5月12日(金)福岡CBから7月7日(金)渋谷CLUB QUATTROまで、7ヵ所の全国ツアー『Hello BUTCHER GIRL』を回るニガミ17才、ボーカル岩下優介とシンセサイザー平沢あくびに訊いた、そのツアーについてのインタビューの後編です。岩下優介にとって、平沢あくびにとって、「ニガミ17才」のライブとは何か、どんな気持ちで何を目指して日々ライブに向き合っているか、話していただきました。ではどうぞ!
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──ライブでの、オーディエンスに対する向き合い方についても訊きたいんですが。
岩下優介(Vo)そこはね、僕はけっこう割り切ってて。あくびにまかせてます、オーディエンスとのつながりは。なので、僕はただ思いの丈を言ってるだけです、ライブ中は。それに対してあくびは、俺がめちゃくちゃ悪いことを言ったら、フォローを入れたりとか。あくびはあくびで、お客さんとつながっているから……そんな感じかな。だから逆に、あくびの向き合い方を知りたい。
平沢あくび(Syn)ライブ中ですよね? ライブ中は、だいたい……セットリストは岩さんが考えてきてくださるんですけど、それを見て「この曲ではお客さんをこういうふうにさせたいんだな」というのは、だいたい把握はしていて。そこは話し合いとかはしたことないですけど、「ライブをこう進めて、ここでいったん落ち着かせたいんだな」とか。そういうのがなんとなくわかっていると、実際ライブが始まった時に「あ、これ、岩さんが持っていきたい方向と違うな」っていう時に、岩さんの表情とか見て、「あ、岩さんも今、同じ感じで思ってるな」ってなったら、そこで岩さんがお客さんをあおる、っていうのは、私が思ってるニガミ17才とは、ちょっと違って。岩さんがあおりたくなったんならいいんですけど、「どうにかしなきゃ」っていうのは、私の役割と思ってます。そうなった時は、演奏を放棄してでも、お客さんとコミュニケーションを取りに行くこともあれば、今日はお客さんが盛り上がってくれすぎちゃってる、ってなった時は──。
岩下あるなあ、それ……。
平沢(笑)。そういう時は、メンバーだけを見て、プレイに集中することで、一回クールダウンさせた方が、このあとの曲が活きる流れになるから、ニガミが見せたいライブ運びになるかな、とかいうのを考えて。その都度その都度でパフォーマンスを変えたり、表情とか目線とかはかなり意識はしていて。だから、開場前に、フロアのお客さんがいちばん見にくそうな場所に行ってみて、「あ、ここからは、最悪これくらいの視界か。私の左手しか見えないか」ってわかったら、本番ではなるべく前に身を乗り出すようにする、とか。お客さんと目線を合わせるだけで、空気がだいぶ変わるな、っていうのは、すごい勉強になって。なるべく私はそういうふうに意識して、ライブをやってます。それが楽しいです。
岩下あくびは、俺が書いたセットリストを見て、こう盛り上がりたくて、こういうふうな運びにしたいというのをわかった上で、それになる空気にしてるってことね?
平沢そうです。でも、そうならないからこそのおもしろさもあったりするんで。そうならなかった時でも、岩さんがこの場を楽しめていそうだな、と思えば、もうオールOK。ニガミは岩さんがどんだけ自由にできるか、っていうところで、ライブのポテンシャルが変わってくるので。いかに岩さんをのせて、いいパフォーマンスをしてもらえるか。そこをすごい考えてやってますね。
──はあー。初めてやったバンドですよね。
平沢そうです。
──で、バンドの前、俳優だった時も、映像の仕事だけで、客前で芝居っていうのはなかったですよね。
平沢はい。生はバンドが初めてです。
──それでその考え方と行動力、というのはすごいと思います。だって、まあまあいい歳になってから始めてるでしょ?
平沢27で始めてます。
──普通、やめる歳ですよね。
平沢(笑)言われます、それ。27で、鍵盤にシール貼って覚える羽目になるとは。
岩下でも、あくびも飛び道具の時、あるしね。不思議っすよね。客席に下りて行ったりとか、実ははみ出したこともやっているので。どんな脳味噌なんだろう、と思う。
平沢いや、そこは、今日は自由にやろう、と思った時は……ほんとに私、人、好きなんですよ。お客さんがいるっていうだけで、もう……ほんとはひとりひとりとめっちゃしゃべりたいぐらいなんですけど、ライブ中。だから、そういう思いがバーッてなると、客席に行っちゃう、というか。会いに行っている感覚というか。
岩下AKBみたい。逆か。「会いに行けるアイドル」じゃなくて──。
平沢「会いに来るバンドマン」(笑)。
岩下それいいっすね。玄関で「♪ピンポーン」って (笑)。
平沢純粋に、元気をもらえるんですよね、お客さんに。だから、ライブ後の方が元気あったりします、楽しくて。お客さんとコミュニケーションするという感覚だから、ステージの上と下との渡し船みたいな感じになれていたらいいなあ、と思いますけど。あと、初期の頃、岩さんがロン毛で、怖くて。
岩下(笑)。
平沢嘘つきバービーの頃もそうだったんですけど、何するかわかんない人、ステージから飛んで来るかも、みたいな。そういう恐怖心が、お客さんにあった場合に、「いや、大丈夫だよ!」って伝える存在でもありたかったというか。安心して、お年寄りからお子さんまで楽しんでもらえるライブだよ、っていうことを、アピールしたかったのもあります。岩さん、「地上に行きたい」って言ってたし。
岩下ああ、うん。
──あ、地上に行きたいという気持ちが──。
岩下ありましたね。ニガミの最初のコンセプトは、地上に行くっていうのが目標でしたから。「紅白に出る」とか言ってましたからね。今はまったく出たくないですけど(笑)。
──あくびさんは、ライブは本当に楽しいと。
平沢楽しいですね。
──じゃあコロナ禍でできなかった間は──。
平沢しんどかったです。なのでもう……グッズの梱包とか発送をやってるんですけど、それの生配信をずっとして。お客さんとコミュニケーションをとることで、元気をもらってました。
岩下めずらしいよね。演奏をしたくて、じゃなくて、お客さんに会いたくてバンドをやっている。
平沢そうですね。
岩下ベースのタツルボーイ(イザキタツル)も、ライブをできなかった時期、めっちゃしんどかったと言ってたけど、それはもう、演奏をしたかった、という。同じ「ライブができなくてしんどい」というのでも、理由が全然違う。
平沢だから、無観客の配信ライブっていうのは、ちょっと物足りなさが……ステージ上で演奏できる楽しさはあるんですけど、満たされない感じがすごくあった。お客さんに与えられているんだなあ、って思いましたね。
──岩下さんは、ライブをできなかった時期は?
岩下僕は、「休めるなあ」と。
平沢はははは。
──今度のツアーは、どんなものにしようと思っていますか?
岩下新曲を作りながら回りたいですね。このメンバーで、同じ空気を吸いながら、感じたこととかを曲に落とし込められたらいいな、という。で、曲ができたらすぐライブでやろう、と。制作もやりながら回るツアーにしたいって思っています。
──あくびさんは?
平沢全国で美味しいものをいっぱい食べて、メンバーもですけど、一緒にライブを作ってくれてるスタッフのみなさんとも、今後のニガミの展望について語りながら……とにかくみんなで団結してワクワクしたい。それで、お客さんを巻き込める空間を、どんどん作っていきたいなと思っているので。とにかく美味しいものを食べてワクワクしたいです(笑)。
岩下でも、ほんとに……ツアーコンセプトを説明する文章を出しましたけど(下記、公演情報欄参照)、全国で肉を食うみたいな、そういう青春的なものであるべきだと思うので、バンドなんて。楽しみながらやる、っていう。なんで、チーム全体で楽しみながら、お客さんもその空気を感じてもらって、なおかつそのいい感じの空気で新しい曲もできて、カネも入って(笑)。みたいなことですかね。
PRESENT
『メンバー3人と谷朋彦のサイン入りニガミ17才タオル』を1名様に!
受付は終了しました