬉しいと思います…か?
いや、それは分からへん(笑)。自分で決めたらええ。
今まで『SING SING SING』シリーズはいろんなタイプの曲を詰め込んできたんですけど、今回はこれまでにないタイプの曲も入れられました。それがキャッチーなものになっているし、今までどおりの僕らのスタンスで作った曲も入っていて、曲数が多いのにバランスが取れたアルバムになったんじゃないでしょうか。大衆向けの曲もあれば、ピンポイントで響く曲、笑いを誘う曲もある、それで最高傑作なんだと思います。
──タイアップ7曲は大きいですね。
ラジオとかに出てもまずそこを言われますね。しかも、タイアップの曲以外の曲も、リスナーの方からいいって言われるので。だから、アルバムの点数で言うと96点。勝率は50%。
タイアップを勝率って言うんか(笑)。
──4点の余地を残しているのは、伸びしろがあるというか?
100点を狙ってるんですけど、次回に出す時は過去作を超えていこうということで。
──確実にこれまでの積み重ねがあって、なおかつ新しいチャレンジもありますよね?
はい、初めてのフィーチャリング曲もありますし。ファンの方も昔より増えて、やったことに対して反応してくれる環境にいるので、いろんな意見が聞けるというのが安心感につながっているのかなと思います。発売してすぐに反響があって、ここから曲がどう育っていくのか楽しみですね。
──今思い返すと、アルバム制作中のエピソードでどんなものがありました?
今回、初めてといっていいほど3人で集まらないで作ったんですよ。今までは作業時間の半分以上を3人で集まってやってたんですけど、今回は各々の場所で書いて、僕がスタジオでそれをまとめることが多かったです。だからスピードが速かった。僕はトラック制作等あるのでラジオやテレビ番組に行けないのですが、その間に2人が作ったものを僕に送ってもらって、僕が固める。それがスムーズにできたので、苦しまずに楽しく作れました。
かといって会話が少なかったかというと、そんなことはなくて、一番多かったんじゃないかな。ツアー中の楽屋でも曲のことを話していたし、それぞれの曲について話して、ここは誰が歌うかとか。
グダグダした時間がなかったですね。自然と3人のスケジュールが変わってきたので、そこをうまく調整して。
僕とRoverは歌詞を書く、その間にHiDEXはトラックを作る、そういった分担作業が多かったです。
──それでスムーズにできたんですね?
そうですね。3人集まることも当然ありますけど、他の方法もこうして見出せているし、いろんなことをやって結果がついてくれば、自信にもつながると思うので。
僕らが飽きたらお客さんも飽きるので、僕らが飽きない曲を作らないとダメだと思いますから。
──このアルバムを引っ提げてのツアーが始まりますけれど、ベリーグッドマンさんのライブの魅力とは何でしょう?
メンバー一人一人違うと思うんですけど、僕はMOCAを立てようと思いますね。彼はお祭り男なので、伸び伸びできるように即興でいろんなことを突っ込んだり。
今はライブが先でCDが後になってきていると思うんです。便利な時代で配信で聴けますけれど、CDをゲットした時って、あとで聴き返したらリード曲じゃない曲が好きになって、そのアーティストの深いところが好きになるっていう経験が僕にはあるんです。そうじゃなくて、今はライブが入り口で、それが良ければCDを買ってみようという流れになっているみたいで。その人たちにCDに流れてもらえるような、いいライブにしたいですね。一体感を生む楽しいステージにして、でも最後に伝えたい曲を歌う、みたいなことをイメージしています。
ライブの魅力はメリハリですね。楽しむ時は楽しみ、聴く時は聴く、涙する時は涙する、笑う時は笑う。それがはっきり分かれているのでみんなが入り込みやすいのかなと思います。
──ライブのお客さんの層も幅広いですよね?
意外に年齢層が先輩の方が踊ってたり、中学生が泣いていたり、自分たちが思うより浸透しているみたいです。お母さんに勧められて聴くようになった中高生とか。
リリースライブは無料なので中高生が多かったと思うんですけど、仕事帰りのサラリーマン、OL、主婦の方も多かったですね。一番多いのは20代半ばの男女だと、MOCAが言ってました(笑)。
ライブに中高生は行きにくいみたいですね。お金払うのはある程度、余裕がないと。
10代は、あと一歩の勇気が出にくいんじゃないですか。新しいラーメン屋さんに行くみたいな感じで。
僕もライブに行くようなったのは大学生ぐらいからなので。
──年末のツアーは初のホールツアーになりますけれど、いつかはホールでやりたいという気持ちはあったんですか?
ありましたね、階段を登っていきたいという気持ちがあったので。特に大阪はやりたかったんです、オリックス劇場で。僕は中学2年生の時に人生初のコンサートで、ジャクソン・ブラウンをオリックス劇場に観に行ったんです。そこからなので15年ぐらい経っていますね。
──中学生でジャクソン・ブラウンは渋いですね。
変な中学生でした(笑)。憧れというところもあるかもしれないですけど、なんばHatch、Zeppと来たら、ホールに行きたいと思っていましたね。
──ホールに向けてだと意識が違います?
違いますね。ライブハウスとは音の鳴り方も違うし、お客さんとの距離が遠いと思うんです。もちろん、全部椅子があるから間隔もある。でも、その距離を感じさせないのが、メンバー一人一人のオーラになると思うんですけど、それってまだ1ミリも無いので。出てきてすぐにワーッ!と沸くというより、徐々に温めていくという意味では、歌はもちろん、演出面でもカバーして、いいホールデビューができたらなと思っています。そこで3人とも自信がついたら、ステージに出た瞬間にキャー!って言われると思うんです。ほとばしってる感というか。
──そのオーラを出すにはどうしたらいいんでしょう?
服装ちゃいますか?
いや(笑)、オーラを出すというより、オーラが出てる、というか。それは見る人が自然に感じるものだから。
歌う前から感動する、ということですからね。ステージ上で“チェックチェック!”ってマイクテストをしてもワーッ!とはならない、でもウィル・アイ・アムだとなるんです(笑)。圧倒的にこの人は何をやってもすごい!と思えたらいいんです、イチロ―選手みたいに。まだ全然ですけど。ホールってそうさせてくれるかもしれないなという期待はありますね。
客席との距離は遠いけれど、全員の顔が見えるのでゴマカシはきけへんし。今まで培ったものをちゃんと発揮しつつ、しっかりしないと素人感が出ちゃうんじゃないかな。ライブハウスはいい意味で勢いで良く見えるところもあるんですけど、ホールは冷静に観てしまうので。
──ライブハウスの高密度と違って、席について冷静に観られますからね。
だからアホなことをしつつ、冷静でいないとダメな気がします。そこは、今までツアーを重ねてきていますから。いろいろ考えるのも大事だけれど、まずはしっかりやりきることですね。
イベントの30分のライブだと作りやすいですけど、自分たちだけのライブを観に来て2時間半とかになると、起承転結をはっきりさせないといけないと思いますね。そのうえで、“コイツら、ライブハウスとやってること変わらんな”というのも面白いので。1曲目でステージから降りて飛び出すとか。“コイツらイカれてる、ホールちゃうやんけ!”みたいな(笑)。カチッと作り上げたもの、3人で信じてきたものを初日にまず出せて。そこから、かなり仕上がって中野サンプラザに向かうと思うので、楽しみにしてほしいです。
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