椎名慶治、ソロ活動12年の節目にニュー・アルバム『RABBIT-MAN Ⅱ』をリリース! 作品のこと、これまでのこと、これからのことを訊いた

インタビュー | 2023.12.21 12:00

 2018年にSURFACEが再始動して以降、そっちでもばりばりソロでもばりばり活動中の椎名慶治が、12月27日にニュー・アルバム『RABBIT-MAN Ⅱ』をリリースする。
SURFACE解散の翌年(2011年)のソロのファースト・フルアルバム『RABBIT-MAN』から干支が一周、というタイミングなのでこのタイトルである本作には、いきいきとしていて、力いっぱいはじけていて、身がギュッと詰まった13曲が収められている。
12月24日には名古屋ボトムラインでワンマン、12月30日には品川インターシティホールで恒例のバースデイ・ライブ、2月3・4日はSHIBUYA PLEASURE PLEASUREでアコースティック・ライブ、その後はツアーも控えている椎名慶治に、本作のこと=今のこと、これまでのこと、これからのことを訊いた。

「今の時代だからこそ、こういう音楽を やりたいな」と思って作った

——『RABBIT-MAN Ⅱ』の話をうかがう前に、12年前の『RABBIT-MAN』の頃のことを、教えていただきたいんですが──。
はい。僕は2010年にSURFACEを解散して、その年のうちにミニアルバムをリリースしたんですけど。その翌年の2011年に出した、本格的にソロで活動していきます、という決意表明のアルバムが『RABBIT-MAN』で。その時は、自分のシンボルマークとして……ソロになると何もないじゃないですか? ずっとSURFACEだった人間が、ひとりになった時に、「椎名慶治」というだけなので……。
——そういう時って、自分には何にもない、みたいに感じちゃうものらしいですね。
感じちゃいます。という中で、自分を提示するひとつのワードとして……兎年で、年男の椎名慶治、『RABBIT-MAN』、というのが浮かんで。それが12年前で、干支が一周するほどソロの活動をやってこれた、兎年でもあるし、SURFACEとしてデビューして25周年でもある……去年マネージャーと「来年、そうなるね」という話をしていて。『RABBIT-MAN Ⅱ』、出しましょうか、という話になりました。
──今のお話だと、SURFACEを解散した時は、「さあソロだ!」というよりも、「どうしたもんか……」みたいな気持ちの方が強かった?
僕は、SURFACEを解散した時は、何も考えてなかったです。ほんとに、これから俺はどうするんだろうなあ、っていうので、音楽の先輩に相談もしましたね。それが、元JUDY AND MARYのTAKUYAさんで、バンドが解散した時の心境とかを訊いて。その上でTAKUYAさんが僕にくれたアドバイスが、「2年ぐらい海外に行けば?」だったんで、全力で却下しました(笑)。それくらい、自分の中で「これからこうしよう」っていう決断もできなくて、迷っている時に、今の(所属事務所の)社長であるマネージャーから……「売名行為として、解散を使わなければダメだ」って言われて。

──ああ、なるほどね。
「SURFACEが解散したことすらも武器にしろ」と。そのとおりだなと思ったので、6月に解散して、11月に最初のミニアルバム『I』を出しました。突貫工事で。
──その次の『RABBIT-MAN』は?
そのミニアルバムを出して、次を作る時は、もう本当に俺はひとりなんだな、っていう……決意とも違う、なんだろうな……あきらめ、ですかね。俺はひとりだ、もう戻る場所がないんだな、っていうあきらめからのソロ作品だった。でも、会社を回していくためにも、ここでしっかり動かなきゃな、っていう。だから、「楽しかったの?」って言われると、ちょっと難しいですね。楽しんで作っているはずですけど、楽しさが100%ではなかった気がしますね。
──その12年後の、今回の『RABBIT-MAN Ⅱ』とは、作っている時の気分が違うんですね。
もう全然違いますね。『RABBIT-MAN Ⅱ』は、楽しかったです。「がんばんなきゃ」って必死こいた感じで作ったのではなくて、「今の時代だからこそ、こういう音楽をやりたいな」と思って作ったので。

椎名慶治/RABBIT-MAN II

──それは、たとえば?
ひとつは、SURFACEがいるからこそ(2018年に再結成)、前作の『and』というアルバムの時は(2021年9月リリース)……SURFACEはギタリストと組んでいるので、ソロの方でギターを立てすぎると、SURFACEの居場所がなくなるな、と思って、ギターを引っ込めたんですよ。なんですけど、そういうことじゃないんじゃないかな、って、自分の中で吹っきれたんですよね。「やろうと思ってもSURFACEにはならんぞ。どんなにギターが鳴っていても、これはSURFACEじゃない」っていう確信めいたものが、わいたというか。だから今回に関しては、ギター・リフが鳴っているものが自分は大好き、っていうのを、がまんしないでいいんじゃないかな、というところから作っていった曲が、何曲もあったりとか。僕がもともとこの世界に入るきっかけになっている、ビーイングのアーティストがDNAにあって……高校生の時からビーイングが大好きだった人間が、その思いをぶつけたらどうなるんだろう、という動機で曲を作ったりとか。なので、すごく素直に作っていますね。

──それ以外にも、「今の時代だからこそ、こういう音楽をやりたい」というポイントは──。
たとえば、単純明快なところでは、このアルバム、曲数が13曲入っているのに、トータルが41分なんです。それが今の時代なんですよね。1番のAメロBメロサビ、2番のAメロBメロサビ、そして最後のサビに行く前に大サビがあってサビ、つまりABCABCDC、っていうのが、昔から日本で続いてきた曲の構成なんですけど。今は、2番のサビがないんですよね、みんな。僕も、2番のサビを切ってる曲が、何曲かあります。それで成り立つんだ?って、最初は不思議だったんですけど、いざ自分がやってみたら、何の問題もないんですよね。最終的にサブスクで聴かれることになった時に、飽きないということを、第一に考えて。

公演情報

DISK GARAGE公演

Yoshiharu Shiina Live 2023「Oh Yeah!!」

2023年12月24日(日)愛知・名古屋ボトムライン
2023年12月30日(土)東京・品川インターシティホール

■MEMBER
Vocal:椎名慶治
Drums:TETSUYUKI
Bass:Park
Guitar:友森昭一
Keyboards:村原康介
Sax:薗田佳煇

Yoshiharu Shiina Live 2024「Type A〜generalprobe〜」

2024年2月3日(土)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

■MEMBER
Vocal:椎名慶治
A Guitar:友森昭一
Keyboard:村原康介

RELEASE

「RABBIT-MAN II」(High Wind)

6th FULL ALBUM

「RABBIT-MAN II」(High Wind)

2023年12月27日(水)SALE
詳細はこちら
  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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  • 東 美樹

    撮影

    東 美樹

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