家入レオ、2024年最初のステージは「Billboard JAPAN Women In Music vol.2」で加藤ミリヤ、オーケストラと共演。プライベートにも話が及んだロングインタビュー

インタビュー | 2024.01.16 18:00

──2023年は家入レオさんにとってどんな1年になりましたか。
濃かったですね〜。環境が大きく変わったし、今まで生きてきた1年間のボリュームとはまたちょっと違う方向の新しいチャレンジをさせてもらって。デビューして10年を超えて、新しいんだけどなんとなく知ってるなっていう色や匂いのものが増えたなと思うこともあって。でも、春にircle(アークル)のギタリストである仲道良さんと私のツインギターで回るアコースティックツアーを行いまして。2人編成でツアーを回ることも初めてだったんです。そこから、夏フェスにも出演させていただいて、バンド編成でZepp規模のライブハウスを回り、最後は初めての海外、中国・上海公演で2023年を締められたこともとても大きくて。2024年の橋掛けとなるようなガソリンをいただいたかなと思ってます。
──上海でのライブはどうでしたか。
めちゃくちゃ楽しかったです。ライブの価値観がまた日本とは違っていて。日本だと歌を聴く、演奏を聴く、またはパフォーマンスや踊りを体感しに行くっていう感じだと思うんですけど、中国は参加型でしたね。「Silly」っていうバラードで大合唱が起こったりして。
──中国や香港、台湾のお客さんは割と最初から皆さんずっと一緒に口ずさんでますよね。
そうなんです。ずっと一緒に歌ってくれてて。私はメモを持って、中国語で挨拶もしたんですけど、8割くらいの方が日本語のMCを理解してらっしゃって、日本のドラマは世界中で愛されてるんだなって知るきっかけにもなりましたね。だから、外へ外へと行くたびに、内側のことをもっと好きになるというか。帰る場所、日本のこともより好きになれるっていいなって思いました。今後はアジアツアーもできるようにいろいろと計画中です。
──夏にお会いした時に「ボーダーを飛び越えている存在なんじゃないか」と話してましたが、まさに国境を超えていきましたね。
超えましたね。より自由に、より楽しくなってると思う。
──「新たなスタートで、新しい扉が開けた」ともおっしゃってました。具体的に何が変わりましたか。
自分が変わりました。そして、より人のことが好きになりましたね。これまではずっと、自分で頑張ればいいとか、自分さえ我慢してればいいって思って。10代のときは、周りが大人だったし、人生経験でいうと圧倒的に劣っていたから、自分で折り合いをつけていけばいいんだって思ってて。
──言いたいことがあっても、我慢して飲み込んでたんですね。
そうですね。でも、やっぱり人間関係を築いていく上で、一方通行だと成り立たないんですよね。自分の気持ちをしっかりと伝えないと信頼関係は成り立っていかない。もちろん、これまで私と一緒にやってくれていた人たちは、ずっと私に問いかけてくれていたと思うんですよ。でも、今振り返ると私のほうがどこか閉じていた部分があったかもなって。今は、自分がより開けているし、私のほうから相手の心の扉を叩いてみようって思えるようになったのが、この1年でのすごく大きな変化だったと思います。

──新しいチャレンジや大きな変化を遂げた1年を経て、2024年の最初のステージとなる「Billboard JAPAN Women In Music vol.2」への出演が決まった時はどんな心境でしたか。
加藤ミリヤさんとオーケストラの皆さんとご一緒できるっていうのも嬉しい機会ですし、<女性を応援する>っていうテーマにとても惹かれて。お声がけいただいたときに、ぜひご一緒させていただきたいですっていうお返事をさせていただいたんです。
──女性の音楽活動を応援するプロジェクトのどんなところに惹かれましたか。
17歳でデビューしたときは、正直、女性というか、少女ではあったけど、自分の性別について深く考えることはなかったんですね。でも、1年1年、女性アーティストとして、歌い手として、年齢を重ねてきたときに、自分の人生の中に結婚や出産っていうものが浮かんできて。自分のプライベートと音楽のキャリアをこれからどういうふうに共存させていったらいいんだろうって考えるタイミングでのお声がけだったんです。女性って30になる前っていろいろ考えるって言いますし。
──家入さんは昨年の12月に29歳になったばかりですよね。現時点では、結婚や出産などのプライベートと音楽活動の両立についてはどう考えてますか。
今の女性はかなりの覚悟と経済力がいると思う。少し、ストレートに伝えすぎてるかな?もしかしたら賛否両論あるかもしれないけど、それは歌を歌ってる私だけじゃなくて、女性で仕事と家庭を両立させたいと望んでいる人みんなに言えることだと思うんですよね。やっぱり家を空ける=子供はどうするの?って避けては通れないテーマだと思うから。近くに親御さんが住んでらっしゃる方は、その親御さんの力を借りないといけないかもしれないし、それが難しい場合はベビーシッターさんや他者の手を借りなくちゃいけない。会社の育児施設が充実してるんだったら、その会社で保育士さんが見るのかもしれない。どちらにしても、人の手を借りないとどうしても無理っていうときに。
──経済力が必要になってくる、と。
お金が欲しいって言ってるだけではないんですよね。そんなに簡単じゃないというか。ただ、普通に1人の女性として、お母さんもやりたいし、キャリアも重ねたい。でも、そのときに必要なものって、気持ちと愛だけで全てが解決するかどうか。私、それも搾取な気がしてて。みんながちゃんと、自分がしたことに対して、ギブアンドテイクがなされないと社会は回っていかない。そういうことも含めて、<女性を応援する>って言いながら、<人生を応援する>プロジェクトだと私は思ってて。だから、今回、男性がこのイベントに来て、女性がどんな悩みや不安を持ち合わせてるのかを知ることでよりコミュニケーションが豊かになると思う。私はずっと歌を歌っていきたいなって今、現在は思ってるけど、本当に結婚して子供が産まれたときに、果たしてそれが可能な経済状況なのか。そこは多分、子供を授かるときはみんな考えるんじゃないかな。

──女性は妊娠中は仕事を休まないといけないし、出産後に復職したとしてもお金がかかるから。
やっぱり経済力は問題の一つだと思うし、そういうことがテーマになっていかないと綺麗事なような気もしていて。女性進出を応援するって、気持ちだけじゃ間に合わないじゃないですか。出産してない私が言うと説得力が薄いかもしれないけど、そこをネックにして結婚しないっていう女性も周りに増えてる。そういうことを取り上げてはじめて、生きざまをちゃんと見せられる歌い手な気がしていて。一方で、加藤ミリヤさんはご結婚もされて、息子さんも2人いらっしゃる。もがいたり、悩んだりしてても、ここにたどり着けるかもっていう1つの答えとして、お手本として、ステージに立ってらっしゃる方だと思うんですね。私はリアルに今もがいて模索中。同じ女性だけど、二つのフェーズをお客さんに感じてもらえることってすごく貴重な気がしてて。加藤ミリヤさんと家入レオって結構異色のコラボだし。
──異色ですよね。
そこに東京フィル・ビルボードクラシックスオーケストラの皆さんもいて。みんな未知数ですよね。きっとやってみて初めてわかることがあると思う。私自身がすごく楽しみですね。

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