──加藤さんは新作に入っている「冬のささやき」を挙げてくれています。
加藤ストレートに「冬」って入ってるグソクムズの曲はこれくらいだし、選ばないわけにはいかなかったので。
堀部グソクムズを代表する冬ソングだよね(笑)。
──「冬のささやき」をはじめ、やはり堀部さんのベースはグソクムズのアンサンブルを語るうえで外せないと思うんですけど。
加藤そうですよ。俺の目に間違いはなかった。
堀部声かけてくれてありがとう(笑)。
──ベーシストとしてのルーツをお伺いしたいです。
堀部いつもはかっこつけて「モータウン」とかって言うんですけど、ホントは亀田誠治です。軽音部に入ったときに、「東京事変は各学年の一番上手いやつしか弾いちゃいけない」っていう暗黙のルールがあって(笑)、めっちゃ練習したので、そこがルーツとして大きいですね。あと当時ニコニコ動画がめちゃめちゃ流行って、「弾いてみた」をいろんな人が上げてたんですよ。あれは基本的に動画映えするようにみんな派手に弾いてるけど、その頃はまだベースを弾いたことがなくて、「ベースってこういうものなんだ」と思って、そこから一生懸命練習をして。でもだんだん「ベースってこういうのばっかりじゃないらしい」って気づいたんですけど(笑)、途中からそんなに大きくは変えられないし、そこもルーツのひとつになってますね。
──面白い。「弾いてみた」がルーツの主張の強いベースラインがグソクムズの曲に入ることで、非常にオリジナルなものになっていると思います。中島さんは堀部さんとリズムを構築するにあたって、どんなバランスを意識していますか?
中島2人ともセッション要素が好きかもしれなくて、ベースが弾いたフレーズをドラムで追いかけるとか、ドラムのフレーズにベースが合わせたりとか、そういうイチャイチャをずっとしてます。ライブで「毎回ここでこのフレーズ弾いてるな」と思うと、ユニゾンくらいの気持ちで合わせたり、逆にベースがそうしてくると「おい、やめろよ!」みたいな(笑)。
──イチャイチャしてますね(笑)。中島さんはこちらも新作に収録されている「夢にならないように」を挙げてくれています。
中島僕が書いて発表してる曲がそもそもそんなになくて、夏の曲と二日酔いの曲とこの曲なんです(笑)。
──〈夏の終わりは いつでも 生温い感度で 風めく〉という歌い出しですね。
中島だからホントは9月~10月の曲なんですけど、他になくて(笑)。でもエゴサをしてたら、「夏の湿った空気も、秋の涼しさも感じつつ、冬にも染みる」みたいなツイートを見つけて、「これ次のインタビューで自分が考えたように言おう」と思ってました(笑)。
──そもそも曲を作るときに「季節感」は大事にしていますか?
中島「夢にならないように」に関しては、〈夏の終わり〉っていう言葉を入れるかどうかはめちゃくちゃ迷いました。限定されちゃうじゃないですか?しかも、アルバムには「冬のささやき」が入ることは決まっていたので、別のワードにした方がいいかなとも思ったんですけど……でも結局これでいいかなって。なので、季節を特別意識しているというわけではないかもしれないです。
──新作自体のことも少し聞かせてもらうと、ファーストはフォークユニットから4人になっていく過程のアルバムで、バンドの色を確認している感じがあったけど、今回は最初から4人のバンドで、その分それぞれの個性が出て、一曲一曲の色が強くなっているように感じました。
たなかそうですね。味が濃いなって。
加藤そこがちょっと反省点なんですよね。一曲一曲は好きだけど、全体で聴くとちょっと疲れるというか、アルバムとしての統一感がない気もするなって。
中島ずっとかめはめ波みたいな(笑)。
加藤そうそう(笑)。箸休め的なのが欲しいわけじゃないけど、統一感はもう少しあってもいいかな。
堀部でもコンセプトなしで作ったわりには統一感あると思うけどね。
たなか4人で演奏してるから、最低限の統一感は出てると思うけど、次はもう少しコンセプチュアルにしてもいいかもしれないですね。
──今はプレイリストで音楽を聴く人が増えていて、「アルバム」というものをどう捉えるかにアーティスト性が出るようにも思いますが、グソクムズはどう考えていますか?
たなか最近のアーティストはプレイリストを意識して、アルバム制作をあんまり大事にしてなかったりすると思うけど、そこはちゃんと、レコードにしたときに楽しめるような作品を作りたいなって、僕個人としては思ってますね。
中島逆に僕はソロでシングルばっかり出していて、それをやってみると、シングルはシングルで縛りがあるというか、「シングルっぽい曲にしよう」って、無意識に思っちゃうんですよね。でもグソクムズはメンバー4人とも曲を書くから、自分が変な曲を書いても、誰かが帳尻合わせてくれるって、みんなうっすら思ってるはずで。そういう意味では自由に曲を作りやすいし、いろんなことをやりやすいです。「4人で一曲ずつシングルを書く」ってなったら、全然違う曲ができて、バンドの色も変わってくると思うので、今のグソクムズのやり方にはアルバムという形が合ってるんだと思いますね。
──『陽気な休日』というタイトルが、唯一アルバムのコンセプトを担っているとも言えますが、どうやってつけたのでしょうか?
たなかこれもアルバムができてからつけたタイトルで、言葉の響きと、実際に楽しめる曲が揃ってたので、いいんじゃないかなって。もともと「陽気な休日」っていう曲があって、ファーストに入れようとしたんですけど、アレンジがまとまらなくてボツになってたんです。その曲のタイトルだけが残りました。
──では最後に、2月4日にShibuya WWWで開催されるワンマンライブ「みんなと陽気な休日」に向けて一言いただけますか?
たなかまだ細かな内容は決まってないんですけど、ニューアルバムの曲、みんなが好きな曲、やってて楽しい曲をやって、お客さんにも楽しんでもらいたいっていう、それがすべてです。
──2月4日は休日?
たなか土曜日ですね。
中島なので、「陽気な休日」になるようにしたいなって。