取材・文/宮内 健
なんか今回のツアーは、今までの中でもまとまってるって言われてるみたいで。まとまってないことをやるのは、本当に大変なんだから!
──6月からはじまった「レキシツアー2017 不思議の国のレキシと稲穂の妖精たち」は14公演目の市川市文化会館で一段落ついたと思いますが、ツアーの感想は?
うーん。実は正直まだ全然振り返れないんだよね。なんせツアーがまだ終わってないから。あくまでも今回の大阪城ライブも武道館2daysもツアーの一環にあって。だから武道館終わるまでなんにも安心できない(笑)。市川はプチファイナルのはずだったのに、全然プチファイナル感なかった。こんなすっきりしないファイナルある?って(笑)。しかも大阪城や武道館が開催される10月まで時間もあるし、なんだか自分にいろいろ課してるなって。
──今回のツアーは、これまでワンマンライヴを開催していなかった都市にも多く回りましたよね。
その土地土地のネタを織り込んだりするのも面白かったね。北海道の中でも札幌と音更で曲を変えたし、京都では「LOVE弁慶」をやったしね。
──レキシが今まで京都でワンマンをやってなかったっていうのも驚きでした。
そう!それで気づいたのは、やっぱり京都とか関西寄りの曲が多いってこと。だから今回もレキシ特有の「気付き」はあったね。なんか今回のツアーは、今までの中でもまとまってるって言われてるみたいで。
──今までやってきたツアーの中でも、一番曲数が多いそうですね。曲数が多くなったにも関わらず、全体の尺としては短くなってるという。まあ、それでも僕が拝見した京都公演は3時間半もやってましたが(笑)。
京都が一番長かったのよ。それを境にまたシェイプアップしていったから。そうやってツアーを重ねながら、ステージを作っていったような感覚はあるね。でもまあ、やってることは変わらないから、なんで「まとまってる」と言われるのかはわからないけど。
──池ちゃんの完全なアドリブによるメンバーへの無茶ぶりとか、無軌道なぶっ込みが少なくなってきたってことなんですかね?
そういうところもあるかもね。でも、それは今回のツアーに限ったわけでもないのよ。前のツアーから、決まってるところは決まって、自由なところは自由にやってるんだけどね。
──レキシのライヴが「まとまってる」みたいに言われるのは、池ちゃんとしてはどうなんですか?ちょっとイラっとくるとか?
いやいや、まとまってないことをやるのは、本当に大変なんだから!そのプレッシャーから逃れたいって気持ちは毎回ある。とはいえ、舞台に立つと楽しくなって、いろいろやっちゃうっていうのはあるからね。だから一概には言えないよね。計算され尽くしたものも突発的なものも、どっちも好きだから。
──その両方のバランスが取れてるのが今回のツアーってことなんでしょうね。「池ちゃん、何しはじめるんだろう?」ってワクワクハラハラした感覚もありつつ、みんなが待ってるお約束をしっかりキメる心地よさもあっって。その両方の面白さは、すごく高いレベルでバランスを保ってる。
今回のツアーは2~3000人規模の会場だったから、遠いとはいえ一番後ろまで見えるし、笑ってるかそうじゃないかぐらいまではわかるんだよ。だけど、武道館みたいに会場が大きくになるつれてそういうのがわからなくなってくるから、不安はあるよね。武道館なんて、もう何回やってんだよって話になるけど(笑)。
ライジングの時は“稲トラソウル”がTwitterのトレンドに入ってたっていうね(笑)言うてもあれは結構前からやってたし、公認だし。
──市川の公演で“プチファイナル”を終えてからは、この夏もいくつか野外フェスに出演していましたね。とくにフジロックは初めての出演となりました。
フジロックは、終わってホッとしましたね。今まで出るに出れない問題があったから。
──レキシが「コミカルすぎるから」という理由で、今まで出演が叶わなかったという。そのことはフジロックのステージ上でも言及してましたね。
まあ、それも話したほうが面白いかなって。だけど、レキシのテーマとして“ラフ&ピース”だって言ってるのに、あんまり毒づいてもよくないから。あらためて出るってなった時に、なんか自分でもどうなんだろう?って思ったけど、まあ面白ければ俺はなんでもいいからね。
──そういう意味ではフジロックに出るのも、他のフェスに出演するのと変わらないと。
そうそう。グッズも売ってないのに稲穂持ってる人がたくさんいたのはびっくりしたけど、まあそれぐらいかな(笑)。もちろん楽しかったよ!フジロックも意外とお客さんとの距離が近かったし。いつも通り楽しんでライブができた。ただ、ぶっ込むネタを洋楽寄りにしたほうがいいとは、スタッフからも言われてて。
──それで出てきたのが、サンダーキャットの顏マネっていう(笑)。
そう、これはイケるって思ってね。一番言いたいのは、フジロックがいよいよコミカルに寄ってきたってこと。
──ライジングサンでは、“稲トラソウル”で盛り上がったとか。
びっくりしたのは、“稲トラソウル”がTwitterのトレンドに入ってたっていうね。“レキシ”とかのキーワードでは入ってないのに、“稲トラソウル”だけが一人歩きしていった(笑)。言うてもあれは結構前からやってたし、公認だし。
──えっ!?公認なんですか?
会場入りしてから出番まで時間があったから、ケータリングを食べようと思って楽屋エリアを移動してる時、何の気なしに“稲トラソウル~♪”って歌いながら歩いてたの。そしたら、B’zの楽屋のドアがガチャって開いて。稲葉さんが「今日、楽しみにしてます!」って言ってくれて。
──えぇーーーっ!向こうから挨拶してくれたんですか?
そう!わざわざドアを開けてくれて。
──しかしまあ、ご本人がいるかもしれない楽屋の前をよく歌って歩きましたよね。
いやいや、会場着いてすぐだったからB’z楽屋の前って全然気づいてなかったのよ!そしたらガチャっと開いて稲葉さん出てきたから、はぁぁっ!(驚)ってなるよね。実際にレキシのステージも、少しだけ舞台袖から観てくださったらしくて。