Angelo “人外” “スクラップ” “遺書”、様々なキーワードが飛び出したニュー・アルバム『HETERODOX』の展望とライヴツアーへの覚悟を、キリトが語る。

インタビュー | 2017.08.03 12:00

インタビュー/杉江由紀

──来たる9月27日に発表されるという10曲入りアルバムのタイトルは、その名も『HETERODOX』です。今度の作品を通し、Angeloが提示していくことになる局面とは、一体どんなものなのでしょうか。

キリト とにかくね、あらたな次元に行きたいんですよ。敢えて言葉にするなら、人外(じんがい)な感じというのかなぁ(笑)。つまり、ここからのAngeloは人の領域を超えた世界を見せていくことになるんだと思います。どこまでも究極なものを目指したいし、ここまでの10年以上にわたる積み重ねや進化を遂げてきた過程がある以上、やがてそこに踏み込んでいくことになるのは、むしろ自然だし必然的なことだとも言えますよ。

──いやはや。人外ですか…いきなり、強烈な言葉が出て来ましたね。

キリト あれ?なんか言い方おかしいですか(笑)。いやでも、ココまで来るともうそれ以外の言葉がなかなか見つからないんだよなぁ。まぁ、まだアルバム自体は(この取材時点でだと)完成していないから、ちょっと漠然としたところもあるにはありますけどね。とりあえず、このままの調子で行けば今ちょうど胎児で言うとタツノオトシゴみたいな状態のものに、そのうち手足が生えて来て、やがてはひとつの生きものとして世に生まれ落ちることになるはずなんです。

──ちなみに、『HETERODOX』からのリードチューンとしてはMV「evil」が既に公式サイトにて公開されていますし、先だって横浜アリーナで開催されたPIERROTとDIR EN GREYによる歴史的ツーマンライヴ【ANDROGYNOS – a view of the Megiddo -】および【ANDROGYNOS – a view of the Acro -】の場でも、こちらの「evil」のDVDが入場者に対して無料配布されたりもしておりました。この1曲を見聴きするだけでも、次のAngeloがより鋭い音と際立った歌詞をもって、攻めの姿勢に出ていることはひしひしと伝わってきますね。

キリト そもそも、今回のアルバムのタイトルにしてある『HETERODOX』というのは、直訳すると異教徒とか異端という意味なんですよ。意味合い的には、常に僕がやるバンドは異端であるというのもありますしね(笑)。そういう潜在的なスタンスを表したものであると同時に、今年は夏に“いろんなこと”もありましたから…それらも全て踏まえながら、このタイミングでAngelo が堂々と異教と言い切ることの意味を紐付けて考えてもらうと、きっと僕の中にある思惑はかなり見えてくるんじゃないかと思います。

Vo.キリト

──そういえば。例の【ANDROGYNOS】が行われる前に、別媒体でのインタヴューをさせていただいた際、キリトさんは「これをやることにより、今やっているAngeloの未来に何かが繋がっていくだろう」との予言をされていました。実際のところ、その実感は現段階で何かしら得られていますか?

キリト もちろん、僕の中に始めからある筋書き通り物事は動いていますよ。ただ、オーディエンスの人たちがどう感じて、そこからどういう流れが生まれていくのか?というところまでは、さすがにコントロール出来ませんからね。あくまでも僕の役割は、筋書きを作るところから始まるものであるというだけです。要は、“こうなったら良いなぁー”って理想を思い描いているというか。ちょっとだけ、意図的にね(笑)。

──では、その筋書きをより完璧なものにするべく、冒頭でおっしゃっていた“人外”な側面をAngeloの中でここからさらに増幅させていくには、どんなアプローチが必要となってくるのでしょうか。

キリト 別にそんなの簡単ですよ。シンプルに、まずは僕自身が人でなくなればいいんです。あははは(笑)。

──なんという高笑い(笑)。そして、これまた凄いことをおっしゃいますねぇ。

キリト だから…どこまでが人で、どこからが人外なのかっていう線引きがどこにあるのかはまた別の問題にしても、まずはいちアーティストとして、いちパフォーマーとして、いちヴォーカリストとして、一切のリミッターを設けずにどこまで突き詰めていけるのか、突き抜けていけるのか、というのが最も大事になってくるんだと思います。

Ba.KOHTA

──そのような意識は、今度のアルバム『HETERODOX』に向けた楽曲作りの際にも、コンポーザーとして明確にお持ちだったということですか。

キリト うん、当然ありましたよ。ただ、感覚的にはあらかじめ設定した到達点を目指して作っていたというよりは、純粋にもっとクオリティの高いものを作っていきたいと思いながら作っていたら、結果的に自分が思う以上の“超えた”ものになっていた、みたいな感じでした。やっぱりね、なんでもそうですけど、やっている時は必死だしひたすら夢中なんですよ。そして、出来てみてちょっと客観的になった段階でようやく“あぁ、イイじゃん。これ”ってなる(笑)。

──逆に、ほかのメンバーが作ってきた楽曲たちに対しては、どのような印象を?

キリト 毎回そうですけど、Karyuは今回もまた良い曲を作ってくれましたよ。僕にはない違う発想から生まれてくる曲は面白いし、それは今のAngeloにとって絶対に必要なものですからね。皆さんのご期待にも、充分過ぎるくらいに添えるものになっていると思います。

G.Karyu

──なお、アルバム全体のトーンという面で行くと『HETERODOX』は、おおよそどんな雰囲気の作品になっていくのでしょうね。予告的に、少し解説をしていただけると嬉しいです。

キリト 全体的にみれば、おそらくそれなりにバラエティには富んでいるんですよ。ただ、今までの作品と比べたら、方向性的なものがもっとわかりやすくなっている気はしますね。“あぁ、今回はこういう性格の作品なんだな”ということが聴いてはっきりわかるんじゃないかな。

──実際、先ほども話題に出た「evil」からして、かなり切れ味の鋭い音像に仕上がっていますものね。

キリト それを言うなら、『evil』なんてまだ穏便な方ですよ(笑)。全然あれでも、歌モノ寄りですけどね。

──なるほど。あとは推して量るべし、といったところですね(笑)

キリト だから、今回は歌詞に関しても死を迎えるつもりで書いていくことになると思いますよ。これで命がついえたとしてもきっと後悔はしない、というくらいの覚悟を持ってね。今から書いて行くものがほとんどだけど、意味合いとしては遺書として成り立つような、集大成的なものになっていくんじゃないかな。

──壮絶な覚悟を感じるお言葉ですね。

キリト 今に始まった話じゃなく、それがあるのは何時ものことだけどね(笑)。結局モノを作り続けて行くっていうのは、いろんな意味でスクラップ&ビルドの繰り返しなわけでしょ。そして、今回のアルバムは多分そのうちのスクラップの位置にあたるんだと思う。

G.ギル

──Angeloとしての10年を経た集大成でもあり、そこに破壊の概念を加味することにより、あらたな始まりを迎えていくことにもなるわけですね。

キリト 『HETERODOX』は、これまでのアルバムと比べてもサウンド自体の攻撃性とか、バンドとしての実験的要素が高くなっているとも言えますよ。良い意味で過去のアルバムよりも偏っているし、今後のライヴで映えていきそうな曲がまたいろいろ出来ました。と同時に、僕からすればそういった楽曲たちをライヴの場に持ち込んだ時にどうなるのか、どうしたいのかというところまで考えることが重要で、本当の意味での完成形はそこにしかないんです。

──なお、ライヴといえば。毎年恒例となっている10月4日=天使の日の豊洲PIT公演11th Anniversary[HETERODOXY]が控えております。また、その後には関東圏サーキットなども予定されておりますが、ことライヴの面においては今後Angeloとして、どのような展望を描いていらっしゃいますか。

キリト 長年やって来ている以上、前回のライヴ、前回のツアーを超えて行くようなものにしていくのは、大前提だとして。今回は遺書をしたためるようなつもりで歌詞を書くということもしていくわけだから、ライヴにおいても僕は命を投げ打つでしょうね。

──そのスタンスで毎夜ライヴを続けていったら、リアルにキリトさんが抜けがらになってしまいそうで心配ですけれども…。

キリト 大丈夫。ちゃんと超音波式の加湿器をつけて睡眠をとれば、なんだかんだで次のライヴまでには何とか再生するから。あ、でも加熱式のはダメ。あれは良くない。

Dr.TAKEO

──そこもわりと大事なんですね(笑)

キリト だってほら、加熱式の加湿器って寝ているうちに部屋の中がやたらと暑くなるじゃない?あれだと、途中で目が覚めちゃうんですよ。あとはまぁ、ライヴの後だと身体は疲れているのに神経がたかぶってなかなか眠れないなんていうこともたまにありますけど、だからといって特別に何かを飲むとか、何かをするというようなことは全く無いですね。最終的には、自分のことを強く信じるしかない。思い込みでなんとかなることも、意外と多いんじゃないですかね。

──精神が肉体的限界を超えて行くと。

キリト うん。余力なんて残している場合じゃない、というのは絶対的に間違いのないことですからね。なにしろ、人外(じんがい)がひとつのキーワードになっているくらいですから。ここからのライヴでは、もう無茶苦茶やったろうかなと思います(笑)。完全に一線を超えていかないとね。

 

 ■Angelo「evil」(2017.9.27 Release New Album「HETERODOX」より)

 

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Angelo Tour「REVERSAL OF HETERODOXY」

2017年11月17日(金) EX THEATER ROPPONGI
2017年11月22日(水) TSUTAYA O-EAST
2017年11月23日(木・祝) 横浜BAY HALL
2017年11月28日(火)11月29日(水) 新宿BLAZE
2017年12月07日(木) umeda TRAD(旧AKASO)
2017年12月09日(土) 名古屋DIAMOND HALL
2017年12月14日(木) 広島CLUB QUATTRO
2017年12月16日(土) 熊本B.9 v1
2017年12月17日(日) 福岡DRUM LOGOS
2017年12月23日(土・祝) 札幌PENNY LANE24
2017年12月25日(月) TSUTAYA O-EAST(FC限定)
2017年12月30日(土) 仙台Rensa
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関連リンク

RELEASE

NEW ALBUM「HETERODOX」
((株)ブロウグロウ)
9月27日 SALE
※初回限定盤(CD10曲+DVD)
※通常盤(CD10曲)