<サムライ・ロック・オーケストラ>の最新公演『アメージング八犬伝』稽古場インタビュー第2回は、昨年2月まで宝塚歌劇団の男役<煌月爽矢(あきづき・さや)>として活躍してきた女優・中原由貴(なかはら ゆうき)さん。今回は、初挑戦となるアクロバット・ミュージカルについて宝塚退団後の心境を交えて語っていただいた。
インタビュー/吉田大
写真/堀清香
また男性を演じるということを、最初は素直に“やった!”とは思えなかった
──今回初めて<サムライ・ロック・オーケストラ>の公演に参加されるそうですね。オファーを受けて、どんな風に感じれらました?
私は宝塚の元男役で、1年前に卒業したばかりです。その時は「今までの自分から変わりたい」という思いがすごく大きかったんですよ。ですから正直なところを言ってしまうと、最初は(『アメージング八犬伝』で男性を演じることを)素直に「やった!」とは思えなかったんです。でも一人の役者として<ヽ大(ちゅだい)法師>を捉えて演じるという風に意識を変えてみたら、今度は「今までやって来たことが活かせるんじゃないかな」って思うようになったんです。それで、すごく嬉しいお話なんだなって思うようになりました。
──今回の公演で演じられる<ヽ大(ちゅだい)法師>とは、どのようなキャラクターなのでしょうか?
まだ稽古が始まったばかりなのでハッキリとしたことは言えないんですが、ストーリーテラー的なキャラクターで、ほぼ全場面に出させていただくことになりそうです。ちなみに今回の公演は原作とは内容が異なっているところもあって…。みんなが楽しくなれる作品になるんじゃないかなあと思っていますが、それは観てのお楽しみということで(笑)
宝塚と『八犬伝』は、お客様を“魅せる”という面で似ています
──初出演とのことですが、サムライ・ロック・オーケストラにはどんな印象を持っていましたか?
申し訳ないんですが、最初は漠然と「ムキムキでテカテカな方が筋肉を見せる」というイメージしかありませんでした。でも過去作品の映像を見せていただいたら、思い描いていたイメージとは全然違っていました。言葉がないからミュージカルというわけでもないですし、かと言って単にアスリートの方々が技を披露しているわけでもない。ちゃんとストーリーの中で出演者の方々が活きているんです。これまでに観たことがない新感覚の舞台だなと思いました。
──ご覧になった過去作品でお気に入りを挙げるとすれば?
『アリス』が好きでしたね。コスチュームも舞台セットもかわいくて、でもどこかコミカルだったりも。照明なんかもすごく凝っていましたよね。出演者の演技はもちろん、視覚的な楽しみがあるんですよ。衣装も豪華ですね。宝塚時代に感じてたことなんですが、稽古場だと今日みたいにTシャツ1枚で踊りやすじゃないですか?でも衣装を着て舞台に立つと、稽古場で出来ていたことが出来なかったりするんです。ある意味で規制の中で踊ることになる。そういうことをまったく感じさせないのは『アリス』に限らず、スゴいなあと感じました。
──映像を見ていて、なにか宝塚と似ているところってありましたか?
お客様を「魅せる」という面では似ていますね。宝塚のレビューでも、ただ踊るだけではなくて、踊ることを通じて、メッセージや華やかさをお客様にお伝えしてきたつもりです。そこは似ていますね。
男性に囲まれて男役を演じるということ