<サムライ・ロック・オーケストラ>の最新公演『アメージング八犬伝』稽古場インタビュー第3回は、元フィギュアスケート選手・現スポーツキャスターの浅田舞(あさだまい)さん。今回は、前作公演にあたる『ふしぎの国のアリス』にも出演した浅田さんに『アメージング八犬伝』への思いをうかがった。
インタビュー/吉田大
写真/堀清香
舞台初挑戦だった『ふしぎの国のアリス』。陸の上で演じるのかあ。どうすれば良いんだろ
──今日はお忙しいところ、ありがとうございます。前作公演にあたる『ふしぎの国のアリス~』では、アリス役を演じていたかと思うのですが、オファーがあった時どのような感想を持たれましたか?
池谷直樹さんがテレビでモンスターボックス(※跳び箱競技)をやったり、舞台で活躍しているのは存じ上げていたんですが、まさか自分がその舞台に上がるとは思いもしませんでした。第一印象としては「参加していいの!?」みたいな感じ。実は、私にとって昨年の『アリス』は、舞台初挑戦作品だったんです。「氷の上じゃなく陸の上で演じるのかあ。どうすれば良いんだろう…。」みたいなところからのスタートでしたね。
──実際に舞台に上がってみてどうでした?フィギュアスケートとの違いは感じましたか?
フィギュアスケートって、リンクから見て360度方向にお客さんが入るんですよ。だけど舞台の場合は、ステージの対面にしかお客さんが入らない。なので稽古を始めた頃は客席にお尻を向けて演技をしてました(笑)。そんな基本的なことすら分かっていなかったんです。でも周りの方々も、似たような経験をされていたということもあったんでしょうか。色んな事をすごく優しく教えてくれました。皆さんに助けていただけたので、結構スンナリと入っていけましたね。
──前回に比べれば、舞台慣れしたという実感はありますか?
そうですね。直樹さんはじめメンバーの皆さんとも1年間コミュニケーションを取って仲良くなりましたし、徐々に自分の意見を言う機会も増えてきたので。でも今回はアリスとは正反対の役なんですよ(笑)
人生初の悪役「玉梓(たまずさ)」。観終わった後にどこか愛される要素を
──浅田さんが演じる「玉梓(たまずさ)」は、主役である八犬士の前に立ちふさがるラスボス的な存在です。
そう。ものすごく悪い感じなんです。だからどうなるんだろうって(笑)
──演じるにあたって、なにか心構えみたいなところはありますか。
今回の原作が『八犬伝』に決まってからは、まず劇場版やドラマ版などを観ていきました。玉梓がどんなキャラクターを知った時には「ちょっと待って!これすごい役じゃん!」みたいな印象を受けました(笑)。まさに今日から稽古が始まったので、ここから自分らしい玉梓を作り上げていけたら良いなと考えているところです。
──浅田さんは玉梓のキャラクターをどのように捉えられているのでしょうか?
実は悪を演じること自体、人生初めてなんですよ。私はフィギュアスケートをやって来たのですが、悪い役どころか、悪い感じの音楽にすらチャレンジしたことがなかったんです。そんな私から見た玉梓は、もう本当に悪くて。でも怒りや恨み、もっと言えば呪いみたいなディープな感情を抱えているんですけど、どこか妖艶でもあって。ですから極悪でありながらも、観終わった後に、どこか愛される要素を入れて演じたいなあと思っています。いや、本当に極悪なキャラなんですけどね(笑)
稽古はハードなので体調管理も大切