阪神甲子園球場100周年記念事業アンバサダー(アーティスト)就任、47都道府県ツアー、そして甲子園球場でのワンマンライブ決定と、結成10周年の今年は何もかもが過去最大級なベリーグッドマン。まさに夢の舞台に向かうための“ピース”が詰まったニューアルバム『ピース』の話からインタビューをスタート。そしてツアー直前の心境、べリグにとって甲子園球場でのライブの意味も訊いてみました。
──ベリーグッドマンは常に新曲を作っていて、前回の「すごいかもしれんツアー」の際もすでに『ピース』収録曲を披露されていました。そんな中、今回の『ピース』はどういうアルバムにしようと?
MOCA僕らのオリジナルのスタイルだと思うんですけど、ツアーが先に決まってて、そこにめがけてアルバムを出していくという。出すことは決まってるんで、さて、どんな曲を入れ込んでやろう?みたいなところから、今年の一発目の「夢物語」っていう曲が完成して、甲子園でのライブが決まりました。甲子園は今まで一緒に歩んで来てくれたファンの方とずっと一緒に戦ってくれてたスタッフの皆さんと勝ち取れたと思ってるんで、その感謝の歌が一発目にできたんで、「あとは何やってもええな」みたいな感覚の中でちょっと遊んだ「サウナ」だったり、「オドリバ★ジャポニカ」だったりっていう、47都道府県ツアーを目がけた曲ができて。で、そういうアッパー曲もできてきたから「もしもいつか」っていうHiDEXのベリーグッドマンになってから作ったソロ曲を3人でリメイクしたりっていう幅を見せられて。で、最後に『ピース』っていうタイトルでまとまった、そんな一枚ですね。
Roverこの“ピース”っていうのはピースサインのピースでもあり、パズルのピースという意味もあるんですけど、まあ10年やってこのアルバムで大きな節目を迎えることになるので、今までやったことのないような感覚で取り組んだ曲も何曲かありまして。「サウナ」もそうですし。ただ今までやってきた曲も愛されてる曲が多いので、それも47都道府県ツアーの中でやりたいな、と。悲しいことに曲を作りすぎるとライブで歌えなくなる曲もあって、ファンから「この曲いつ歌うんですか」みたいなこともあり、今まで自分たちがやってこなかったような所とか考え方で作ってみた曲も入れ込んだりしたんですよ。あとは当然、べリグらしい曲っていうのももちろん入れて、そういう意味では一番振り幅はあるのかなと思いますね。で、敢えてラブソングは入れてないのは、去年から長く愛されているラブソングもあるし、その曲を大切にして行きたいっていうことですね。
──毎回その時期の題材を曲にしているべリグらしいといえば「サウナ」かなと。時期的にも今年やらないと!というところはありましたか?
Roverそうですね。音効会社で働いてる友達がいて、いろんな番組で音をつけてる訳なんです。演者さんがロケに行くとか、サウナを紹介するみたいな番組も絶対出てくるし、その時に“サウナ”って検索して出てきたものをから順番に再生して「これを当てはめよう」みたいな感じで選曲しているらしいんですよ。この間さっそく「サウナ」がテレビ使われてたんで「よかった」と思って。
──だから捻らずに「サウナ」なんですね。
Roverもう本当に“りんご”とかそういう感じですね。で、りんごの番組やったら「もうそれ使ってください」とか。今後は“フリー素材”みたいなことになってくるかもしれないですね、僕たち。
──(笑)。ラウドロックやメロコア調の「青春開幕宣言」、これは今までになかったですね。
MOCAまあHiDEXのルーツでもあるんですけど。こういう曲の依頼があったときに、それぞれ違う場所におってHiDEXがトラックくれてそこにメロディと歌詞つけて行くみたいな作業で、2コーラスぐらいは2年前ぐらいに完成してた曲なんですよ。それを甲子園が決まって、47都道府県ツアーも行って、学園祭ノリというか……今年35歳になるんですけど、まだ青春できてんの嬉しいな、みたいなところで、今回のタイミングで1曲目に入れられたんです。
HiDEX歌詞は猛ダッシュしてる学生をイメージして書いたんですよね。僕は走るのめっちゃ苦手なんですよ。長距離を走ってる人を見て「どうやって走れてんのやろう?」と思うんですけど、もう自分を信じてるというか、「走れるやろ、だから走るんやろ」みたいな感覚だと思ったんでこれ書いたんですけどね。
──HiDEXさんのソロ曲だった「もしもいつか」はべリグでいつかセルフカバーしようと?
Roverこれをやりたいって言ったのは僕なんですけど。
HiDEXリリースもしてなかったんで、まだ。どう二人が交われるかなと思ってました。
RoverこれのMOCAのバースはピカイチですよね。すごい相乗効果やなと思ったし。
──MOCAさんの「不平等ってヤツがさ、たまに襲ってくるよな」からのリリックで締まりますね。
MOCAプレッシャーえぐいですけどね。でもストーリーの締めくくりにかなり近い状態なんで、そんな難しいことを言わずに作品の深みを増すような熱量で放り込めたな、という感じはあるんで。ただ歌詞はHiDEXになりきるっていう感覚で書いたんで。
Roverで、多くは語ってないからこそMOCAので色々見えてくるものもあるけど。ただMOCAのがずっと続くとそれは違うっていう。
MOCAだからサビ、あんま歌わせてもらえないですね。
──それがベリーグッドマンのバランスですよね。
Roverそうなんかもしれないですね。これ僕、2番歌わせてもらってるんですけど、「いつか手紙を書こう」とか「いつか旅行に行こう」とか「いつか夕日を見に行こう」とか。で、最後にHiDEXは「いつかの僕はここにはいない」って書いてて、これどういう意味なのかな。
HiDEXこれ二つ意味があるのよ。もうここにいなくなっちゃった俺と、「いつか行こうね」っていう「いつか」っていう考え方を辞めて「もう今行こう」っていう俺と。
Roverなるほど。
HiDEXポジティブなメッセージ。「今のうちに積み重ねなくちゃ」って言ってるんで「今動かないとな」「今、大事にしよう」って言ってるんで。よく言うじゃないですか。「いつか行こな」とかっていう約束はいつかじゃなくて「もう今にしよう」っていう意味で最後。
Roverはー。
HiDEXなんで、それわからんとレコーディングしたん?(笑)
MOCAははは。
──いい曲です。1Aで不安なことばっかり綴られてるけど、それをサビで反転させるっていうか。
HiDEXまあしゃあないよな、っていう。これを作った経緯が、ワンマンツアーでそれぞれのソロ曲をやるっていうコーナーがあったんですよ。でも僕はそんなにソロ曲を作ってきてなかったんです。MOCAは定番の曲もあって、Roverも「もうこの歌で行きます」ってのもあったんですけど、僕だけなくて。MOCAは「頑張っていこう」っていう曲やし、Roverはラブソングやし、俺がアゲ曲やるのもおかしいし。
Roverいや、めっちゃおもろい(笑)。HiDEX一人でアゲ曲やったら。まあこの曲はドラマチックなんだけど悲しさもあってっていう。この曲を入れたいと思ったのは先輩に言われたからなんです。つばさくんっていう整体師なんですけど、「あの曲めっちゃいいから入れてほしい」って言われて、「わかりました」と(笑)。
──信用できる情報っていうか、リクエストですよね。
Roverそうですね。だってそういう風に考えてる人いっぱいおるで、みたいな。不安な人生を送ってたりとか。入れるなら今だなっていう感じでしたね。
──今回なんか泣けるんですよね。「マスターピース」「もしもいつか」「Ame」の流れとかは特にそうなんですけど。その中でも「Ame」はまさに雨を体感するような曲ですね。
Rover実は原点というか、僕たちが好きな曲ってこういう曲とか多いんです。同じループのコード進行でそれぞれが好きなことを歌って、シンプルなサビがあるみたいな。そこは今までやってきたやつの最新アップデートっていう感じの曲ですね。あとは最近気づいたんですけど47都道府県を回るための1枚だと思ってるんで、6月とかめっちゃ雨多いと思うんですよね。だからそういう時に余計刺さるかなと。雨の時にやっぱり「オドリバ★ジャポニカ」とか歌われてもわかんないじゃないですか。
──(笑)。気分は上がりそうですけど。
Roverま、上がるけど、雨の時は「Ame」を歌うっていう。